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AI 導入 進め方|担当・成果物・止める基準で見る6つの手順【2026年10月】

AI導入の進め方を、目的の言語化から試用・判定・定着までの6手順で整理(2026年10月時点)。各手順の担当と成果物、止める基準、入力ルールの決め方を、個人情報保護委員会の注意喚起やIPAの資料をもとに書きます。

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AI Expert 編集部運営 Orga合同会社

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AI 導入 進め方|担当・成果物・止める基準で見る6つの手順【2026年10月】

結論: AI導入の進め方は、ツールの選び方ではなく、「1業務・1担当・止める基準」を先に決め、6つの手順で小さく試して判定することです。この記事では、社内の担当者が6手順をどの順で、誰が、何を成果物として残し、どこで止めるかを、表と図で書きます。

止める基準とは、試してみて「ここまで届かなければやめる」と先に決めておく線のことです。

この記事の要点

  • 6手順は「目的を1業務に絞る → 使う・作る・頼むを決める → 入力ルールを決める → 小さく試す → 続ける・直す・やめるを判定する → 定着と見直し」の順。ツール選びは手順2で、目的より後に置く
  • 各手順に「担当」「成果物」「止める基準」を1つずつ決める。止める基準を先に書くと、試用が終わらない状態を避けられる
  • 顧客名簿のような個人データをAIに入力する場合、本人の同意がなく、応答を返す以外の目的(学習など)で扱われると、個人情報保護法に違反する可能性がある(個人情報保護委員会・令和5年6月2日の注意喚起)。試用の前に入力ルールを決める
  • やめる判断は成果になる。合格条件を先に書いておけば、届かなかったときに「直す」か「やめる」かを迷わず選べる

この記事は、AI導入の担当を任された中小企業の推進担当者と経営者に向けて書いています。「AIを使う」ことは決まっていて、最初の一歩を誰が・いつまでに・何を決めるかで迷っている場面を想定しています。AI導入の進め方を5ステップで解説は、当社が顧客と一緒に進める5段階の話です。この記事は、同じ流れを社内の担当者が自分たちで動く6手順に置き直し、担当・成果物・止める基準を表にまとめます。費用の相場、ツールの比較、補助金は扱いません。行き先は、最後の「含まれないこと」に置きました。

今日やることは1つです。次に任せたい業務を1文で書き、その横に担当者の名前と「ここまで届かなければやめる」という基準を書いてください。たとえば「下書きの確認に毎回15分以上かかったらやめる」のように書きます(15分は例で、自社の値に置き換えます)。紙1枚で足ります。

AI導入の進め方は?先に決める3つのこと(1業務・1担当・止める基準)

AI導入の進め方は、先に「1業務・1担当・止める基準」の3つを決め、そのあと6手順を順に進めることです。 この3つがないまま始めると、ツールだけが増えて、誰も結果を判定しない状態になります。

① 1業務

最初に扱う業務は1つに絞ります。「営業全体にAIを入れる」ではなく、「見積書の送付メールの下書きを減らす」のように、1人が1回でやる作業の単位まで下げます。複数の業務を同時に試すと、結果の良し悪しがどの業務のせいか分からなくなります。

② 1担当(決裁者と実務担当を分ける)

担当は3つの役で考えます。決めて責任を持つ人(決裁者。経営者や部門長)、手順を進める人(推進担当)、実際にAIを使う人(現場)です。1人の会社なら同じ人でも構いませんが、書く欄は分けます。決裁の欄が空だと、試用の結果が出ても誰も続けるかを決めません。

担当者がいない会社は、兼務でよい条件があります。試用の期間中、AIの出力を確認する時間を週に決まった枠で取れることです。枠を取れないなら、担当者を置いても進みません。そのときは手順2で外部に頼む選択肢を先に検討します。

③ 止める基準

止める基準は、試す前に書く「ここまで届かなければやめる」という条件です。たとえば「担当者が確認し直す時間が、AIを使わない場合の作業時間を超えたらやめる」のように、判定できる形で書きます。数字は自社で決める欄にします。

似た言葉に「合格条件」があります。合格条件は「続けてよい水準」、止める基準は「そこまで悪くなったら判定日を待たずにやめる線」です。

6手順は、目的を決めてから道具を選び、試して判定する順に進む

AI導入の6手順の全体の流れ上段は準備の3手順。手順1は目的を1業務に絞る、手順2は使う・作る・頼むを決める、手順3は入力してよい情報を決める。下段は実行の3手順。手順4は小さく試す、手順5は続ける・直す・やめるを判定する、手順6は定着と見直し。各手順に止める基準を先に書く。 準備(試す前に決める) 手順1 目的減らしたい業務を1文で書く他人が読んで特定できるか 手順2 使う・作る・頼む進め方の型と担当を決める置ける担当で選ぶ 手順3 入力ルール入れてよい情報の線を1枚に個人データは同意なしに入れない 実行(小さく回す) 手順4 小さく試す人数・期間・合格条件を先に試用計画シートに書く 手順5 判定続ける・直す・やめるやめるも成果として残す 手順6 定着と見直し手順書・問い合わせ先・時期次の業務に同じ表を使う どの手順にも「止める基準」を先に書く。手順5で直す場合は手順4へ戻る

図の内容: 準備の3手順(目的・使う作る頼む・入力ルール)のあとに、実行の3手順(小さく試す・判定・定着と見直し)が続き、各手順に止める基準を先に書く。

確かめ方は、3つを紙1枚に書き出して、決裁者に見せることです。1業務の文、担当者の名前、止める基準の3行が埋まれば、手順1に進めます。

手順1|目的を1業務に絞って1文で書く

目的は「何を減らしたいか」を業務の単位で、1文で書きます。 「業務を効率化したい」では、誰が読んでも同じ業務を思い浮かべられません。

① 書き方の型

型は「誰が、何の作業を、いまどれくらいの手間でやっていて、何を減らしたいか」です。手間の量は、数字で測れなければ「週に何回」「1回あたり何分くらいか」の感覚で足ります。実測と混ぜず、感覚で書いたと分かるように「約」を付けます。営業事務がいない会社なら、経営者ご自身の作業(予約への返信、日報のまとめなど)で書けます。

② 良い例と悪い例

判断基準は4つです。次の表で、自分が書いた1文を当ててみてください。

判断基準良い書き方悪い書き方確かめ方
業務が特定できる「営業事務が、見積送付メールの下書きを作る作業」「営業まわりの事務作業」初めて読む人が、作業の場面を1つ言えるか
手間が分かる「週に約10通、1通あたり約15分」「かなり時間がかかっている」作業をした人に、回数と時間を聞いたか
減らしたいものが1つ「下書きにかかる時間」「時間も品質も顧客満足も上げたい」目的が2つ以上入っていないか
間違えても相手に届く前に気づける「人が見てから送る下書き」「AIの答えをそのまま顧客へ送る」AIの出力を人が見る場面が1回あるか

数字は書き方の例で、自社の実際の値ではありません。自社の値は、作業をしている人に聞いて埋めます。

③ AIを使わなくても足りる業務

その業務をAIで解くべきかは、手順1の段階で見分けます。決まった手順で毎回同じ結果になる作業は、AIより既存の仕組みのほうが安く確実なことが多いからです。

業務の性質向く手段確かめ方
手順も結果も毎回同じ(転記、定型の通知)自動化ツール(=ルールを決めて自動で動かすソフト)や、表計算ソフトの計算式人が毎回判断を入れているか。入れていなければAIは要らない
数字を集めて見るだけ(売上の集計、進み具合の確認)集計表や、数字をグラフにして見るツール知りたいのが「集計結果」か「文章の下書き・要約」か
文章・資料の下書き、要約、問い合わせの仕分けなど、毎回少しずつ違う生成AI人が確認する場面を1回置けるか

確かめ方は、手順1の1文を表に当てることです。1行目か2行目に当てはまるなら、AIは使わずその手段で先に済ませます。

④ 効果の見積もり方

効果は、次の式で簡単に見積もれます。「減る時間」は「元の作業時間」から「AIを使った後の作業時間(確認と修正を含む)」を引いた値です。

質問テンプレ(メール文面)
1か月に減る時間 = (元の1回の時間 − AIを使った後の1回の時間)× 1か月の回数

「AIを使った後の時間」には、人が確認し直す時間を必ず入れます。入れ忘れると、効果を実際より大きく見てしまいます。数字は自社で測った値を入れます。測れていなければ、「約」を付けた感覚値で、効果の目安として使います。

確かめ方は、他の部署の人に1文を読んでもらい、「どんな作業ですか」と聞くことです。違う作業を答えたら、まだ曖昧です。他人が読んで業務が特定できるまで、手順2に進みません。

目的を決める前に、自社がAI導入のどの段階にいるかを確かめたい場合は、6視点24問の自己採点でAI導入の現在地を点数化する方法も参考になります。

どの業務を1つ選ぶか迷う場合は、先にAIに任せる業務を5列の棚卸表と3ステップで選ぶ方法で候補を洗い出してから、この手順に進むと決めやすくなります。

手順2|使うか・作るか・頼むかを決める

進め方の型は、既製のツールを使う、自分たちで作る、外部に頼む、の3つから、置ける担当者の力に合わせて選びます。 ツールの名前を探すのは、型が決まったあとです。

① 3つの型と担当の負担

型向く場面担当の負担先に決めること
既製のツールを使う文章の下書き、議事メモの整理など、多くの会社で共通の作業試用の進行と出力の確認をする。作る作業はない入力ルール(手順3)と、使う人の範囲
自分たちで作る自社の資料や手順に合わせた動きが要る作業作る人と、動きがおかしいときに直す人の両方が社内に要る作る人の時間の枠と、直せなくなったときの代わり
外部に頼む担当者を置けない、または作る人が社内にいない依頼する範囲の決定と、納品物の受け取り・判定頼む範囲は準備と判定のどこまでか。判定は社内に残す

「既製のツールを使う」の中には、すでに使っている業務ソフトやCRM(=顧客管理の仕組み)にAI機能が組み込まれている場合も含みます。契約を増やさず試せるので、先に自社の既存ツールの設定画面を確かめてください。

次の表は、上の3つの型とは別の見方で、AIにやらせる中身を分けています。型は「誰が担うか」、この表は「AIで何をするか」を示します。

使い方中身向く場面
組み込み済みの機能を使う業務ソフトやチャットなどに付いたAI機能を、そのまま使うまず試したい、担当を置きにくい
予測モデルを作る過去の売上や検査記録などから、来月の需要や不良などを数字で当てる仕組みを作るデータが十分にたまっていて、予測が業務の判断に直結する
自社の製品・サービスに組み込む自社の画面や業務の流れにAIを入れ込む自社の業務に合わせた動きが要り、作る人と直す人を置ける

この記事の試用で主に扱うのは、文章の下書きなどに使う一番上の「組み込み済みの機能を使う」です。多くの会社はここから始めるのが早いです。下の2つは、データと保守の担当が要るため、試用の結果を見てから考えます。

作る型は、試用の担当に加えて保守の担当まで要ります。保守とは、動きがおかしくなったときに直し、設定を更新し続けることです。保守の考え方はAIエージェント保守とはで書きました。外部に頼む場合も、続ける・やめるの判定だけは社内の決裁者に残します。判定まで預けると、成果物を受け取る側が判断できなくなります。

② 自社で決められないとき

どの型が合うか自社で決められないときは、診断で切り分ける方法があります。当社の案内では、AI適用診断は2週間で、実際の業務システムにはつながず、現場の作業を見ながら進めます。研修・試作・実装のどれで進むかを切り分ける入口で、実際の業務に組み込む作業と保守は別契約です。中身と分かること・分からないことはAI適用診断とはに書きました。診断を使うかどうかは、この手順で決められなかったときだけ考えれば足ります。

確かめ方は、3つの型のそれぞれで「その担当を、試用の期間中に置けるか」を決裁者と一緒に○か×で書くことです。たとえば「既製のツール: 試用の進行役を置ける → ○」「自分たちで作る: 直す人がいない → ×」のように書きます。○が付いた型の中から選びます。○が1つもなければ、手順2で止めて、外部への相談を考えます。

「頼む」を選んだ場合は、発注先の探し方や会社のタイプ、絞り込みの基準をAI受託の開発会社を探す場所と絞り込み基準にまとめています。

外部の支援会社へ頼むと決めた場合も、いきなり見積を取らず、業務・目的・体制・情報の扱い・予算と期間を整理してから窓口へ行くと話が早く進みます。AI導入の相談前に決める7項目と持参する相談メモに、そのまま埋められる準備表をまとめました。

手順3|入力してよい情報を先に決める

入力してよい情報の線は、試用を始める前に1枚に書いておきます。 生成AIは契約してすぐ使えるので、線がないまま試すと、個人データや取引先の情報が入ります。

① 公的資料が言っていること

結論は、お客様の名前や連絡先などを、本人の同意なくAIに貼り付けないことです。個人データとは、名簿や顧客台帳のように検索できる形にまとめた個人情報を指します。

個人情報保護委員会は「生成 AI サービスの利用に関する注意喚起等」(令和5年6月2日)で、次の2点を示しています。なお、プロンプトとは、AIに入力する文章や資料のことです。1点目は、個人情報取扱事業者(=顧客名簿などを業務で使う事業者)が生成AIサービスに個人情報を含むプロンプトを入力する場合、「特定された当該個人情報の利用目的を達成するために必要な範囲内であることを十分に確認すること」です。2点目は、次の場合です。あらかじめ本人の同意を得ずに個人データを含むプロンプトを入力し、応答の出力以外の目的(入力した内容の学習への利用など)で扱われると、「個人情報保護法の規定に違反することとなる可能性がある」としています。入力する場合は、サービスを提供する事業者が個人データを「機械学習に利用しないこと等を十分に確認すること」とも書かれています。最終判断は、個人情報保護委員会の案内を見るか、専門家に確かめてください。

IPAの「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」(第4.0版・最終更新日2026年9月30日)は、生成AI専用の資料ではありません。AIの前にまず自社の守りを確認したい場合は、付録の「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」が使えます。

② 決める3点

決めるのは3点で、1枚に書きます。ひな形はAI利用ガイドラインに置きました。

決めること書く内容確かめ方
入力禁止の情報顧客・従業員の個人データ、取引先と交わした契約書に「秘密」「機密」と書かれた資料、未公開の財務情報など、自社で入れない情報の種類業務で扱う書類を3つ取り出し、入れてよいか1つずつ判定できるか
使うサービスの学習設定入力内容がAIの改良に使われない設定かを、設定画面や規約の「入力内容の扱い」の項目で確認した記録確認した日付と、確認した人の名前が残っているか
相談先判断に迷ったときの相談相手。個人データの扱いは、専門家か個人情報保護委員会の案内で確かめると書く担当者の不在時の連絡先まで書けているか

入力ルールの考え方と、情報漏えいを防ぐ設計の3原則は中小企業の生成AIセキュリティにもまとめています。

確かめ方は、手順1で選んだ業務の書類を実際に取り出し、入力禁止の線に当てることです。線を1枚に書けない、または使うサービスの学習設定を確認できないときは、試用に進みません。

入力してよい情報の線引きは、社内ルールとして文書にしておくと運用が安定します。盛り込む項目と作り方はAI ガイドラインを社内ルールに落とす10項目と5ステップで整理しています。

手順4|小さく試す(試用の決め方)

試用は、対象人数・期間・合格条件の3つを先に書いてから始めます。 始めたあとに合格条件を決めると、届いたかどうかを後から都合よく読んでしまうからです。

① 先に書く3つ

  • 対象人数: 手順1の業務をやっている人のうち、試す人数。1人から始められます
  • 期間: 業務が数回は回る長さ。毎日ある業務と月1回の業務では、長さが違います
  • 合格条件: 「確認し直す時間を含めても、元の作業時間より短い」のように、判定できる形で書く。続けてよい水準のことで、途中でやめる線(止める基準)とは別に書く

標準の人数や期間を示した公的資料は確認できていません。迷ったら、1人・2週間で始めます。ここでは例として、前提を置いた想定を示します。前提は「営業事務1人が、見積送付メールの下書きを、2週間のあいだ毎日使う。確認は本人が行い、送る前に人が読む」です。この場合、合格条件は「2週間の平均で、確認と修正を含めた1通あたりの時間が、元の時間より短い」になります。この人数と期間は当社の作業感覚に基づく想定値で、実測ではありません。自社の業務の回る回数に合わせて変えてください。

② 試用計画シート

まずは「業務」「合格条件」「止める基準」の3項目だけ埋めれば始められます。残りは試用の前日までに足してください。次の枠をコピーして、空欄を埋めます。

質問テンプレ(メール文面)
試用計画シート
業務(手順1の1文):
担当(推進担当):
決裁者:
対象人数:
期間(開始日〜終了日):
使うサービスと、入力ルールの確認日(手順3):
合格条件(判定できる形で):
止める基準(ここまで届かなければやめる):
判定日と、判定する人:
試用中の記録(誰が、何を、どれくらい使ったか):

③ 現場に受け入れてもらう

試用は、使う人が「仕事を取られる」「ミスを責められる」と感じると止まります。試す前に、現場の人へ次の3点を伝えます。

  • 目的は人を減らすことではなく、1つの作業の手間を減らすこと
  • AIの出力は人が確認する前提で、間違いは使う人の責任にしないこと
  • 使いにくい点は、試用中に記録して、判定の材料にすること

現場の代表(実際にその作業をしている人)を1人、試用の最初から入れておくと、使いにくい点が早く出ます。推進担当だけで決めて現場に渡すと、試用が終わっても使われません。

確かめ方は、シートを決裁者に見せて「判定日に、この条件だけで続ける・やめるを決めてよいか」と聞くことです。決裁者が頷けない条件なら、書き直します。合格条件を書けないときは、試用を始めません。

試す期間は長く取るほど良いわけではなく、審査や確認の待ち時間まで含めて区切らないと予定が崩れます。期間の決め方はAIのPoC期間を審査込みで決める5つの見方で、工程ごとの目安と延長・中止の判断表を確認できます。

無料で最初の1つを動かす場合は、Claudeのプロジェクト・Dify・API自作の3方式を比べて選ぶと進めやすくなります。方式ごとの無料枠と公開前の確認はAIチャットの作り方(無料で始める3方式の比較)にまとめています。

手順5|続ける・直す・やめるを判定する

判定は、試用の前に書いた合格条件と止める基準に、記録を当てて、続ける・直す・やめるのどれかを決裁者が選びます。 やめることも、結果としてきちんと残します。

① 判定表

観点ごとに、続ける条件と止める条件を書きます。右の列は自社で決めることです。

観点続ける条件止める条件自社で決めること
手間確認と修正を含めても、元の作業時間より短い確認し直す時間が、元の作業時間を超える元の作業より何分短ければ合格か
出力の質人が直す箇所が、合格条件の範囲に収まる直しても、そのまま使える水準にならない直す箇所の許容件数
入力ルール試用中に禁止情報の入力がない禁止情報が入り、再発を防ぐ方法がない事故が起きたとき、使うのを止める人
使う人の反応担当者以外も、続けて使いたいと答える担当者本人が、使わなくなる使う人の最低人数

② 直すかやめるかの分かれ道

合格条件に届かなくても、直す点が見つからなければやめる

試用後の判定の分かれ道試用の結果を合格条件に照らす。届いていれば続けて手順6へ進む。届いていなければ、直す点を1つ言葉にでき、それを直せば届きそうかを決裁者が確かめる。はいなら直して再試用(手順4へ戻る)、いいえならやめて理由を1行残す。 試用の記録を合格条件に当てる 合格条件に届いたか はい 続ける手順6へ いいえ 直す点を言葉にでき直せば届きそうか はい 直して再試用手順4へ戻る いいえ やめる理由を1行残す

図の内容: 試用の記録を合格条件に当て、届いていれば続ける(手順6へ)。届いていなければ、直す点を1つ言葉にでき、直せば届きそうなときだけ手順4へ戻り、そうでなければやめて理由を1行残す。

「直す点を言葉にでき、直せば届きそうか」は、決裁者が推進担当の説明を聞いて決めます。直して再試用するのは、目安として1回までにします。回数は自社で決められます。先に決めておくと、判定の先送りを防げます。2回目も届かなければ、やめます。

③ やめるという成果

やめる判断は、失敗ではなく成果です。 本格導入の費用と時間を使う前に、「この業務にはこの型が合わない」と分かったからです。やめた理由は1行で残し、手順1の次の業務を選ぶときの材料にします。失敗の原因ごとの立て直しはAIを試したが使い物にならなかった原因は3つに送ります。

確かめ方は、判定の場に決裁者が出ているかです。推進担当だけで続ける・やめるを決めると、決裁者が後から結果を受け入れません。

問い合わせ対応のように電話・メール・チャット・フォームへまたがる業務で、続ける・直す・やめるをどう判定し、どこから人に引き継ぐかは、AI 問い合わせ 対応のチャネル別の役割分担と運用5ステップで具体的に整理しています。

判定の前に、導入前・契約時・運用開始後の3時点で何を確かめたかを残しておくと、続ける・直す・やめるの根拠がそろいます。確認する人・見る資料・合否の目安つきで整理したAI導入チェックリスト24項目も、あわせて使ってください。

試した結果が思わしくないときは、続ける・直す・やめるのどれを選ぶ前に、失敗の原因がどの型にあるかを切り分けると立て直しやすくなります。症状から原因を絞る質問はAI導入の失敗原因を5つの型に分けて立て直す順番にまとめています。

手順6|定着と見直し

定着は、使い方の手順書、問い合わせ先、見直しの時期の3つを決めて、1業務が回る状態を作ることです。 続けると決めただけでは、担当者が異動したときに止まります。

① 手順書

手順書には、AIに何を入力し、出力のどこを人が確認し、どの場合は使わないかを書きます。手順1の業務を最初にやった担当者が書くのが早いです。試用中の記録がそのまま材料になります。

② 問い合わせ先と見直しの時期

迷ったときに聞く人(手順3の相談先)と、見直す日を決めます。見直す日には、手順5の判定表を同じ形で使い、続ける条件を満たし続けているかを確かめます。AIのサービスは料金や規約、機能が変わります。半年に1回など、見直す間隔を自社で決めておくと、確認が抜けません。

③ 次の業務へ

1業務が回ったら、次の業務に手順1から同じ表を使います。手順3の入力ルールは一度書けば流用できるので、2つ目以降は早く進みます。ただし、扱う情報の種類が変わる業務では、入力禁止の線を引き直します。

広げるときは、小さく成功した1業務の記録を、周りに見せる材料にします。見せるのは、手順1の1文、合格条件、判定表の結果の3つです。「どの作業が、どう変わったか」を同じ形で見せれば、他の部署も自分の業務に当てはめて考えられます。うまくいった話だけでなく、やめた理由の1行も一緒に見せると、社内で納得を得やすくなります。

確かめ方は、担当者が1週間休んだと想像して、手順書だけで同じ作業を別の人ができるかを見ることです。できなければ、手順書に足りない箇所があります。

研修後に使われなくなる原因と、使われ続けるための確認手順・測る指標・担当の置き方は、AI研修を社内に定着させる5つの仕組みと測り方で表にまとめています。

担当・成果物・止める基準の早見表

6手順の担当・成果物・止める基準は、次の1枚で見られます。 担当の「主」は手順を進める人、「確認」は結果を見て了承する人です。

手順担当成果物止める基準
1 目的を1業務に絞る主: 推進担当/確認: 決裁者・現場業務を特定した1文他人が読んで業務を特定できない間は、手順2に進まない
2 使う・作る・頼むを決める主: 推進担当/確認: 決裁者型の選択と、担当を置けるかの○×表○が付く型がなければ、外部への相談へ切り替える
3 入力ルールを決める主: 推進担当/確認: 決裁者入力禁止の情報・学習設定の確認記録・相談先を書いた1枚線を1枚に書けない、または学習設定を確認できないときは試用に進まない
4 小さく試す主: 現場/確認: 推進担当試用計画シートと試用中の記録合格条件を書けないときは始めない。試用中に止める基準まで悪化したら、判定日を待たず中断する
5 続ける・直す・やめるを判定する主: 決裁者/確認: 推進担当・現場判定表と、続ける・直す・やめるの決定直して再試用しても届かなければ、やめる
6 定着と見直し主: 推進担当/確認: 現場手順書・問い合わせ先・見直し日手順書だけで別の人が回せないうちは、次の業務へ広げない

主に動く人は手順ごとに替わり、決裁者は手順1〜3と判定に関わる

手順ごとの担当の重なり決裁者・推進担当・現場の3者が、6手順にどう関わるかの表。手順1〜3と6は推進担当が主、手順4は現場が主、手順5は決裁者が主。塗りの丸が主、白抜きの丸が確認。 決裁者推進担当現場 手順1 目的を1業務に絞る 手順2 使う・作る・頼む 手順3 入力ルール 手順4 小さく試す 手順5 判定 手順6 定着と見直し 主(手順を進める人) 確認(結果を見て了承する人)

図の内容: 手順1〜3と6は推進担当が主、手順4は現場が主、手順5は決裁者が主で、決裁者は手順1・2・3と5に関わる。

担当者が1人の会社は、3つの欄を同じ人の名前で埋めて構いません。ただし、判定の欄(手順5)だけは、結果を見る人と決める人が分かれるよう、できれば別の人に頼みます。

確かめ方は、この表の「止める基準」の列が、すべて自社の言葉で書き直せているかです。書き直せない行がある手順は、まだ中身を理解しないまま進んでいます。

各手順を期間・担当・完了条件つきで一続きに並べ、補助金を使う場合の発注順まで含めた全体の流れは、AI導入のロードマップ(6段階と止める基準)にまとめています。

つまずきやすい4つの場面と戻り先

AI導入でつまずく場面は、手順のどこかが抜けているサインです。 起きたことを見つけたら、表の「戻る手順」に戻って、その手順の確かめ方からやり直します。

場面起きていること戻る手順戻って確かめること
試したが誰も使わない業務が曖昧で、使う場面が決まっていないことが多い手順1他人が読んで業務を特定できる1文に書き直せるか
担当者が忙しくて止まった担当を置ける型の選び方が合っていないことが多い手順2型ごとの担当を、試用の期間中に置けるか○×で書き直す
入れてはいけない情報が入った入力の線を試用の前に引いていない手順3入力禁止の情報と、学習設定の確認記録を1枚にする
良いのか悪いのか決められない合格条件を試用の後で考えている手順4・5試用計画シートの合格条件と止める基準を、試す前に書く

失敗の立て直しを詳しく知りたい場合は、AIを試したが使い物にならなかった原因は3つを読んでください。この記事では、止める基準の根拠として戻り先だけを示しました。

確かめ方は、いま困っていることを1文で書き、表のどの行に近いか当ててみることです。当てはまる行がなければ、手順1から順に確かめ直します。

AI導入の進め方を今すぐ手順に落とさなくていい会社と、この記事に含まれないこと

次に当てはまる会社は、6手順に入る前に社内で決めることが残っています。 それぞれ、最初の一歩を添えました。

  • 減らしたい業務の困りごとがまだ出ていない。手順1の1文が書けない状態で進めると、ツールだけが増えます。まず、現場の人3人に「週に何度もやる面倒な作業」を聞いてください
  • 試用の期間中、AIの出力を確認する担当者を置けない。まず、手順2で外部への相談を考えてください
  • 決裁者が、試用の結果で続ける・やめるを決める場に出られない。判定が止まります。まず、決裁者に判定日の予定を押さえてもらってください
  • 業務で扱う情報の種類を、誰も把握していない。手順3の入力禁止の線が引けません。まず、手順1の業務で扱う書類を3つ書き出してください

この記事に含まれないことは、次のとおりです。

Summary in English

This article is a six-step guide for staff at small and mid-sized companies in Japan who have been put in charge of introducing AI. The core idea: before choosing a tool, fix one business task, one responsible person, and a stopping criterion, then test on a small scale and make a decision. The six steps are: (1) narrow the goal to one task and write it in one sentence; (2) decide whether to use an off-the-shelf tool, build in-house, or outsource; (3) decide what information may be entered; (4) run a small trial with the number of users, period, and pass criteria written beforehand; (5) judge whether to continue, fix, or stop; (6) set a procedure document, a contact point, and a review date. Each step has an owner, a deliverable, and a stop rule. On rules for entering data, Japan’s Personal Information Protection Commission stated on June 2 of Reiwa 5 (the Japanese calendar year used in the original notice) that entering personal data into a generative AI service without the person’s consent, where it is handled for purposes other than producing a response, may violate the Act on the Protection of Personal Information, and that users should confirm the provider does not use the data for machine learning. IPA’s SME information security guideline (version 4.0, last updated September 30, 2026 per the page display) is a general security reference, not AI-specific. Stopping after a trial is treated as a result, not a failure. The article excludes cost estimates, tool comparisons, and subsidies. Reference dates: October 8, 2026.

まとめ|小さく決めて、止める基準まで書く

AI導入の進め方を整理します。

  • 最初に決めるのは「1業務・1担当・止める基準」。ツール選びはその後に置く
  • 6手順は、目的・使う作る頼む・入力ルール・小さく試す・判定・定着の順。各手順に担当・成果物・止める基準がある
  • 入力してよい情報は試用の前に1枚で決める。個人データを同意なしに入力し、応答を返す以外の目的(学習など)で扱われると、個人情報保護法に違反する可能性がある
  • 試用は、人数・期間・合格条件を先に書く。届かず、直す点も見つからなければ、やめる
  • やめる判断は成果。1業務が回ったら、次の業務に同じ表を使う

最初は大きく見えますが、紙1枚と判定の場があれば始められます。数字は自社で決める欄にして、実測を積み上げてください。

次のアクションは、3つのうちどれか1つから始めれば足ります。

  • 今日: 次に任せたい業務を1文で書き、担当者の名前と止める基準を横に書く
  • 今週: 手順2の○×表と、手順3の入力禁止の1枚を作り、決裁者に見せる
  • 今月: 試用計画シートを埋めて、1人・1業務で試用を始める

自社だけで6手順を回し切れるか迷うときは、当社の無料相談で、どこまでを社内で持ち、どこから外に任せるかを一緒に整理できます。

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更新履歴

  • 2026-10-08: 初版公開。個人情報保護委員会の注意喚起(令和5年6月2日)とIPAガイドライン第4.0版(最終更新2026年9月30日)を反映
  • 次回更新予定: 2026年11月(両資料の改訂有無を再確認します)

本記事は2026年10月8日時点の公的資料と当社の公開サービス条件に基づきます(公開日: 2026年10月8日)。個人データの扱いなど法令に関わる判断は、個人情報保護委員会の案内や専門家でご確認ください。

参考・出典

FAQよくある質問

AIを使わなくても済む業務はどう見分けますか?
人が毎回判断を入れているかで見分けます。手順も結果も毎回同じ作業は、自動化ツールや表計算の関数で足ります。数字を集めて見るだけなら、集計表や、数字をグラフにして見るツールで足ります。文章の下書きや要約のように毎回少しずつ違う作業が、AIの向く業務です。
AI導入の効果はどう見積もればよいですか?
「(元の1回の時間 − AIを使った後の1回の時間)× 1か月の回数」で、1か月に減る時間を出します。AIを使った後の時間には、人が確認し直す時間を必ず入れます。数字は自社で測った値を入れ、測れていなければ「約」を付けた感覚値で目安にします。
AI導入は何から始めればよいですか?
ツールを探す前に、減らしたい業務を1つ選び、1文で書くところから始めます。あわせて、その業務を進める担当者を1人決め、試してみて「やめる」と判断する基準も先に書いておきます。この3つ(1業務・1担当・止める基準)が決まると、ツール選びも試用も迷わず進みます。
AI導入が失敗する理由は何ですか?
ツールの選び方より、手前の決め事が抜けていることが多いです。減らしたい業務が曖昧、担当者が決まっていない、入力してよい情報の線がない、試す前に合格条件を書いていない、の4つが典型です。どれも先に決めておけば潰せます。起きたときは、抜けていた決め事に戻って直します。
生成AIの導入も同じ手順で進めますか?
同じ6手順で進めます。生成AIは契約してすぐ使えるぶん、入力してよい情報の決め方を先に済ませる必要があります。個人情報保護委員会は、個人データを含む文章を本人の同意なくAIに入力し、応答を返す以外の目的で扱われる場合は個人情報保護法に違反する可能性があるとしています。試用に入る前に、入力してよい情報の線を決めてください。
AI導入の担当者がいない会社はどう進めますか?
専任でなくて構いません。兼務の担当者を1人置き、決裁する人(経営者など)を別に決めれば進められます。条件は、担当者が試用の期間中に業務の一部をAIの確認に使える時間を持てることです。それも難しいなら、外部に頼む選択肢を検討します。
最初の業務はどう選べばよいですか?
入力と確認が分けやすく、間違えても取り返しがつく業務を選びます。社外に出る前に人が見る文章の下書きや、社内の議事メモの整理などが当てはまります。顧客の個人情報を扱う業務や、AIの答えをそのまま相手に送る業務は、最初には選びません。
社内で進めるか、外部に頼むかはどう決めますか?
担当者を置けるか、試用の結果を判定できるかで決めます。既製のツールを使うなら担当者が選べば足ります。自分たちで作るなら、作る人と直す人が社内に要ります。どちらも置けないときは外部に頼み、頼む範囲は準備と判定のどこまでかを先に決めます。
AI導入の前に社内ルールとして決めることは何ですか?
3点です。入力してはいけない情報、使うサービスで入力内容が学習に使われないかの確認、迷ったときの相談先です。個人情報保護委員会は、個人データを含む文章を入力する場合、サービス提供事業者が機械学習に利用しないこと等を確認するよう求めています。1枚にまとめ、使い始める前に全員へ渡します。
試した後に「やめる」と決めるのはどんなときですか?
試用の前に書いた合格条件に届かず、直す点も見つからないときです。やめる判断は失敗ではなく、試用の成果です。続ける前に分かったので、本格導入の費用と時間を使わずに済みます。やめた理由は1行で残し、次の業務を選ぶときの材料にします。

Writerこの記事を書いた人

AI Expert 編集部運営: Orga合同会社

非エンジニアの運営者が、自社の営業(リスト作成・文面・送付・資料・日報)をAIで毎日動かしながら書いています。中小企業のAI適用診断・実務題材型AI研修・プロAI人材のマッチングを提供。

この記事の検証方法: 数字・価格・仕様は一次情報(公式ドキュメント・公式料金ページ)か自社の実測だけを使い、出典に参照日を付けています。公開前に機械検証(verify_post)と、書き手とは別のAIによる事実照合を通しています。

この記事の検証環境: 個人情報保護委員会の注意喚起(令和5年6月2日)の原文3か所と、IPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」ページの表示(第4.0版・最終更新日2026年9月30日)を、2026年10月8日に取得して照合しました。当社のAI適用診断と導入の流れは、当社の公開サービス条件と照らしています。公開前に、書き手とは別のAIが本文の数字と出典を1つずつ照らし合わせました。