
結論: AI研修は、事業展開やDX(=デジタルで仕事の進め方を変えること)に関わり、支給要件を満たせば助成金の対象になり得ます。研修を選ぶ前に、対象条件と申請の段取りを確かめてください。この記事では、対象になる研修の見分け方、会社・研修会社・社労士の分担、申請5ステップ、助成金が向かない4ケース、研修会社に送る質問5問を書きます。
この記事の要点
- 厚生労働省の令和8年4月8日版リーフレットでは、通常分の中小企業の経費助成は75%(大企業は60%)。研修費の全額が戻るわけではない
- 申請を検討する入口は3つ。雇用保険の従業員向けであること、事業展開やDX化と結びつけて説明できること、訓練を始める前に計画届(=国の機関の労働局へ出す書類)を出せること
- 申請は会社が行う。外部に書類の作成と提出を頼むなら社労士に相談する。研修会社には研修内容の資料と受講の記録を頼む
- 向かないのは、雇用保険の従業員がいない会社、今すぐ始めたい会社、立替(=先に自社のお金で全額払うこと)の資金がない会社、業務との結びつきを書けない研修の4ケース
- 研修会社を決める前に、助成金の質問5問を送る。答えの具体性で、助成金を前提に頼める会社かどうかが分かる
この記事が向いているのは、自社のAI研修を助成金で使えるか知りたい中小企業の経営者・人事・推進担当の方です。「AI研修を受けさせる」ことは、すでに決めている前提です。eラーニングか伴走型かといった研修の選び方は、AI研修会社の比較・選び方で書いています。制度の基礎と5つの落とし穴はAI研修に助成金は使えるかに任せ、この記事は「研修を頼む側が、助成金を前提にどう動くか」だけを扱います。
今日やることは1つです。候補の研修会社に、本文の「助成金の質問5問」を送ってください。
結論|AI研修で助成金を使える会社・使いにくい会社
検討の入口は、対象の従業員・研修と業務の結びつき・事前の届出です。この3点が揃っても支給が決まるわけではなく、ほかの支給要件も確認します。
ここで言う助成金は、厚生労働省の人材開発支援助成金のうち「事業展開等リスキリング支援コース」です。新規事業やDXに向けた人材育成を国が後押しする制度で、会社が先に研修費を払い、あとから審査を経て一部が戻ります。新規事業をしていない会社が対象になるかは、公式ページで確かめたうえで、社労士か労働局に聞いてください。労働局は、都道府県ごとにある国の機関で、助成金の相談窓口もあります。設備やシステムの導入を支える補助金とは、対象や手続きが異なります。補助金の側はAI 導入 補助金|2026年度の5枠と補助額・申請の流れで整理しています。
| 条件 | 申請を検討できる会社 | 対象外・使いにくい会社 |
|---|---|---|
| 対象の従業員 | 雇用保険に加入している従業員(給与から雇用保険料が引かれている人)が受ける | 雇用保険の従業員がいない(代表者だけの会社など) |
| 研修の中身 | 業務がどう変わるかを説明できる | 「AIを知っておく」だけの一般教養は対象外 |
| 申請のタイミング | 訓練を始める前に計画届を出せる | すでに研修を始めた、来週から始めたい |
役員やパートの扱いは、人事・労務の記録で加入状況を見たうえで、社労士か労働局に確かめてください。
AI研修で技能を身につけさせる目的なら、この記事の人材開発支援助成金を先に調べます。研修費の考え方はAI研修の費用相場も参考になります。
確かめ方は、社内で「この研修を受けた人の、どの業務がどう変わるか」を短く書くことです。書けなければ、研修の目的から整理しましょう。
対象になる研修の見分け方6点
対象を検討するときは、業務との関係・形式・時間・eラーニングの扱い・研修会社の説明・1人あたりの上限額の6点を見ます。公式の要件に書かれていないことは、この記事では断定せず、最後は労働局か社労士で確かめる前提にします。
| 点 | 確かめること | NGの例 |
|---|---|---|
| ① 業務が変わると書けるか | 受講後に、どの部署のどの作業が変わるか | 「全社員がAIに慣れる」だけ |
| ② 訓練の形式 | 企業の事業活動と区別して行われる訓練か | 普段の仕事をしながらの「自習」 |
| ③ 時間 | 研修の総時間と、受講者ごとの受講時間を記録できるか | 受講の記録を取らない運用 |
| ④ eラーニングの扱い | eラーニング(=動画などを自分で見る形)・定額制(=月額で受け放題の型)は経費助成のみで賃金助成がない扱いだと理解しているか | 賃金助成も出る前提で資金計画を立てる |
| ⑤ 研修会社の説明 | 助成金の質問に具体的に答えるか | 代行する担当者と支援範囲を答えない |
| ⑥ 1人あたりの上限額 | 研修費の総額と、1人あたりの助成の上限を並べて見たか | 上限を調べず、見積額の75%が戻る前提にする |
上の表のうち、公式の数字(訓練の時間の下限、1人あたりの上限額、同じ人が受けられる回数の上限など)は、本記事では書いていません。出典の厚生労働省リーフレットと、最新の公式ページで確認してください。一般に、助成率や時間の数字が無い解説も多いので、数字を見かけたら出典の版と日付を確かめるのが安全です。
厚生労働省の令和8年8月3日の改正リーフレットでは、DX化に関する訓練のうち、特定の業務に結びつかない汎用的な内容(例: 汎用的なプロンプトの作り方だけを学ぶ訓練)は助成対象外と明記されました。自社のどの業務で使うかを演習の題材に入れて、業務との結びつきを書けるようにします。版による扱いや回数の上限の違いは、計画届を出す前に最新の案内を労働局で確かめてください。
「申請サポート」だけでは、資料提供か申請代行かが分かりません。自社申請と社労士への依頼も分けて確認します。研修会社が「無料で全部代行します」と言うときは、実際に書類を作る人が社労士かどうかを聞いてください。詳しくは、AI研修の相見積もりの助成金の節で書きました。
確かめ方は、自社の研修案を表の①〜⑥に当てはめ、答えられない行を研修会社に聞くことです。答えられない行が残る研修は、計画届を書く前に内容を見直します。
料率は1表だけ|令和8年4月8日版リーフレットの数字
通常分の経費助成は中小企業75%・大企業60%、賃金助成は1人1時間につき中小企業1,000円・大企業500円です。通常分とは、上乗せ(加算)を含まない基本の分を指します。出典は厚生労働省の令和8年4月8日版リーフレットです。
| 項目 | 中小企業 | 大企業 |
|---|---|---|
| 経費助成(研修費の一部) | 75% | 60% |
| 賃金助成(訓練中の賃金の一部) | 1人1時間 1,000円 | 1人1時間 500円 |
賃金助成は、受講する人数と受講時間に1時間あたりの額を掛けて考えます。上限は公式資料で確認してください。中小企業と大企業の線引きも、公式の定義で確かめます。
この数字を使うときの注意です。
- 表は出典の版を限った参考値です。最新の支給要件や加算まで反映した見積額ではありません。申請時に使う資料と条件は、公式ページと労働局で確かめてください
- このコースは、令和8年度末(2027年3月)までの時限措置です。期限から逆算した動き方は、2027年3月末期限の助成金で書いています
- 同じ公式ページには、令和8年4月8日版のほかに、8月3日版の案内も載っています。8月3日版の詳細パンフレットでも通常分の料率は同じです。ただし対象外になる訓練の範囲が変わりました(前節)。申請前に改正後の要件を確認してください
広告の負担軽減率には、賃金助成を足した計算が含まれる場合があります。表の経費助成率と同じ数字として比較してはいけません。広告の数字の見方は、AI研修広告の負担額を読む方法に任せます。モデル計算はAI研修に助成金は使えるかにあります。
研修会社には、見積書に書かれた助成率の出典を聞きましょう。版と日付が答えられない会社は、数字を古い資料から引いていないか疑ってください。
事前相談の準備|会社の情報と研修の情報を分けて持ち寄る
事前相談には、自社で確認する情報と研修会社から受け取る資料を分けて持っていきます。担当を分けると、返事待ちで止まっている理由も見つけやすくなります。顧問の社労士がいない会社は、労働局の相談窓口か、社労士への新規の相談から入口を作ります。
自社で整理するのは、受講予定者の所属と担当業務、研修の目的、希望時期です。雇用保険の加入状況は、人事や労務の担当者が手元の記録で確かめます。受講予定者の情報を、問い合わせ先の研修会社へ最初からすべて渡す必要はありません。個人情報を送る範囲と方法は、相談先に確認してください。
研修会社には、講座名だけでなく、内容・形式・日程・費用の内訳を頼みます。「生成AIの基礎を学ぶ」という説明だけなら、演習内容まで聞きましょう。営業資料の紹介文と、申請に使う研修資料が同じとは限りません。申請の準備に使える資料をいつ受け取れるかも大事です。
| 持ち寄る情報 | 主に準備する側 | 相談で確かめること |
|---|---|---|
| 受講予定者と担当業務 | 会社の人事・所属部署 | 誰のどの仕事に必要な訓練か |
| 事業展開やDXの計画 | 会社の責任者 | 研修で身につける技能とのつながり |
| 内容・形式・日程 | 研修会社 | 予定する訓練が要件に合うか |
| 見積書と支払い条件 | 研修会社と会社の経理 | 対象経費と立替の範囲 |
| 届出と申請の予定 | 自社の担当者または社労士 | 適用する資料と提出期間 |
この表は相談の準備用です。正式な添付書類をすべて列挙したものではありません。必要書類は申請するコースや訓練の形式に合わせて確認します。「この表を埋めれば申請できる」とは考えないでください。
相談した結果は、結論だけでなく前提も残しましょう。たとえば、どの形式の研修として相談したかを記録します。後から録画視聴へ変えると、当初の相談結果をそのまま使えるとは限りません。担当者の返事と、見てもらった資料を一緒に保存すると混乱を減らせます。
空欄を残したまま準備表を関係者に回しましょう。誰が何を埋めるかを決め、確認できた情報から相談先に伝えます。分からない項目を、営業担当の推測で埋めないことが大切です。
業務とのつながり|研修で学ぶ技能と受講後の仕事を書く
研修の目的は、学ぶ機能の名前よりも、受講後に担当者ができるようになる仕事で表します。業務名・学ぶ技能・確認方法をつなげると、研修会社と話しやすくなります。
たとえば営業部門なら、「AIを使えるようになる」だけでは範囲が広すぎます。提案書の構成を考えるのか、顧客向けの説明を整えるのかを絞ります。そのうえで、参照資料を選ぶ方法や、生成された文章の事実を確かめる方法を学びます。ここでの例は研修設計の説明用で、受給が認められた実例ではありません。
事務部門なら、問い合わせの分類や回答案づくりを題材にできます。ただし、操作手順を覚えるだけでは業務に戻ったときに迷います。判断に迷う問い合わせを、人に戻す基準も演習に含めるとよいでしょう。研修の成果を「自動返信できた」だけで評価しないためです。
演習には、個人情報を含まない架空の資料を使う方法があります。顧客の連絡先や未公開の取引内容を、そのまま教材へ転記する必要はありません。自社の実際の判断手順を、架空の入力でも練習できるようにします。機密情報を出さずに業務との結びつきを説明できるかも、研修会社に相談してください。
業務の課題から学ぶ技能を決め、受講後の確認までつなげる
図の内容: 業務の課題から学ぶ技能を決め、受講後に仕事へ使えるかを確認する。これは研修設計の例であり、助成対象の認定を示す図ではない。
受講後の確認は、担当者が草案を作り、自分で点検できるかを見る形でも構いません。研修の満足度だけでは、仕事に戻って使えるかは分かりません。誤った情報を見つけたら修正できるか、判断できない箇所を人に聞けるかも見ます。こうした確認方法を決めておけば、受講後の練習も組み立てやすくなります。
一方、教材に業務名を入れただけで助成対象になるわけではありません。会社が進める事業展開やDXの内容と、訓練の必要性を合わせて説明します。社内向けの研修目標と、制度上の要件に合っているかは、分けて見直しましょう。
研修会社の提案書で、演習と仕事の対応を追いましょう。対応が見えない項目は、何のために学ぶかを聞きます。助成金のために不要な講座を足す前に、本来の業務課題へ戻って考えてください。
申請5ステップ|会社・研修会社・社労士の分担表
申請は「事前相談→研修選定→訓練計画届→研修と記録→支給申請」の5ステップで、会社が申請者です。以下は、書類を社労士に依頼し、研修会社に内容と記録を頼む場合の分担です。期限の日数はこの記事では断定せず、訓練開始前に提出期間を確かめます。開始直前でも間に合うという意味ではありません。
研修を決めるのは計画届の前。計画届は訓練を始める前に出す
図の内容: 助成金の申請は、事前相談・研修選定・訓練計画届までを訓練開始前に済ませ、研修と記録のあとに支給申請をする5ステップである。
分担は次のとおりです。自社で申請する場合は、社労士の欄を会社が担当します。
| ステップ | 会社 | 研修会社 | 社労士 |
|---|---|---|---|
| ① 事前相談 | 対象の従業員と目的を決めて相談する | まだ関与しない | 自社が使えるかを一緒に見る |
| ② 研修選定 | 質問5問を送り、答えを比べる | 研修内容と助成金への対応を答える | 候補の研修が要件に合うか見る |
| ③ 訓練計画届(以下、計画届) | 業務がどう変わるかを説明する | 研修内容の資料を出す | 書類を作り、提出する |
| ④ 研修と記録 | 研修費を全額立て替え、受講の記録を残す | 研修を行い、受講の記録を出す | 記録の不足を点検する |
| ⑤ 支給申請 | 申請の内容を確認し、入金を待つ | 求められた資料を出す | 支給申請の書類を作り、提出する |
期限は2か所にあります。計画届は、訓練を始める日より前の決まった期日までに出します。支給申請も、研修が終わってから決まった期間内に出します。日数はこの記事では書きません。社労士か労働局に、次の2つを聞いて日付を手帳に書いておきましょう。
- 計画届は、研修初日の何日前までに出せばよいか(自社の初日だと、いつが締切か)
- 支給申請は、研修の終了日から数えて、いつまでに出せばよいか
手順の細部と、実務でつまずく箇所は人材開発支援助成金の申請の流れを時系列で解説に任せます。この記事で大事なのは、研修会社の選定(②)を、計画届(③)より前に終えておくことです。研修内容が決まらないと、計画届に書けません。
自社で申請を担当する人と、相談先を決めましょう。社労士に依頼するなら、研修会社を決める前に支援範囲を聞きます。
受講中の記録|終わってから集めず、開始前に担当を決める
受講と支払いの記録は、研修が始まる前に残し方を決めます。必要な書類は公式資料で確認し、会社の記録と研修会社の記録を照合できる形にします。
受講者の所属部署は、予定していた人が実際に出席したかをつかみます。研修会社は、内容や受講状況を確認できる資料を用意します。経理は、請求書と支払いを示す資料を管理します。申請担当者が最後にすべて探す形では、欠けた資料に気づくのが遅れます。
オンラインの研修では、出席を示す資料を先に聞いてください。受講履歴を出せるか、会社が保存できるか、保存の担当は誰かを決めます。画面を開いていた記録だけで、出席の確認として足りるとは限りません。必要な証明の形式に合わせて運用を決めましょう。
欠席、途中退席、日程変更が起きた場合も、実際の状況をそのまま残します。予定どおりに見せるため、後から受講の記録を合わせてはいけません。変更が申請にどう影響するかは、社労士や労働局へ相談します。研修会社にも連絡し、振替や資料の修正ができるかを聞いてください。
会社内の記録と研修会社の記録で違いがあれば、理由を調べます。氏名の表記や日付の違いでも、別の受講として扱われると照合に手間がかかります。元の記録を残したうえで、正しい情報へ揃えましょう。修了証だけですべて足りると決めつけないことも大切です。
研修開始前に、記録の見本を見せてもらいましょう。自社の申請担当者がその資料を使えるか確認します。記録を受け取る時期も決めておくと、研修後の支給申請へつなげやすくなります。
資金計画|助成金で戻る見込みの額と先に支払う額を分ける
社内の予算には、先に支払う額と、審査後に受け取る見込額を別々に書きます。助成金を差し引いた負担額だけでは、支払日に必要な資金が分かりません。
見積書では、研修費の総額とその内訳を読みます。教材や利用環境の費用が別なのか、申請の相談費用が含まれるのかも聞きます。それぞれが助成対象になるかは、別の確認です。「研修に関連する支払いだから全部が対象」とは考えないでください。
経費助成と賃金助成も分けて扱います。前者は研修費の一部を、後者は訓練中の賃金の一部を支えます。両方を足した見込額を、研修会社が値引きする額のように読むと資金計画がずれます。会社が研修費を払うことと、助成金を受け取ることは別の取引です。
| 予算に書く欄 | 確認する相手 | 決めておくこと |
|---|---|---|
| 先に支払う研修費 | 研修会社・経理 | 総額、請求日、支払日 |
| 研修以外の費用 | 各費用の請求元 | 含まれる範囲、別途必要な費用 |
| 見込助成額 | 申請担当者・社労士 | 対象経費、適用条件、計算の出典 |
| 助成金が入らない場合 | 社内で最終判断する人 | 研修を続けられる予算か |
| 日程変更や中止 | 研修会社 | 変更料、取消条件、連絡方法 |
支給される前提の予算と、支給されない場合の予算を比べると判断しやすくなります。後者で研修を続けられないなら、契約前に範囲や時期を見直します。会社の資金が足りないことを、入金日の楽観的な予想で埋めないでください。
不支給の場合に研修費が返金されるかは、制度の料率とは別の契約条件です。営業担当の口頭説明だけで判断せず、契約書や見積条件の該当箇所を示してもらいます。途中解約や人数変更についても同様です。保証の言葉があっても、適用条件と負担する側が分からなければ比較できません。
経理担当者に見積書と申請予定を一緒に渡しましょう。入金予定がずれても、通常の支払いを続けられるか見てもらいます。立替の考え方は、助成金の後払いと資金繰りも参考にしてください。
助成金が使えない・向かない4ケース
次の4ケースでは、助成金を前提にしないほうが安全です。助成金を前提に進めると、計画届が通らなかったときに、日程と資金が崩れます。
| ケース | なぜ向かないか | 行き先 |
|---|---|---|
| ① 雇用保険に入る従業員がいない(一人会社など) | 対象が従業員のための研修だから | 助成金なしで研修費を組む。費用感はAI研修の費用相場 |
| ② 今すぐ始めたい | 計画届は訓練を始める前に出す前提だから | 少人数・短時間で、助成金を使わずに先に始めるか、次の研修から助成金の対象にする |
| ③ 立替の資金がない | 研修費は先に全額払い、あとから戻る後払いだから | 助成金は後払い |
| ④ 業務との結びつきを説明できない | 事業展開やDX化と結びつける必要があるから | 研修の中身を業務題材に作り直す |
②については、時限措置のため「期限までに間に合わせたい」という焦りで動く会社も出ます。焦って計画届の中身を薄くするより、間に合わなければ助成金を外すと割り切るほうが、あとで困りません。逆算の考え方は2027年3月末期限の助成金にあります。
④は、研修会社に「自社のこの業務で演習できますか」と聞くと分かります。一般の会社でも、営業なら提案書づくり、事務なら入力と確認の作業のように、部署と作業を指せるかどうかが基準です。
なお、助成金の周りには不正受給を招く誘い文句もあります。たとえば「無料で受けられる」「必ず出る」という勧誘、受講していない人の記録を作る提案、実際より高い費用の請求書を作る提案です。こうした言葉を営業から聞いたら、条件を書面で出してもらい、受けないと決めたらやり取りを記録に残してください。受講の実態と請求の中身を、そのまま書類にするのが原則です。
4ケースのうち自社に当てはまるものを、今日1つずつ○×で書きましょう。1つでも○なら、先にそれを解く手を決めます。
研修会社へ送る質問5問(コピーして使える)
質問は、助成金の実績・書類の担当・対象外のときの費用・計画届の書き方・立替の時期の5つです。候補の全社に同じ文面を送り、答えの具体性で比べます。
件名: AI研修のお見積りと助成金対応について
お世話になっております。AI研修の導入を検討しており、人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)の利用を検討しています。下記5点をご回答ください。
1. 助成金を使った研修の実績はありますか。ある場合、どの制度・どの版の資料(厚生労働省の資料の発行日)に基づいて対応していますか。
2. 計画届や支給申請の書類は、どなたが作成・提出しますか。社労士との連携は前提ですか。
3. 助成金の対象外になった場合、研修費はどうなりますか。
4. 計画届に載せる研修内容は、自社のどの業務を題材に書けますか。具体例を2つ教えてください。
5. 研修費の請求と支払いは、いつ・どの順で行いますか(立替の時期を知りたいです)。
回答の期限: ◯月◯日返事では、資料の版・書類の担当・対象外のときの費用を見ます。業務の例と支払い時期も具体的なら、社内で比較しやすくなります。説明の丁寧さと受給できるかどうかは、分けて判断してください。
当社(AI Expert)の、実際の仕事を題材にしたAI研修は、助成金活用を相談できるオプションです。制度の利用や受給を保証するサービスではありません。申請の支援範囲や社労士への依頼は、研修内容とは分けて相談してください。
質問を送ってから返事が来るまでの日数を記録しましょう。助成金の質問に答えられない会社は、計画届の段階でも止まりやすくなります。
早見表|助成金を前提に研修を頼むときの良い答え・NGの答え
研修会社の答えが良いかは、次の表と照らすと分かります。見るのは、5つの質問への返事と、5問の外にある受講の記録の答えです。上5行は質問テンプレと同じ順で、最下行の「受講の記録」だけが5問の外です。
| 質問 | 良い答え | NGの答え |
|---|---|---|
| 助成金の実績 | 制度名と資料の版・日付で答える | 「たくさん通しています」だけ |
| 書類の担当 | 自社申請か社労士への依頼か、担当を答える | 「全部こちらで無料代行します」 |
| 対象外のとき | 費用の扱いを書面で示す | 「対象外にはなりません」と言い切る |
| 計画届に載せる中身 | 自社の業務を題材にした例を出す | 汎用のカリキュラムを渡す |
| 立替の時期 | 請求と支払いの順を具体的に答える | 「負担はないので心配いりません」 |
| 受講の記録(5問の外) | 実際の出席を、記録で残す方法を答える | 「出席の記録は後で合わせます」 |
自己負担を小さく見せる広告の読み方は、AI研修広告の負担額を読む方法にまとめています。
先に払って、あとから戻る。立替の期間を資金計画に入れる
図の内容: 研修費は先に全額払い、研修を行い、支給申請・審査を経て、支給が決まる。そのあいだは会社の資金で立て替え、入金の日数は審査による。
今すぐ読まなくていい会社と、この記事に含まれないこと
次の3つに当てはまる会社は、この記事を今すぐ読まなくて構いません。
- 研修を始めるのは来年度以降で、まだ研修会社も絞っていない
- 雇用保険に入る従業員がおらず、代表者が1人で学ぶ予定である
- すでに社労士と進めていて、計画届の準備に入っている
この記事に含まれないことと、その行き先です。
- 補助金(デジタル化・AI導入補助金〈旧IT導入補助金〉など)の選び方と申請 → AI 導入 補助金|2026年度の5枠と補助額・申請の流れ
- 申請の手順の細部と、つまずく箇所 → 人材開発支援助成金の申請の流れを時系列で解説
- 研修会社そのものの比較・選び方 → AI研修会社の比較・選び方
Summary in English
AI training can qualify for the Human Resources Development Support Subsidy (the Business Expansion Reskilling Support Course) in Japan, but only if companies plan around it before choosing a training provider. The figures here come from the Ministry of Health, Labour and Welfare’s leaflet dated April 8, 2026 (Reiwa 8). For the standard portion, it gives a 75% expense subsidy and a wage subsidy of 1,000 yen per person per hour for small and mid-sized companies. Large companies receive 60% and 500 yen. Check current official requirements before applying. The course is a temporary measure that runs until the end of fiscal year 2026.
Companies can consider applying when the training is for employees covered by employment insurance, can be tied to a change in actual work, and the training plan is submitted before training begins. The company applies and may prepare its own documents or ask a labor and social security attorney for help. The training provider supplies course content and attendance records. The company pays the full fee first and is reimbursed after review. The approach is poorly suited to companies without insured employees, companies that must start immediately, companies that cannot pre-fund the fee, and courses that cannot be tied to specific tasks. The article includes five questions to send to training providers and a quick-reference table of good and bad answers. Consult a labor and social security attorney or the local labor bureau before applying.
まとめ|助成金の条件は研修を決める前に確かめる
助成金は、研修を決めたあとではなく、決める前に条件と動き方を確かめます。
- 使える見込みがあるのは、雇用保険の従業員向けで、業務の変化を説明でき、訓練前に計画届を出せる会社
- 通常分の経費助成は中小企業75%・大企業60%(令和8年4月8日版リーフレット)。最新の適用条件は申請前に公式資料で確認する
- 申請は会社が担う。社労士に依頼する場合も、研修会社の資料提供とは分ける
- 向かないのは、雇用保険の従業員がいない・今すぐ始めたい・立替の資金がない・業務との結びつきを書けない、の4ケース
- 研修会社には、決める前に質問5問を送り、答えの具体性で比べる
次のアクションは、3つのうちどれか1つで構いません。
- 今日: 候補の研修会社に、助成金の質問5問を送る
- 今週: 顧問の社労士に、自社の従業員とAI研修の目的を伝えて、使えるかを聞く
- 今月: 返事を比べて、助成金を前提にする研修会社を1社に絞る
助成金を前提にした研修の組み立てで迷ったら、初回30分の無料相談で、候補の研修内容と進め方を一緒に整理できます。
次に読む
- 立替の資金繰りを知りたい → 助成金は後払い|申請から入金までの資金繰りで失敗しないための基礎知識
- 期限から逆算したい → 2027年3月末期限の助成金|駆け込み申請で失敗しないスケジュール設計
- 広告の数字の見方を知りたい → AI研修広告の負担額を読む方法
- 補助金も調べたい → AI 導入 補助金|2026年度の5枠と補助額・申請の流れ
更新履歴
- 2026-10-03: 初版公開。厚生労働省リーフレット令和8年4月8日版の料率を反映し、8月3日版でも通常分の料率が同じことと、対象外となる訓練の変更を確認
- 次回更新予定: 2026年11月(料率・対象訓練の範囲・申請要件に追加の変更がないか公式資料で確認)
本記事は2026年10月3日時点の厚生労働省の公開資料と当社サービス概要に基づきます(公開日: 2026年10月3日)。助成金の要件・料率は年度の途中で変わることがあるため、最終判断は社労士・労働局でご確認ください。
参考・出典
- 厚生労働省「新規事業展開やDX推進等の人材育成に『人材開発支援助成金』が活用できます~『事業展開等リスキリング支援コース』のご案内~」概要リーフレット(令和8年4月8日版) https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001687619.pdf(参照日: 2026年10月3日)
- 厚生労働省「人材開発支援助成金」(コース別の公式資料と相談窓口) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html(参照日: 2026年10月3日)
- 厚生労働省「令和8年8月3日からの変更点について」改正リーフレット(参照日: 2026年10月3日)
- 厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)」(令和8年8月3日版)詳細パンフレット(参照日: 2026年10月3日)
- 当社サービス概要(2026年10月3日時点)
FAQよくある質問
- 人材開発支援助成金とは何ですか?
- 会社が従業員に職業訓練を受けさせたとき、研修にかかった費用や訓練中の賃金の一部を国が助成する制度です。AI研修で使う場合は、そのうちの事業展開等リスキリング支援コースが中心になります。厚生労働省の令和8年4月8日版リーフレットでは、通常分の中小企業は経費助成が75%、賃金助成が1人1時間1,000円です。申請するのは会社で、先に研修費を全額払い、あとから審査を経て支給されます。
- 助成金はいつ振り込まれますか?
- 研修が終わってから支給申請を出し、審査を経て支給されます。入金までの日数を本記事では断定しません。そのあいだ研修費は会社が先に全額立て替えます。入金の時期は、申請内容や審査の状況で変わります。
- AI研修に使える助成金はありますか?
- 人材開発支援助成金の事業展開等リスキリング支援コースが、AI研修で検討される中心の制度です。新規事業やDX(=デジタルで仕事の進め方を変えること)に関わる人材育成が対象で、研修の中身を業務の変化と結びつけて説明できることが前提です。同じ名前の民間広告や補助金とは別の制度なので、公式ページで確かめてください。
- 生成AI研修でも助成金の対象になりますか?
- 対象になり得ます。厚生労働省の令和8年8月3日の改正で、DX化に関する訓練のうち、特定の業務に結びつかない汎用的な内容(例: 汎用的なプロンプトの作り方だけを学ぶ訓練)は助成対象外と明記されました。自社のどの業務がどう変わるのかを書ける内容にすると、計画届に載せやすくなります。申請前に社労士や労働局へ相談し、支給の可否は労働局の審査で決まります。
- 個人でもAI研修の助成金は使えますか?
- この助成金は、事業主(会社)が従業員のために申請する制度です。個人が自分の受講料を受け取るための制度ではありません。個人向けの別の給付制度については、条件が異なるため、ハローワークなど公式の窓口で確認してください。
- AI研修の助成金の申請は誰が行いますか?
- 申請するのは会社で、自社で書類を作って提出する方法もあります。外部へ申請代行を頼む場合は、社会保険労務士(社労士)に相談してください。研修会社には研修内容の資料と受講の記録を依頼し、代行を担う資格者や費用は別に確かめます。
- eラーニングのAI研修でも助成金は出ますか?
- 出る場合がありますが、扱いが違います。厚生労働省のリーフレットでは、eラーニングや定額制のサービスは、経費助成のみで賃金助成はない扱いです。対象になるかは研修の形式で決まるため、計画届を出す前に社労士か労働局で確かめてください。
- 計画届はいつまでに出せばよいですか?
- 計画届は、訓練を始める前に出します。研修を始めたあとでは間に合いません。何日前までかは、コースや年度の案内で決まっています。研修の初日から逆算した締切を、社労士か労働局に確かめてください。支給申請にも別の期限があり、研修が終わってから決まった期間内に出します。
- 「無料でAI研修を受けられる」という勧誘は信用できますか?
- そのまま信用しないでください。助成金は、研修費の一部が審査のあとに戻る後払いの制度で、全額が必ず出る保証はありません。受講の実態と違う記録や、実際より高い請求書を作る提案は、不正受給につながります。提案の中身と、書類を作る人が社労士かどうかを確かめてから決めてください。
- AI補助金と助成金は同じですか?
- 同じではありません。名称だけで申請方法や審査の仕組みを判断することはできません。人材開発支援助成金では支給要件と手続きが定められ、申請後に審査があります。AI研修で検討する人材開発支援助成金は助成金の側で、補助金は別制度として確認します。

