
結論: デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)は、AIの開発費ではなく、事務局に登録されたITツールの導入費を支援する制度です。この記事では、2026年10月2日時点の5つの申請枠、補助率と補助額、対象になる経費、締切、準備物、申請から入金までの流れを、事務局の公式ページで確認した範囲で書きます。事務局とは補助金の運営を担う窓口、ITツールとは仕事に使うソフトやクラウドサービスのことです。
この記事の要点
- AI導入の入口は通常枠。補助額は1プロセス以上で5万円以上150万円未満、4プロセス以上で150万円以上450万円以下で、補助率は1/2以内(条件を示すと2/3以内)。たとえば補助の対象になる費用が100万円で補助率1/2以内なら、補助は最大50万円(計算の例)。
- 対象は「事前に登録されたITツール」。生成AI搭載ソフトも登録できるが、自分で契約したサービスが自動で対象になるわけではない。AI受託開発は原則対象外。
- 次の締切は2026年10月30日(金)17:00。参照日の10月2日から数えて28日で、GビズIDプライムの発行だけでもおおむね2週間かかる。
- 交付決定の前に発注・契約・支払いをすると、補助金は受けられない。支払いが先で、補助金の確認と承認が後になる。
- AI研修の費用は別制度で、厚生労働省の人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)の領域。AI受託開発は、この補助金では原則対象外。
この記事の対象は、AIツールや生成AIの導入費を補助金で賄えないかと調べている中小企業の経営者・総務・推進担当です。使いたいAI(既製の業務ソフトや、生成AIを搭載したツール)は決まっている前提で、書くのは次の点だけです。どの枠に何が入るか、いくらか、いつまでか、何を準備すれば申請できるかです。自社専用のAIをゼロから作る開発や、AI研修の費用は別の制度です。ここで切り分けて、行き先の記事を案内します。数字は事務局など公式ページの記載どおりです。「後払い」の読み取りのように編集部が整理した所は、その旨を書いています。
申請まわりの言葉を2つだけ先に説明します。交付申請(=補助金の申請書を出すこと)と、交付決定(=補助金を出すと決まったという通知)です。契約や支払いのタイミングは、この交付決定が境目になります。
今日やることは1つです。事務局のスケジュール表で締切日を確かめ、GビズIDプライム(=国の行政手続き用のID。申請に必須)の取得を申請してください。ほかの準備はIDが届くまでの待ち時間に進められます。逆算すると、締切まで28日のうち、約2週間はID発行待ちで、残り約2週間で見積と申請書をつくります。間に合うかは早めに判断してください。
デジタル化・AI導入補助金とは|IT導入補助金との違いと対象になる会社
デジタル化・AI導入補助金は、旧称をIT導入補助金といい、中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上を目的に、業務効率化やDXに向けたITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援する補助金です(事務局「デジタル化・AI導入補助金制度概要」、2026年10月2日参照)。名前に「AI」が付いても、AIを開発する費用の補助ではありません。
対象者は、日本国内で法人登記され、国内で事業を営む法人または個人です。個人事業主も含まれます。運営は、独立行政法人中小企業基盤整備機構の採択を受けたTOPPAN株式会社が事務局として担い、中小企業庁が監督しています。
制度の骨格は次の4点です。
| 項目 | 公式の内容 | 読み方 |
|---|---|---|
| 目的 | 中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上 | AIそのものでなく、業務の効率化が目的 |
| 対象のツール | 事前に事務局の審査を受け、補助金HPに登録されたITツール | 登録されていないサービスは、原則として対象にならない |
| 申請の組み方 | IT導入支援事業者との共同申請(複数者連携デジタル化・AI導入枠を除く) | 自社だけでは申請できず、組む相手が要る |
| 対象者 | 国内で事業を営む法人または個人 | 個人事業主も申請できる |
IT導入支援事業者(=補助金事務局に登録された、ITツールの販売・申請サポート側の会社)は、ツールの提案から交付申請の共同作成までを一緒に進める相手です。
確かめ方は2段階です。まず事務局サイトのITツール検索に製品名を入れて、登録の有無を見ます。次に販売元か販売代理店へ、サービス名を挙げて「登録済みのITツールですか。その販売会社はIT導入支援事業者ですか」と聞きます。答えが「登録はこれから」「ツールは対象だが申請は別の会社経由」なら、進め方を見直します。
5つの申請枠と補助率・補助額|AI導入は通常枠が中心
申請枠は5つあり、業務ソフトや生成AI搭載ツールの導入は通常枠が中心です(事務局トップの申請枠一覧、2026年10月2日参照)。補助率と補助額は枠ごとに違うので、先に枠を決めてから金額を見ます。表の「プロセス」とは、顧客対応・会計・在庫のような業務の区分のことです。ソフトがいくつの区分に対応するかを数えます。
| 枠 | 補助率 | 補助額 | 向く用途 |
|---|---|---|---|
| 通常枠 | 1/2以内(条件を満たすと2/3以内) | 1プロセス以上: 5万円以上150万円未満/4プロセス以上: 150万円以上450万円以下 | 会計・顧客対応・在庫など業務ソフトや、AI機能を搭載したツールの導入 |
| インボイス枠(インボイス対応類型) | 事務局の枠ページで確認 | 事務局の枠ページで確認 | インボイス制度に対応した会計・受発注・決済などのソフト |
| インボイス枠(電子取引類型) | 中小企業・小規模事業者等2/3以内、その他の事業者等1/2以内 | 下限なし〜350万円以下 | 取引先との電子取引に使うソフトの導入 |
| セキュリティ対策推進枠 | 小規模事業者2/3以内、中小企業1/2以内 | 5万円〜150万円 | サイバーセキュリティお助け隊サービスリストに載る登録済みサービスの利用料(最大2年分) |
もう1枠の複数者連携デジタル化・AI導入枠は、商工団体・コンソーシアム向けのため、この記事では扱いません。インボイス対応類型の補助率と補助額は、今回は原文を取得できていません。会計・受発注ソフトを入れたい方は、金額を推測せず、事務局の枠ページを見るか、IT導入支援事業者に補助率と上限を聞いてください。通常枠の「2/3以内」は、最低賃金未満で雇用する従業員が全従業員の30%以上などの条件を満たすと申請した場合で、それ以外は1/2以内です(事務局「通常枠」、公募要領は2026年8月28日更新)。
業務ソフト・AI搭載ツールなら通常枠。会計・電子取引・セキュリティの導入は別の枠
図の内容: 5つの申請枠のうち、業務ソフトやAI搭載ツールの導入に使うのは通常枠で、ほかの4枠は用途が限られる。
確かめ方は、公式サイトの補助金シミュレーターに候補ツールの見積額を入れて試算することです。試算は目安で、最終の補助額は交付決定で決まります。
AI導入で対象になる経費・ならない経費
対象になるのは、登録されたITツールの購入費・利用料と、その導入に付く役務費です。自社専用に作る開発費と、個人が自分で契約したサービスは、そのままでは対象になりません。
通常枠の補助対象は、事務局の「通常枠」ページに次のとおり載っています。必須はソフトウェア購入費とクラウド利用料(最大2年分)です。オプションは機能拡張、データ連携ツール、セキュリティです。役務は、導入コンサルティング・活用コンサルティング、導入設定・マニュアル設定・導入研修、保守サポートです。
| 項目 | 原文の根拠 | 可否の目安 | 確かめ方 |
|---|---|---|---|
| ソフトウェア購入費・クラウド利用料 | 通常枠の必須の補助対象(クラウド利用料は最大2年分) | 登録されたITツールなら対象 | 見積書のツール名が登録名と一致するかをITツール検索で見る |
| 導入設定・マニュアル設定・導入研修・保守サポート | 通常枠の役務として記載 | ツール導入に付く分は対象 | 見積を「標準設定」と「それ以外」に分けてもらう |
| 生成AI搭載ソフト | ITツール登録のページで、生成AIまたは生成AI以外のAI技術の機能を搭載したソフトも登録可と案内 | 業務プロセスの要件を満たし登録されたものなら対象 | 搭載機能でなく、登録されているかを販売会社に聞く |
| 汎用プロセスのみのツール | 通常枠のITツール要件は「1種類以上の業務プロセスを保有するソフトウェア」で、汎用プロセスのみは不可 | 単体では対象外 | 業務プロセス(顧客対応・会計・在庫など)を持つ製品かを見る |
| 個別開発・スクラッチ開発 | 補助対象は登録ITツールの導入費 | 原則対象外 | 見積に「個別開発」の行があるか確認する |
| 個人契約のサブスクリプション | 登録ITツールかどうかで決まる | 自動では対象にならない | 契約前に登録の有無を確認する。すでに契約・支払いした分は、あとから補助の対象にできない |
業務プロセスは、事務局の区分で、顧客対応・販売支援/決済・債権債務・資金回収管理/供給・在庫・物流/会計・財務・経営/総務・人事・給与・教育訓練・法務・情シス・統合業務/業種特化型です。たとえば小売なら在庫管理、士業事務所なら会計や顧客対応と、自社の業務をこの区分に当てはめてツールを探すと、候補が絞れます。
業務プロセスごとに、探すソフトの種類を並べると次のとおりです。製品名ではなく、種類の例です。
| 業務プロセス | 探すソフトの種類の例 | 自社の場面の例 |
|---|---|---|
| 顧客対応・販売支援 | 顧客管理(CRM)、問い合わせ対応、CRMに組み込まれたAI機能 | 問い合わせの返信や商談の記録を減らしたい |
| 会計・財務・経営 | 会計ソフト、経費精算 | 仕訳や請求書の入力に時間がかかる |
| 総務・人事・給与・教育訓練 | 給与計算、勤怠管理 | 月末の集計に人手を取られる |
| 供給・在庫・物流 | 在庫管理、受発注 | 欠品や過剰在庫が起きている |
| 業種特化型 | 業種専用の業務ソフト | 自社の業界に合う専用機能がほしい |
導入設定・操作説明・定着支援の費用は、通常枠の役務(導入設定・マニュアル設定・導入研修・保守サポート)に当たる分が対象です。ソフトを入れたあとに使いこなすための支援も、見積に入れてよいということです。
AI受託開発が対象外になる理由は、AI開発にIT導入補助金は使える?に書きました。この記事では結論だけ書きます。「個別開発は原則対象外」と覚えてください。
確かめ方は、見積書を4行に分けてもらうことです。製品の利用料、標準設定、データ連携、個別開発に分かれていれば、補助対象の範囲を共同申請の相手と一緒に判断できます。「一式」とだけ書かれた見積は、対象かどうかの判断に使えません。
社員向けのAI研修の費用は、この補助金ではなく別制度の助成金が使える場合があります。対象条件や申請の流れは、AI研修で使える人材開発支援助成金の対象条件と申請5ステップで整理しています。
2026年10月の締切とスケジュール
次の締切は2026年10月30日(金)17:00で、交付決定は2026年12月10日(木)の予定です(事務局「事業スケジュール」、2026年10月2日参照)。17:00を過ぎると、理由を問わず受付できません。
| 項目 | 日付 | 備考 |
|---|---|---|
| 交付申請期間 | 2026年3月30日(月)から | 中小企業庁も同日に受付開始を案内 |
| 締切日 | 2026年10月30日(金)17:00 | 17:00を過ぎると理由を問わず受付不可 |
| 交付決定日 | 2026年12月10日(木)(予定) | この日までは発注・契約・支払いをしない |
| 事業実施期間 | 交付決定〜2027年5月31日(月)17:00(予定) | この間にツールの導入と支払いを終える |
| 事業実績報告期限 | 2027年5月31日(月)17:00(予定) | 事業実施期間の終わりと同じ日時 |
| 以降の募集回 | 随時更新 | 最新は事務局のスケジュールで確認 |
参照日の2026年10月2日から締切までは28日です。GビズIDプライムの発行におおむね2週間かかるため、取得申請が遅れるほど、見積の取得や共同での申請書づくりに使える日が減ります。
締切までの28日のうち、最初の約2週間はGビズIDの発行待ちになる
図の内容: 参照日の10月2日から締切の10月30日まで28日で、そのうちGビズIDの発行におおむね2週間かかり、契約と支払いは交付決定の予定日12月10日より後になる。
確かめ方は、申請を出す前日に、事務局の事業スケジュールのページをもう一度開くことです。日程は更新されるので、「随時更新」とある部分は特に見直してください。10月30日に間に合わなさそうなら、無理に出さず次の募集回を待つ手もあります。次回の日程は「随時更新」とあるだけで、確認できていません。決まるまでの間も、候補ツールが登録済みかの確認と見積の取得は進められます。
申請前に準備すること|GビズIDプライムとSECURITY ACTION
申請の前に必要なのは、GビズIDプライムの取得、SECURITY ACTIONの宣言、IT導入支援事業者とITツールの選定の3つです。前の2つは全枠の交付申請の要件です(事務局「申請を行う前に必要な手続き」、2026年10月2日参照)。
| 準備 | 内容 | 発行の目安 |
|---|---|---|
| GビズIDプライム | 国の行政手続き用の法人・個人事業主向けID | おおむね2週間 |
| SECURITY ACTION | ★一つ星または★★二つ星の宣言(IPAの制度) | 宣言済アカウントIDがおおむね2〜3日 |
| IT導入支援事業者とツールの選定 | 登録ツールの中から選び、共同申請の相手を決める | 見積と打ち合わせの回数による |
事務局のトップには、2026年9月15日更新で「交付申請におけるIPA SECURITY ACTION照合」の障害に関するお詫びが載っています。申請の前に、トップのお知らせで最新の状況を見てください。手続きに障害が出ていたので、早めに動く理由になります。
この3つは順番に見えますが、GビズIDの発行待ちの間に、SECURITY ACTIONの宣言とIT導入支援事業者への相談を並行して進められます。
確かめ方は、IT導入支援事業者に最初の打ち合わせで次の5つを聞くことです。
1. 候補のツールは、今回の募集回で登録済みのITツールですか。
2. 通常枠のどの業務プロセスに当たる製品ですか。
3. 見積を、製品利用料・標準設定・データ連携・個別開発に分けてもらえますか。
4. 交付申請を出すまでに、こちらで用意するものと期日を教えてください。
5. 締切に間に合わなかった場合、次の募集回に同じ内容で出せますか。答えがあいまいな会社は、候補から外して構いません。この質問は、補助金の知識ではなく、ツールの提案力と申請サポートの質を見るためのものです。
補助金の申請前に、どの支援を誰に頼むかを決めておくと発注順で迷いません。診断・試作と実装・研修・定着の4種類と選び方5項目は、AI導入支援の4種類と選び方・補助金の注意点で整理しています。
申請から入金までの流れ|交付決定前の契約は対象外
流れは9つのステップです。最大の注意点は、交付決定の前に契約や支払いをしないことです。事務局の申請フローは、STEP01の本事業の理解から、STEP09の事業実施効果報告まで続きます(事務局「新規申請・手続きフロー詳細」ほか、2026年10月2日参照)。
申請は9ステップで、契約と支払いはSTEP05の交付決定のあと(STEP06)から
図の内容: 申請の9ステップと、交付決定(STEP05)より前に発注・契約・支払いをしてはいけないという境目。
事務局の案内で押さえる点は次のとおりです。
- 交付決定前に発注・契約・支払い等を行った場合は、補助金の交付を受けられない
- STEP08の承認が行われない場合は、補助金が交付されない
- 導入したITツールを解約・利用停止した場合は、辞退の手続きが必要になる場合がある(期間や条件は公募要領で確認)
順番は、先に自社で支払い(STEP06)、そのあとに実績報告と補助金額の確認・承認(STEP07・08)です。いわゆる「後払い」(先に自社が払い、補助金はあとから受け取る形)です。事務局は「後払い」という語では説明していません。ただ、この順番から、支払いの資金を先に用意する必要があると読み取れます。これは編集部の整理です。入金までの資金繰りは、助成金は後払いで詳しく書きました。
確かめ方は、IT導入支援事業者に「ツールの契約日は、いつにしてよいですか」と書面で聞くことです。「交付決定の通知を受けた日より後にする」とメールなどで残せば、社内でも「まだ契約しない」を共有できます。
賃上げの計画|加点項目と、返還の対象になる条件
賃上げの事業計画(3年)を立てて従業員に伝え、達成することは、加点項目として載っています。事務局の「申請を行う前に必要な手続き」で確認できます。賃上げ目標の達成が必須となる枠・類型では、未達成などの場合に補助金の全部または一部の返還を求められます(事務局「交付決定後に必要な手続き」)。どの申請で達成が必須になるかや賃上げの水準は、公募要領で確認してください。
ツール導入費だけを見ずに、人件費の見通しも先に確認してください。確かめ方は、事務局の「申請を行う前に必要な手続き」で、賃上げの計画について書かれた内容を、申請の前に開いて読むことです。
採択を近づける加点項目
加点項目は、先に取れる準備を選ぶと有利になります。例は、事務局の公式ページに次のとおり載っています。一覧は2026年6月3日の更新で、項目の数や点数はこの記事では書きません。点数は公式の加点項目一覧で確認してください。
| 加点項目の例 | 先にやる準備 | 確かめ方 |
|---|---|---|
| クラウド製品の選定 | 候補ツールがクラウド型かを見る | ツールの提供形態を販売会社に聞く |
| インボイス対応製品の選定 | 会計・受発注ソフトで対応の有無を見る | 製品ページとITツール検索で確認 |
| 賃上げの事業計画の策定・表明・達成 | 賃上げの計画と人件費の見通しを確認する | 公募要領で申請する枠・類型の要件を確認 |
| IT戦略ナビwith | 公式の診断ツールを使う | 事務局のサイトで利用方法を見る |
| 健康経営優良法人2026 | 認定の有無を確かめる | 認定を受けていれば、証明を用意 |
| くるみん・えるぼし | 認定の有無を確かめる | 認定を受けていれば、証明を用意 |
| 成長加速マッチングサービス・省力化ナビ・デジタル化セカンドオピニオン | 利用の条件と期限を見る | 公式の加点項目一覧で条件を確認 |
申請書では、導入の効果を具体的に書くことが大切です。事務局の原文に書き方の指定は確認できていないため、ここは編集部の一般的な整理です。次の3点を、申請前に数字つきでメモしておくと書きやすくなります。
- 今の業務に、月に何時間かかっているか
- ツールで、どの作業が何時間減る見込みか
- 減った時間を、何に使うか(売上の増加や、賃上げの原資など)
見込みの数字は、自社で測った値か、販売会社に根拠を聞いた値を使います。根拠のない数字は書かないでください。
導入事例(どの業種が、どのツールで、いくら補助を受けたか)は、この記事では扱いません。公式の数字と自社の実績を確認できていないためです。事例を探すときは、事務局の公式ページとIT導入支援事業者の案内で出典を見てください。
加点には、あとから取れるものと取れないものがあります。認定は短期間で取れないため、今回の締切に間に合わせるなら、取得済みの認定とすぐ使える公式ツールだけを数えます。
補助金が合わないとき|AI受託開発・研修・自動化は別の制度
自社専用のAI開発、AI研修、設備による自動化は、この補助金の守備範囲ではなく、別の制度を見ます。
| 制度 | 対象 | 向く場面 |
|---|---|---|
| デジタル化・AI導入補助金 | 登録されたITツールの導入費 | 既製の業務ソフト・AI搭載ツールを入れる |
| 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース) | 従業員向けの訓練(AI研修など) | 社員にAIの使い方を学ばせる |
| ものづくり補助金 | 革新的な製品・サービスの開発など | 自社の新しい製品・サービスにAIを組み込む |
| 省力化投資補助金 | 省力化の機器・システムの導入 | 人手不足を機械や仕組みで補う |
AI研修は、人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)という別制度の領域です。厚生労働省の同ページには、令和8年(2026年)4月8日版と令和8年8月3日版の案内が並び、変更点の資料もあります。見るときは新しい8月3日版からにしてください。料率や上限額がどちらの版で変わるかはこの記事では扱わないため、最新は公式で確認してください。詳しくはAI研修に助成金は使えるかにまとめています。
自動化は省力化投資補助金でAI自動化は申請できるか、AIの開発はものづくり補助金でAI開発はできるかが行き先です。
やりたいことで制度を分けると、迷う時間が減る
図の内容: AIの費用を補助で賄うとき、やりたいことに応じてデジタル化・AI導入補助金、人材開発支援助成金、ものづくり補助金、省力化投資補助金へ分かれる。
確かめ方は、「何を買うか」と「誰のための支出か」を1行で書くことです。ツールを買うなら本記事、社員を訓練するなら助成金、自社で作るなら開発系の補助金を先に見ます。
何を導入するかが決まっていない場合は、補助金を探す前にAI適用診断とはで、業務のどこにAIが効くかを切り分けてください。そのほうが遠回りになりません。
今すぐ申請準備をしなくていい会社と、この記事に含まれないこと
次に当てはまる会社は、今回の10月30日締切に向けて急がなくて構いません。
- 解決したい業務課題が決まっておらず、どのツールを入れるかも未定の会社
- スクラッチ開発(自社専用にゼロから作る開発)が前提で、既製ツールでは足りない会社(行き先はものづくり補助金でAI開発はできるか)
- 締切までの28日間にGビズID取得・見積・共同での申請書づくりを進める体制がない会社(次の募集回で十分)
- 補助金の有無でツールを決めそうな会社(先に、そのツールが必要かどうかを決めてください)
この記事に含まれないこともあります。
- 採択(=審査に通ること)の保証と、採択率・採択件数の数字(公式の数字を確認していないため。事務局の公式ページで探してください)
- 申請書の作成代行や、特定のIT導入支援事業者・ツールの紹介(事務局サイトのITツール検索で探せます)
- 個別の会社が対象になるかどうかの判定(AI導入の相談窓口で相談先を探してください)
- 補助額の確定試算(本文でも触れた事務局の補助金シミュレーターと、公募要領で確認してください)
確認できていないことも書いておきます。公募要領のPDF全文は読んでいません。採択率も、通常枠でパソコンが対象になるかも確認できていません。いずれも、申請前に公募要領とIT導入支援事業者で確かめてください。
Summary in English
The Digital and AI Adoption Subsidy 2026 (formerly the IT Adoption Subsidy) supports small and medium-sized businesses in Japan in introducing pre-registered IT tools, including software with generative AI features. It does not fund custom AI development. As of October 2, 2026, the official secretariat lists five application frames: the standard frame, two invoice frames, the security measures frame, and a multi-company collaboration frame.
The subsidy rate is up to one half, and up to two thirds if certain conditions are shown. The next deadline is 17:00 on October 30, 2026, with grant decisions planned for December 10, 2026.
Applicants need a GビズID Prime account, which takes about two weeks to issue, a SECURITY ACTION declaration, and a joint application with a registered IT adoption support provider. Contracts and payments made before the grant decision are not eligible. Payment comes first and subsidy confirmation after, so cash flow must be planned. AI training is covered by a separate Ministry of Health, Labour and Welfare grant. Check the official pages for the latest rules.
まとめ|対象を確かめ、交付決定前に契約しない
- この補助金は、AIの開発費ではなく、登録されたITツールの導入費を支援する
- 申請枠は5つで、AI搭載ツールの導入は通常枠が中心。補助額は5万円以上450万円以下、補助率は1/2以内(条件で2/3以内)
- 対象になるのは登録済みのツールと導入に付く役務。個別開発と個人契約のサブスクは、そのままでは対象にならない
- 次の締切は2026年10月30日(金)17:00。GビズIDプライムの発行におおむね2週間かかる
- 交付決定の前に発注・契約・支払いをしない。支払いが先、補助金の確認が後になる
- 持っている認定と、今すぐ使える公式ツールだけを加点の材料にする。賃上げ計画は先に確認する
次にやることは、どれか1つで構いません。
- 今日: 事務局のスケジュールで締切を確認し、GビズIDプライムの取得を申請する
- 今週: 事務局サイトのITツール検索で候補ツールが登録済みかを確認し、販売元のIT導入支援事業者に見積を依頼する
- 今月: 交付申請を締切日より前に出す。間に合わなければ、次の募集回を待つ
何を導入すれば業務が変わるのかで迷っている場合は、AI Expertの無料相談で、補助金の前にやることを一緒に整理できます。
次に読む
- AI研修の費用を助成金で賄いたい → AI研修に助成金は使えるか
- AI開発・受託開発を補助金で → ものづくり補助金でAI開発はできるか
- 入金までの資金繰りが不安 → 助成金は後払い
- 相談先を探したい → AI導入の相談窓口
更新履歴
- 2026-10-02: 初版公開。事務局公式ページ(スケジュール・通常枠・申請前手続き・交付決定後手続き)を反映
- 次回更新予定: 2026年11月(2026年10月30日締切後の次回募集回と、補助率・上限の改定有無を再確認)
本記事は2026年10月2日時点のデジタル化・AI導入補助金事務局の公開情報に基づきます(公開日: 2026年10月2日)。制度は更新されるため、最新の内容は事務局の公式ページ、IT導入支援事業者、社会保険労務士(社労士)・中小企業診断士で確認してください。
参考・出典
- デジタル化・AI導入補助金事務局「デジタル化・AI導入補助金制度概要」 https://it-shien.smrj.go.jp/about/(参照日: 2026年10月2日)
- デジタル化・AI導入補助金事務局「通常枠」 https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/normal/(参照日: 2026年10月2日)
- デジタル化・AI導入補助金事務局「セキュリティ対策推進枠」 https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/security/(参照日: 2026年10月2日)
- デジタル化・AI導入補助金事務局「インボイス枠(電子取引類型)」 https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/digitalbased_invoice/(参照日: 2026年10月2日)
- デジタル化・AI導入補助金事務局「申請を行う前に必要な手続き」 https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/measures/(参照日: 2026年10月2日)
- デジタル化・AI導入補助金事務局「新規申請・手続きフロー詳細」 https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/flow/(参照日: 2026年10月2日)
- デジタル化・AI導入補助金事務局「交付決定後に必要な手続き」 https://it-shien.smrj.go.jp/aftergrantdecision/measures/(参照日: 2026年10月2日)
- デジタル化・AI導入補助金事務局「ITツールの登録申請」 https://it-shien.smrj.go.jp/itvendor/procedure/ittool/(参照日: 2026年10月2日)
- デジタル化・AI導入補助金事務局「事業スケジュール」 https://it-shien.smrj.go.jp/schedule/(参照日: 2026年10月2日)
- 経済産業省 中小企業庁 ミラサポplus「【デジタル化・AI導入補助金2026】交付申請受付開始のお知らせ」 https://mirasapo-plus.go.jp/infomation/32009/(参照日: 2026年10月2日)
- 厚生労働省「人材開発支援助成金」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html(参照日: 2026年10月2日)
- 当社調査: 2026年10月2日に事務局公式サイトの各ページを確認
FAQよくある質問
- AI導入補助金2026の要件は何ですか?
- デジタル化・AI導入補助金事務局の公式ページによると、事前に審査を受けて登録されたITツールを選び、IT導入支援事業者と共同で申請します(複数者連携デジタル化・AI導入枠を除く)。あわせて、GビズIDプライムの取得とSECURITY ACTION(★一つ星または★★二つ星)の宣言が全枠の交付申請の要件です。対象者は、日本国内で事業を営む法人または個人です。
- AI導入補助金はいくらもらえますか?
- 通常枠は、1プロセス以上で補助額5万円以上150万円未満、4プロセス以上で150万円以上450万円以下です。補助率は1/2以内で、最低賃金未満で雇用する従業員が全従業員の30%以上などの条件を示した場合は2/3以内です。枠ごとに補助率と上限が異なり、セキュリティ対策推進枠は5万円〜150万円、インボイス枠(電子取引類型)は下限なし〜350万円以下です。
- AI導入補助金の次の締切はいつですか?
- 事務局の事業スケジュールでは、2026年10月30日(金)17:00が締切日、交付決定は2026年12月10日(木)の予定です(2026年10月2日参照)。17:00を過ぎると理由を問わず受付できません。以降の募集回は「随時更新」とされているため、最新の日程は公式ページで確認してください。
- 個人事業主でもAI導入補助金は使えますか?
- 使えます。事務局の制度概要によると、対象者は日本国内で法人登記され、国内で事業を営む法人または個人です。個人事業主も含まれます。ただしGビズIDプライムの取得やSECURITY ACTIONの宣言は個人事業主にも求められるため、申請前の準備は法人と同じです。
- ChatGPTなどの生成AIの利用料は補助対象ですか?
- 個人や会社が自分で契約した生成AIサービスの利用料が、自動で補助対象になるわけではありません。対象になるのは、事務局に登録されたITツールです。事務局のITツール登録のページでは、生成AIまたは生成AI以外のAI技術の機能を搭載したソフトウェアも、業務プロセスの要件を満たせば登録できると案内しています。使いたいサービスが登録済みかは、IT導入支援事業者に聞いて確かめます。
- パソコンの購入費は補助対象ですか?
- 通常枠の補助対象には、ソフトウェア購入費・クラウド利用料・役務費などが挙がり、ハードウェアの記載は事務局の通常枠ページにはありません。制度概要ページの説明には、インボイス枠(インボイス対応類型)に関連して「PC/ハードウェア」の語があります。購入を考えているなら、公募要領と、共同で申請するIT導入支援事業者の両方で対象かどうかを確かめてください。
- AI研修やAI受託開発の費用にも使えますか?
- AI受託開発のような個別開発は、この補助金では原則対象外です。事務局の補助対象は、登録されたITツールの導入費だからです。AI研修の費用は別制度で、厚生労働省の人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)の領域です。最新の料率や条件は、厚生労働省のページで確認してください。
- AI導入補助金は後払いですか?
- 後払いに当たる順番です。事務局の申請フローでは、交付申請→交付決定→ITツールの発注・契約・支払い→事業実績報告→補助金額の確認・承認の順で、確認・承認が行われないと補助金は交付されません。事務局は「後払い」という語では説明していませんが、支払いが先で補助金の確認が後になるため、先に費用を払える資金が要ります。
- 導入設定や操作説明、定着支援の費用も補助対象ですか?
- ツール導入に付く分は対象です。事務局の通常枠ページでは、役務として導入設定・マニュアル設定・導入研修、保守サポート、導入コンサルティング・活用コンサルティングが挙がっています。ただし登録されたITツールの導入に付く分に限られるため、見積を製品利用料と標準設定に分けてもらい、共同で申請するIT導入支援事業者に確かめてください。
- 締切の10月30日に間に合わなかったらどうなりますか?
- 事務局の事業スケジュールでは、2026年10月30日(金)17:00を過ぎると理由を問わず受付できません。以降の募集回は「随時更新」とされていて、次回の日程は確認できていません。決まるまでの間も、候補ツールの登録の確認と見積の取得は進められるので、最新の日程は事務局のスケジュールで確かめてください。
- 交付決定の前にツールを契約してしまったらどうなりますか?
- 事務局の案内では、交付決定前に発注・契約・支払い等を行った場合、補助金の交付を受けられません。見積の取得や比較は交付決定前でもできますが、契約書への署名や支払いは交付決定の通知を待ちます。迷ったら、契約の前にIT導入支援事業者へ、今の段階で進めてよい作業を聞いてください。

