AI研修の相見積もり|3社を比べる10項目と質問テンプレ5本【2026年8月】
結論: AI研修会社は「導入実績◯◯社」の多さではなく、人・中身・研修のあと・お金と契約の4つの軸に分けた10項目で比べると、外れを引きにくくなります。この記事では、相見積もりの段階でそのまま使える比較10項目、発注側が要求してよい条件、見積書の読み方、契約前に気づきたいNGサイン7つ、候補の会社に送る質問テンプレ5本、3社を横並びにする評価シートの作り方を順に書きます。
この記事の要点
- 講師には「先月、自分の仕事でAIをどう使ったか」を聞く。具体的な答えが返らなければ、研修も機能の紹介で終わりやすい
- 教材は「最終更新日」を日付で答えてもらう。生成AIは数か月単位で変わるので、半年前の教材はもう古い
- 見積は総額ではなく「教材費・講師費・環境構築費(=AIを使える状態にする準備の費用)」の内訳で比べる。内訳を出せない会社は候補から外してよい
- 助成金は2026年8月3日の改正で「汎用的なプロンプトの作り方」の研修が対象外になった。助成金ありきの提案はここで見分けがつく
- 当社が2026年8月に21社のサイトを調べたところ、社名と数字がそろった事例を載せていたのは2社。実績は「見せ方」で確かめる
この記事は、AI研修の相見積もりを取っている方、これから取ろうとしている方に向けて書いています。中小企業の経営者、人事、社内のAI活用を進める担当者です。eラーニングにするか、講師が入る研修にするか。この「型」の選び方はeラーニング型と伴走型の違いに書きました。この記事は、型を決めた後に候補の会社をどう審査するかへ絞ります。
今日やることは1つです。この記事の「質問テンプレ5本」をコピーして、候補の会社すべてに同じ文面で送るだけです。回答を横に並べた時点で、候補はかなり絞れます。
「導入実績◯◯社」で選ぶと失敗する理由
導入実績の社数は、研修会社を比べる物差しとしてほとんど役に立ちません。中身が見えず、満足度は作れてしまい、教材は古くなるからです。
- 実績の中身が見えない: 1回90分の講演も、半年かけて講師が何度も通う支援(伴走支援)も、同じ「1社」と数えられます。自社が求める形の実績かどうかは、社数からは分かりません
- 満足度は設計次第で上がる: 研修直後のアンケートが測っているのは、たいてい「面白かったか」です。「仕事のやり方が変わったか」は測っていません
- 生成AIは変化が速すぎる: 2年前の実績で使った教材と、いま提供される教材が同じとは限りません。むしろ同じだったら問題です
実績の「見せ方」そのものも判断材料になります。当社が2026年8月13日に、AI導入支援・研修を手がける21社のサイトと公開資料を調べたところ、社名と数字の両方がそろった導入事例を載せていたのは2社でした。残りは「某大手製造業」のような匿名の事例か、社名はあっても数字がない事例でした。1社は、事例のひな形の数値欄が「0h/0%」のまま公開されていました(当社調査・2026年8月時点。AI導入支援・研修・AI顧問を手がける会社を公開情報から21社選び、問い合わせの入口・価格の公開・事例の見せ方・集客の流れを1社ずつ確認)。会社名を伏せた事例しかないからといって、それだけで外す必要はありません。「どの研修を何時間やって、仕事の何が変わったのか」と質問し、答えがどれだけ具体的かで判断します。
「前に頼んだ研修は盛り上がったのに、3か月後には誰も使っていない」という話は珍しくありません。原因は研修会社だけにあるとは限りません。選ぶ段階で「研修の後に仕事のやり方が変わる作りになっているか」を確かめなかったことが、多くの場合の原因です。だからこそ、比べる項目を先に持っておく必要があります。
相見積もりを取る前に、内製も比較対象に入れる
相見積もりを取る前に、「外部の研修会社に頼むのか、それとも自社の社員が教える形で自前でやるのか」も一度は考えておきます。経済産業省とIPA(情報処理推進機構)が公開しているデジタルスキル標準(DSS=どんなデジタルの技能を誰に持たせるかを国が整理した一覧)は、自社で育てたい技能を書き出すときにそのまま使えます(IPA・デジタルスキル標準)。
現実的なのは「1回目は外部の研修会社に頼み、そのときに研修の組み立て方も教わって、2回目からは自社の社員が教える」という形です。この場合は、比較項目③(自社の業務で演習=実際に手を動かす練習ができるか)と⑥(研修後のフォロー)を、とくに重く見ることになります。研修会社が「内製化(=外部に頼らず社内だけで回せるようにすること)の手伝い」まで考えた提案をしてくれるかも、聞いてみるとよいです。社内で回せる状態を何と呼ぶかは、AI内製化とはで定義しています。
AI研修会社の比較で見るべき10項目
AI研修会社を比べる10項目は、①講師の実務経験、②教材の更新、③自社の業務で演習できるか、④カリキュラムの変更範囲、⑤ツールと情報管理ルールが合うか、⑥研修後のフォロー、⑦効果の測り方、⑧見積の内訳、⑨契約条件と追加費用、⑩小さく試せるか、の10です。相見積もりの段階で、候補の会社すべてに同じ質問をぶつけてください。どう答えるか、どれだけ早く返すかに、その会社の実力が出ます。
10項目は「人」「中身」「研修のあと」「お金と契約」の4つの軸に分けると覚えやすくなります。軸ごとに1つずつ質問を用意すれば、聞き漏らしません。4つの軸のどれか1つが空白の会社は、残りが良くても後で困ります。
10項目の地図(番号を押すとその項目へ飛びます)
人 | 聞くこと: 先月、自分の仕事でAIをどう使ったか
中身 | 聞くこと: 教材の最終更新日/自社の資料で演習できるか
お金と契約 | 聞くこと: 教材費・講師費・環境構築費に分けて
軸ごとに「聞くこと」を1つ添えています。質問の文面は「コピーして使える質問テンプレ5本」に置きました。
① 講師の実務経験(最重要)
「AIに詳しい講師」と「AIを自分の仕事で使い倒している講師」は別物です。確かめ方は簡単です。「当日登壇する講師が、直近1か月で自分の業務にAIをどう使ったか、具体例を3つ教えてください」と聞いてください。
実務で使っている講師なら、答えに判断の基準が混じります。「議事録の要約はこの手順で処理している」「この場面では使うが、この場面では使わない」といった具合です。機能の説明しか返ってこないなら、研修も機能の紹介で終わりがちです。肩書きや対応ツールの数を重く見すぎない方がよい理由は、講師の肩書きやツール数は重要ですかでも書きました。
② 教材の更新頻度
ChatGPTなどの生成AIは、中身が数か月単位で新しくなります。教材が半年更新されていなければ、画面の見た目が今と違う、料金が改定前のまま、勧めるツールがすでに古い、といったことが普通に起きます。
確かめたいのは、いつ更新したか、どのくらいの頻度で更新するか、研修日までに更新してくれるか、の3つです。
- 教材の最終更新日(「常に最新です」ではなく、日付で答えてもらう)
- 更新の頻度ときっかけ(毎月の定期か、AIの更新に合わせてか)
- 研修日までに大きな更新があった場合、教材を最新にしてもらえるか
③ 自社の業務で演習できるか
架空の議事録や架空のメールを使った演習は、その場では分かった気になりますが、翌日の仕事につながりにくいです。自社の実際の業務文書や業務の流れを演習の題材にできるかを確かめてください。
研修のときと、研修のあとの両方を見ます。
- 研修のとき: 自社の資料を持ち込めるか。社外に出せない中身が入っている場合に、取引先名や金額を伏せる作業や、練習用の架空データ(ダミーデータ)作りを手伝ってもらえるか
- 研修のあと: 演習で受講者が作ったプロンプト(=AIへの指示文)や手順を、テンプレートや手順書の形で納めてもらえるか。自社で自由に書き換えて社内へ広げられる形かどうかが要点です。講師の教材そのものを社内で使い回してよいかは別の話なので、分けて確かめます。研修会社の専用ツールの中にしか残らない形だと、契約が終わった瞬間に社内から使えなくなります
④ カリキュラムをどこまで変えられるか
「カスタマイズ可能」と書いてあっても、中身の幅は広いです。「表紙に会社のロゴを入れる」程度で終わる会社もあれば、「部門ごとに聞き取りをして演習を作り直す」会社もあります。どこまでが標準料金で、どこからが追加費用かを線引きしてもらいましょう。事前の聞き取りの回数と時間を聞くと、本気度が分かります。
⑤ 使うツールと情報管理ルールが合っているか
自社が契約している(またはこれから契約する)AIツールと、研修で扱うツールが一致しているかは、意外と見落とされます。ChatGPTで研修を受けたのに社内で許可されているのは別のツールだけ、という食い違いは実際に起きます。研修中に入力する情報の扱いも確かめます。研修会社側が受講者の入力を見られるのか、記録はどこに残るのか、の2点です。
⑥ 研修後のフォローの設計
研修は「受けた日」が始まりです。定着する(=習ったことが日々の仕事で使われ続ける)かどうかは、その後の90日の使い方で決まります。当社は研修後90日を確認の期間にしています。30日では早すぎて判断がつかず、半年後では立て直しが利かないからです。研修の後に質問できる窓口があるか、後日のフォロー研修があるか、実際に使われているかを確かめる仕組みがあるか。この3つを聞きます。研修の後に聞ける相手がいるかどうかで、半年後に使い続けている人の数は変わります。
⑦ 効果をどう測るか
用意しているのが「満足度アンケート」だけの会社があります。一方で「研修前後のスキル確認」「数週間後の利用率や活用事例の回収」まで組んでいる会社もあります。成果への向き合い方が違います。「効果をどう測りますか」と聞いてみてください。満足度以外の答えが返ってくるかが、見分けどころです。
⑧ 見積の内訳が透明か
教材費・講師費・環境構築費を分けた見積を出せるか。ここで、その会社が自分の原価をつかんでいるかが分かります(詳しくは「見積書の読み方」で書きます)。「研修一式 ◯◯円」しか出せない会社は、比べようがありません。
⑨ 契約の形と追加費用の条件
受講人数が増えたときの1人あたりの金額、日程変更やキャンセルの決まり、研修を録画してよいか、その録画を欠席者の教育など別の目的で使い回してよいか(二次利用)、教材を社内に配ってよいか。ここを曖昧にしたまま契約すると、あとから「それは追加費用です」が積み上がります。
⑩ 小さく試せるか
いきなり全社導入ではなく、1部門・1回のお試し研修から始められるかを確かめてください。最低人数が大きく、試すのを嫌がる会社は、長い付き合いより目の前の1件を優先しているのかもしれません。
発注側が要求してよい4条件
当社が見た限り、10項目すべてで◎の会社はまずありません。だから比べる前に、自社が譲れない条件を決めておきます。発注側が研修会社に要求してよい条件を4つ挙げます(当社が研修の提案書と見積に実際に書き、契約書にも載せてもらう前提にしている項目です)。どの項目を後回しにしてよいかは、後の「評価シート」で項目ごとの点数の重さを変えて調整します。
- 終わったときに、社内の誰が何を自分で直せるようになっているかを先に決める。 比較項目①と③を、契約の言葉に置き換えた条件です。「研修が終わった時点で、受講者は何を一人でできるようになりますか」と聞きます。「議事録の要約を自分で直せる」のように、具体的な作業の名前で答えが返る会社を選びます
- 研修後90日の時点で、使われているかを確かめる場を設ける。 比較項目⑥を、見積と契約に載せる形にした条件です。90日後に「何が使われ、何が止まったか」を一緒に見る回を、見積の段階で入れてもらいます
- 研修中は、実際に会社で使っている業務システムや顧客の個人情報にはつながない。 これは10項目にはない条件です。演習は公開情報かダミーデータ、または名前と金額を伏せた自社資料で行います。「実際のデータを使った方が実践的です」と勧める会社には、打ち込んだ情報がどこに保存され、誰が見られるのかを先に聞いてください。研修で事故が起きると、研修の評価ではなく会社の信用の問題になります
- 研修に含まれないものを書面で決める。 比較項目⑨の一部です。本番システムへの接続、社内システムの改修、外部サービスとの連携、権限の設計は研修の範囲外で、必要なら別の契約です。ここを曖昧にすると、社内では「研修が終われば本番で動く仕組みができる」と思われ、後で揉めます
「全部大事」と言う会社より、「御社の状況なら、この項目は後回しでいい」と言える会社の方が、研修の設計を分かっています。
見積書の読み方|教材費・講師費・環境構築費の内訳
AI研修の見積は、まず教材費・講師費・環境構築費の3つに分けて出してもらいます。あわせて、料金が変わる受講人数の境目と、研修後のフォローにかかる費用も出してもらってから比べます。総額だけを比べるのは危険で、同じ「50万円」でも中身がまるで違うからです。そもそもの相場感(eラーニングの月350円から企業内研修の1日100万円まで)はAI研修の費用相場で整理しています。
| 費目 | 含まれるもの | 確認すること |
|---|---|---|
| 教材費 | テキスト・スライド・演習の題材・動画教材 | 汎用教材の使い回しか、自社向けに作り替えた分が入っているか。教材の更新が料金に含まれるか |
| 講師費 | 登壇料・事前の聞き取り・質問対応 | 当日だけの金額か、事前準備と事後のフォローを含むか。講師のランクで単価が変わるなら、誰が来るのか |
| 環境構築費 | 受講者のIDの発行・AIツールの初期設定・情報の取り扱い設定の手伝い | すでに自社で契約しているツールを使う場合は安くなるか。研修用に用意したツールを、研修後も使い続けられるのか |
同じ50万円でも、内訳を見ると買っているものが違う
図の内容: 総額50万円の見積3つを内訳で並べた例。A社は教材費が6割で汎用教材中心、B社は講師費が6割で自社向けの演習に時間を使う、C社は内訳がなく比べようがない。
サイトに価格がないことを気にする必要はありません。当社が2026年8月に調べた21社のうち、月額型のサービスを掲げる11社では、料金を「5万/15万/30万円」のような3段階で公開している会社が多数派でした。21社の中には、金額をまったく載せていない会社も3社あります(当社調査・2026年8月時点)。価格が非公開でも、内訳を出してもらえれば比べられます。
内訳を見ると、各社の力の入れどころが分かります。教材費の割合が高いのに教材が汎用品なら割高です。講師費が他社の半額以下なら、当日来る講師の経歴を先に出してもらってください。環境構築費が「一式」でしか出てこない場合は、作業項目を書き出してもらいましょう。
見積でよくある失敗を4つ挙げておきます。
- ❌ 総額の安さで即決する → ⭕ 3分類の内訳で「何にいくら払うのか」をそろえてから比べる
- ❌ 「教材費無料」に飛びつく → ⭕ 無料の汎用教材は自社の業務に合わない前提で、カスタマイズ費を確かめる
- ❌ フォローの費用を入れずに比べる → ⭕ 研修後90日のフォローまで含めた総額で並べる
- ❌ 人数が変わったときの料金を確かめない → ⭕ 集合研修の値段は「20名まで」「30名まで」といった定員の区分で決まることが多い。区分の境目と、またいだ場合の差額をもらう
契約前に気づきたいNGサイン7つ
相見積もりの途中で次のサインが出た会社は、慎重に判断してください。1つ当てはまったら即アウトではありませんが、複数当てはまるなら候補から外すことをおすすめします。
- NG1: 講師名を契約まで明かさない。「弊社の認定講師が担当します」で押し切る会社は、直前まで講師が決まっていないことがあります
- NG2: 教材の最終更新日を答えられない。「常に最新化しています」は答えになっていません。日付で答えられないのは、更新が管理されていない証拠です
- NG3: 見積の内訳を出さない。「一式」の見積しか出せない会社とは、追加費用の交渉もできません
- NG4: 効果測定の話をすると、満足度アンケートしか出てこない。仕事の変化を測る発想がない会社の研修は、一度きりの催しで終わります
- NG5: 自社の情報管理ルールを聞かずに提案してくる。入力する情報の扱いを確かめないまま演習をさせる会社は、情報管理の意識そのものが心配です
- NG6: 「AIで何でもできる」という調子の提案書。できないこと・向かないことを言わない会社とは、導入後に期待のすり合わせで揉めます
- NG7: 契約を急かす。「今月中なら割引」で判断を歪めようとする相手に、社員の教育を任せるべきではありません
助成金に限ったNGサインは、さらに3つあります。「助成金を使う場合の注意点」の節にまとめました。
コピーして使える質問テンプレ5本
候補の会社への質問は、全社に同じ文面で送るのが鉄則です。回答を横並びで比べられるからです。次の5本は、コピーしてそのまま使えます。
テンプレ1: 講師の実務経験を確かめる
当日登壇予定の講師について、次の3点をお知らせください。
1. 講師の氏名と経歴(変更の可能性がある場合は、その条件も)
2. 講師ご自身が直近1か月で業務にAIを使った具体例を3つ
3. 弊社と同じ業種・同じ規模の会社での登壇経験の有無テンプレ2: 教材の鮮度を確かめる
研修で使う教材について、次の3点をお知らせください。
1. 教材の最終更新日
2. 更新の頻度と、更新のきっかけ(定期/AIモデルの更新に連動など)
3. 実施日までに主要なAIモデルの大きな更新があった場合、教材を最新の内容にしていただけるかテンプレ3: 自社の業務で演習できるかを確かめる
演習について、次の4点をお知らせください。
1. 弊社の実際の業務文書・業務の流れを演習の題材にできますか
2. 機密情報を含む場合、伏せ字やダミーデータ作成のご支援はありますか
3. 演習で受講者が作ったプロンプト・手順書は、研修後に弊社が自由に書き換えて社内展開できる形で納品されますか
4. 講師の教材そのものを社内で二次利用してよい範囲はどこまでですか(3と分けてお答えください)テンプレ4: 見積の内訳を依頼する(6番は助成金を使う場合だけ。様式第12号=助成金の申請にあたって研修会社から承諾をもらう書類)
お見積りは、次の内訳が分かる形でお願いいたします。
1. 教材費(汎用教材の分と、弊社向けに作り替える分を分けて)
2. 講師費(当日の登壇、事前の聞き取り、事後の質問対応を分けて)
3. 環境構築費(作業項目を列挙のうえ)
4. 定員の区分と、料金が変わる人数の境目(区分をまたぐ場合の差額も)
5. 研修後のフォロー(実施いただける場合)の費用
6. 助成金を使う場合、支給申請承諾書(様式第12号)にご承諾いただけますか。過去の承諾実績があれば件数もテンプレ5: お試し研修を打診する
本格導入の前に、1部門を対象にした小規模なお試し研修の実施を検討しています。
1. 最小の実施人数と、お試し研修の費用
2. お試し研修の結果を踏まえて、本導入時のカリキュラムを調整いただけるか
3. お試し研修と本導入で、契約を分けられるか助成金を使う場合の注意点
AI研修は、国が決めた条件を満たせば、厚生労働省の人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」の対象になる場合があります。最初の関門は研修の長さです。対象になるのは、合計10時間以上のOFF-JT(=ふだんの仕事を離れ、時間を取って受ける研修)に限られます。「助成金が使えます」と言う会社には、何時間の設計かを先に聞いてください。
中小企業なら、審査を経て研修費の75%が戻ります。加えて受講1人1時間につき1,000円の賃金助成(=受講中の給料の一部の補填)が付きます。ただし、戻る額には1人あたりの上限があります。10時間以上100時間未満の研修なら30万円まで、100時間以上200時間未満なら40万円まで、200時間以上なら50万円まで、eラーニングや通信制は15万円までです(厚生労働省・人材開発支援助成金・令和8年4月8日版リーフレット・2026年8月22日参照)。社長や役員本人は、社員として雇用保険に入っていないため、この助成金の対象になりません。支給が決まってから入金までは数か月かかることがあり、相談を始めてから入金までは半年単位で見ておきます。制度の基礎はAI研修に助成金は使えるかに、先に全額払って後から戻る仕組みは助成金はなぜ後払いなのかに、計画届から入金までの手順は申請の流れと、つまずく3箇所に書きました。
研修会社を選ぶのは計画届の前。立替が発生するのは研修の前
図の内容: 上段(研修まで)は資金の手当てと会社選び → 計画届の提出(開始の6〜1か月前) → 研修費を全額払って実施。下段(研修のあと)は支給申請(終了翌日から2か月以内) → 審査 → 数か月後に入金。
研修会社を選ぶうえで知っておきたいのは、2026年8月3日以降に出す計画届から、対象になる研修の線引きが厳しくなったことです。計画届とは、研修を始める前に労働局へ出す予定表で、これがないと助成金は使えません。厚労省の改正リーフレットは、「生成AIを利用するために汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練」や「DXの概念やデータ活用の考え方を学ぶ訓練」を、助成の対象外の例として挙げています。どちらも「どの会社にも当てはまる一般論を学ぶだけの研修」という意味です(DX=デジタルの力で仕事の進め方そのものを変えること)。対象になる例は「営業担当者向けに、生成AIで商品提案書の構成案を作り、文章を生成・修正する方法を学ぶ訓練」のような、特定の業務に直結するものです(厚生労働省「令和8年8月3日からの変更点について」)。同じリーフレットには、研修の内容に合った人を受講者に選んでいるかどうかも審査で見る、と書かれています。営業向けの内容を人事や経理にも一律で受けさせる「全社員一斉」の組み方は、ここで落ちやすくなります。
受講回数にも上限があります。厚生労働省の改正では、助成の対象になる訓練は1人の社員につき年度3回まで、そのうちeラーニングによる訓練は1回までです(8月3日以降に出した計画届の分から数えます。厚生労働省・令和8年8月3日改正リーフレット)。8月2日以前に契約や申し込みを済ませた研修には、経過措置(=改正前のルールで扱ってもらえる猶予)があります。進行中の案件は詳細版パンフレットで確かめてください。つまり、汎用的なプロンプト講座を「助成金で受けられます」と売っている会社の研修は、計画届が通っても、研修費を全額払った後の支給申請(=研修が終わってから助成金を受け取るために出す申請)で不支給になることがあります。損をするのは、支払いを済ませた会社です。
助成金に限ったNGサインは3つです。
- NG8: 「実質0円」「最大85%返還」と語る。厚生労働省のリーフレットによれば、このコースの経費助成の率は中小企業で75%です。それ以上の数字は、賃金助成を研修費の割引に足した計算です(詳しくは下の補足)
- NG9: 社労士でないのに申請を代行する。申請手続きの代行は社会保険労務士の独占業務(=法律で社労士だけに認められた仕事)で、「申請は無料で代行します」も同じ扱いです(詳しくは下の補足)
- NG10: 「AIツールの導入費もまとめて助成金の対象にできる」と言う。厚労省の詳細版パンフレットが不適正な勧誘の例として挙げている売り方で、AIツールを買う費用はこの助成金の対象になりません
補足です。NG8について、当社が2026年7月にAI研修各社の広告を調べたところ、「最大85%返還」「10名以上の中小企業なら実質負担0円」「1人1,450円〜」といった表現がありました。85%や0円は、研修費の割引に賃金助成を足した計算です。賃金助成はもともと給料の補填なので、研修費の請求額が75%引きになるわけではありません(広告文言は当社調査・2026年7月時点)。計算の中身は「実質0円のAI研修」広告のカラクリで整理しています。厚労省も「無料で訓練が受けられます」という勧誘を危険サインとして注意喚起しています。返金やクーポン、サービスの提供を受け取ると、会社が訓練経費を全額負担したことにならず、助成金を受けられません(厚生労働省・不正受給に関する注意喚起)。
NG9について、厚労省の詳細版パンフレット(令和8年8月3日版)は、無償と言っていても、受講料に手続きの対価が含まれると見なされれば社会保険労務士法第27条の問題が生じる、としています(厚生労働省・詳細版パンフレット)。申請は社労士(自社の顧問社労士でも構いません)に頼み、研修会社には研修の内容と実施の記録を頼む分担が安全です。NG10と同じパンフレットには、研修の中身は同じなのに助成金を使うときだけ受講料を高く設定するやり方も書かれています。高くした分は助成の計算から外され、その差額が自社の持ち出しになることがあります。
当社は社労士と組んでAI研修の相談を受けていますが、初回の聞き取りで最初に確かめるのは、研修の中身よりも「研修費を先に全額払える資金があるか」です。相談の中には、手元資金の確認が後回しになっていたケースがありました。計画届の提出期限が近づいても資金の手当てが間に合わず、スケジュールを一度止めています。研修会社を比べる前に、この1点だけは先に片づけておいてください。
提案書の書き方でも、会社の姿勢は分かります。当社が助成金を使う前提の提案書を作るときは、「正直にお伝えしたい前提」として次の4つを必ず書きます。受講できるのは雇用保険に入っている社員に限ること、1人ひとりが全体の8割以上出席する必要があること、計画届は研修開始の1か月前までに出すこと、助成金が出るかどうかは審査次第で「必ずもらえる」とは言えないこと、の4つです。候補の会社の提案書にこの種の前提が1つも書かれていなければ、助成金の実務を知らないか、知っていて書いていないかのどちらかです。
順番は「研修の中身で選び、助成金は使えるなら使う」です。助成金を選定理由の1位にしないでください。対象になるかの最終判断は、社労士か労働局に確かめてください。
相見積もり3社を横並びにする評価シートの作り方
評価シートは、10項目を縦に並べ、候補の会社ごとに採点の列を足して横に並べる表です。各項目を◎2点・○1点・✕0点で採点し、自社が大事だと思う項目に付けた「重み」(大事なら2、ふつうは1)を掛けて合計します。下の表は1社分の形なので、候補の数だけ採点の列を増やしてください。質問テンプレへの回答がそろったら、感覚で決めずにこの表で点を付けます。
選定の流れは5段階。評価シートは4段階目
図の内容: 1 型を決める → 2 候補3社に同じ質問を送る → 3 見積を3分類でそろえる → 4 評価シートで採点しNGサインで足切り → 5 お試し研修をしてから本契約し、90日後に確認する。
作り方は簡単です。重みは、下の3パターンから自社に近いものを選んで埋めます。当てはまらなければ、全部1で構いません。
| 比較項目 | 重み | 採点(◎2・○1・✕0) |
|---|---|---|
| ①講師の実務経験 | ||
| ②教材の更新 | ||
| ③自社の業務で演習 | ||
| ④カリキュラムの変更 | ||
| ⑤ツールと情報管理 | ||
| ⑥研修後のフォロー | ||
| ⑦効果の測り方 | ||
| ⑧見積の内訳 | ||
| ⑨契約条件と追加費用 | ||
| ⑩小さく試せるか | ||
| (番外)答え方と返信の速さ | ||
| 合計(点数×重み) |
10項目に加えて、やりとりの質を「番外」として1行足しています。質問テンプレに対して、期日内に、聞いたことに過不足なく答えてきたか。研修会社とのやりとりは契約後も続きます。この段階の対応の質は、契約後の進め方の質をそのまま映します。
重みの付け方は、自社の状況で変わります。
- 初めてAI研修を入れる会社: ⑩小さく試せるかと⑤ツールと情報管理の重みを2にします。④カリキュラムの変更と⑦効果の測り方は後回しでよく、まず標準の内容のまま1回やって、何人が実際に使ったかの記録だけ取ります
- 前に研修をやったが定着しなかった会社: ③自社の業務で演習と⑥研修後のフォローを2に。②教材の更新は1のままで構いません。定着しなかった原因は、教材の古さではないことが多いからです
- 社内で回せるようにしたい(内製化)会社: ③自社の業務で演習と④カリキュラムの変更、①講師の実務経験を2に。⑩小さく試せるかは1で、最初から対象部門を決めて始めます
営業担当の感じの良さと、研修の中身の良さは別物です。点数にしておくと、社内の稟議でも「なぜこの会社か」を説明しやすくなり、選ぶ担当者自身の保険にもなります。
早見表|10項目の「良い答え」と「NGの答え」
質問を送ったあと、返ってきた答えをこの表に当てて採点します。
| 項目 | 良い答えの例 | NGの答え | 重みの目安 |
|---|---|---|---|
| ①講師の実務経験 | 「先月は議事録の要約をこの手順で」と判断の基準つきで答える | 機能の説明だけ。講師名は契約まで非公開 | 2 |
| ②教材の更新 | 「最終更新は◯月◯日。モデル更新のたびに改訂」 | 「常に最新です」 | 1 |
| ③自社の業務で演習 | 「御社の見積書・報告書を題材に。機密は伏せ字を手伝う」 | 架空の題材のみ。成果物は専用ツールの中 | 1〜2 |
| ④カリキュラムの変更 | 「部門ごとの聞き取り2回は標準料金、演習の作り直しは追加◯円」 | 「カスタマイズ可能」とだけ | 1 |
| ⑤ツールと情報管理 | 「御社が許可しているツールで。入力は弊社側から見えない」 | 自社の情報管理ルールを聞かずに提案 | 1〜2 |
| ⑥研修後のフォロー | 「30日・90日に確認の回。質問窓口は◯日まで」 | 研修当日で終了 | 1〜2 |
| ⑦効果の測り方 | 「研修前後のスキル確認と、4週後の利用率」 | 満足度アンケートのみ | 1 |
| ⑧見積の内訳 | 「教材費・講師費・環境構築費に分けて出します」 | 「研修一式◯◯円」 | 1 |
| ⑨契約条件と追加費用 | 「定員の区分・キャンセル・録画の二次利用は書面で出します」 | 「後で相談」 | 1 |
| ⑩小さく試せるか | 「1部門・1回のお試しから。契約は分けられる」 | 最低人数が大きい。契約を急かす | 1〜2 |
AI研修会社を今すぐ選ばなくていい会社・この記事に含まれないこと
次に当てはまる会社は、相見積もりより先に社内で決めることが残っています。当社も、この3つが決まっていない会社には研修を勧めません。
- 研修で使うAIツールが決まっていない(研修で習ったツールが社内で使えない、が一番多い失敗です)
- 機密情報をどこまでAIに入れてよいかのルールがない(研修の前に、管理部門と1枚の基準を作る方が先です)
- 変えたい業務が決まっていない(「AIを学ばせたい」だけでは、研修会社は演習を作れません)
この記事には、特定の研修会社のランキングや推薦、各社の最新カリキュラム、個別の見積、助成金の受給可否の判定は含まれません。公開価格と制度は変わるので、最終判断は各社の提案書・契約書と、社労士・労働局への確認で行ってください。当社の研修も、すべての会社に合うわけではありません。現場の担当者が題材を持ち寄れない場合や、短時間で全社員に基礎だけ届けたい場合は、eラーニング型の方が合います。
Summary in English
This article is a buyer’s guide for small and mid-sized companies in Japan choosing a generative-AI training vendor. Instead of the number of past clients, compare vendors on 10 items in four groups: the instructor’s hands-on experience; the content (how recently the materials were updated, whether exercises use your own documents, how far the curriculum can be customized, and whether the tools match your security policy); what happens after the training (follow-up, measurement, and a small pilot); and money and contract terms (an itemized quote split into materials, instructor, and environment setup, plus the headcount tiers that change the price). It includes seven warning signs to spot before signing, five copy-and-paste question templates, a weighted scoring sheet, and four conditions a buyer may require (a defined outcome for who can fix what in-house, a 90-day check, no connection to production data during training, and a written list of what is excluded). On subsidies: Japan’s Ministry of Health, Labour and Welfare revised the reskilling subsidy on August 3, 2026, excluding generic prompt-writing courses and capping subsidised courses at three per employee per fiscal year, of which at most one may be e-learning; the subsidy is paid after the company pays the full fee, so “free training” offers are a red flag. A survey by AI Expert in August 2026 found only 2 of 21 vendor sites showed case studies with both client names and numbers.
まとめ|比べる手間は、研修後の90日で取り返せる
AI研修会社の選び方を整理します。
- 導入実績の社数や総額ではなく、10項目(講師の実務経験・教材の更新・自社の業務で演習できるか・カリキュラムの変更範囲・ツールと情報管理ルールが合うか・フォロー・効果測定・見積内訳・契約条件・小さく試せるか)で比べる
- 発注する側が要求してよい条件は4つ。研修が終わった時点で社内の誰が何を自分で直せるか、研修後90日の確認の場、実際の業務システムや顧客データにはつながないこと、研修に含まれないものを書面にすること
- 見積は教材費・講師費・環境構築費の3分類で内訳を取り、フォローの費用まで含めた総額で並べる
- NGサイン7つに複数当てはまる会社は候補から外す。助成金に限ったNGサインは3つ
- 質問テンプレ5本を全候補に同じ文面で送り、答え方と返信の速さも評価に入れる
- 助成金は2026年8月3日の改正で汎用的なプロンプト講座が対象外になった。順番は「研修の中身で選び、使えるなら使う」。まず、研修費を先に全額払える資金があるかを確かめる
ここまでやるのは手間です。ただ、選ぶ工程を1日省いて外れの研修を入れると、受講者全員の時間と研修費がまとめて消えます。逆に、選ぶ段階で「自社の業務で演習できるか」と「フォローの設計」まで確かめておけば、研修後の定着が変わります。ここまでの手間は、研修後の90日のうちに取り返せます。
次のアクションは3つのうち、どれか1つで構いません。
- 今日: この記事の質問テンプレ5本をコピーして、候補の会社に送る
- 今週: 10項目を自社用の評価シートに落とし、社内の選定基準として共有する
- 今月: 候補1社と、1部門だけのお試し研修の条件を詰める
次に読む
- まだ「eラーニングか、講師が入る研修か」を決めていない → AI研修会社の比較・選び方|eラーニング型と伴走型の違い
- 「その見積は高いのか」を知りたい → AI研修の費用相場|月350円と1日100万円の違い
- 助成金を使う前提で動いている → AI研修に助成金は使えるか|基礎と5つの落とし穴、助成金は後払い|資金繰りで失敗しないために
- 研修の後に「社内で回せる状態」を目指している → AI内製化とは?「支援会社を卒業できる」研修設計の思想
更新履歴
- 2026-08-23: 初版公開。厚生労働省の2026年8月3日改正(汎用的なプロンプト研修の助成対象外・受講回数の上限)、研修会社21社のサイト調査(2026年8月13日)、社労士協業の現場で確かめたこと、発注側が要求してよい4条件、早見表を収録。厚生労働省資料の参照日は2026年8月22日
- 次回更新予定: 2026年10月(助成金の要件と各社の公開価格を再確認します)
本記事は2026年8月22日時点の厚生労働省の公開資料と当社調査に基づきます(公開日: 2026年8月23日)。助成金の要件は年度の途中で変わることがあるため、最新の要件と自社が対象になるかは、厚生労働省の公式ページと社労士・労働局でご確認ください。
参考・出典
- 厚生労働省「人材開発支援助成金」(事業展開等リスキリング支援コース 概要リーフレット 令和8年4月8日版/詳細版パンフレット 令和8年8月3日版) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html(参照日: 2026年8月22日)
- 厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)改正:令和8年8月3日からの変更点について」 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731966.pdf(参照日: 2026年8月22日)
- 厚生労働省「令和8年度版 事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版・令和8年8月3日版)」 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731978.pdf(参照日: 2026年8月22日)
- 厚生労働省「人材開発支援助成金 不正受給に関する注意喚起(「訓練経費」は無料になりません)」 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001687554.pdf(参照日: 2026年8月22日)
- IPA・経済産業省「デジタルスキル標準(DSS)」 https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/dss/about.html(参照日: 2026年8月22日)
- 当社調査: AI導入支援・研修を手がける21社のサイトと公開資料の確認(2026年8月13日)、AI研修各社の広告文言の確認(2026年7月6日)
よくある質問
- AI研修会社はどう選べばよいですか?
- 導入実績の社数ではなく、10項目で比べます。①講師の実務経験、②教材の更新、③自社の業務で演習できるか、④カリキュラムの変更範囲、⑤ツールと情報管理ルールが合うか、⑥研修後のフォロー、⑦効果の測り方、⑧見積の内訳、⑨契約条件と追加費用、⑩小さく試せるか、の10です。候補3社に同じ質問を送り、評価シートで点を付けて決めます。
- 契約前に避けるべきAI研修会社の特徴は何ですか?
- 7つあります。講師名を契約まで明かさない、教材の最終更新日を日付で答えられない、見積の内訳を出さない、効果測定が満足度アンケートだけ、自社の情報管理ルールを聞かずに提案する、「AIで何でもできる」という調子の提案書、契約を急かす、の7つです。複数当てはまる会社は候補から外します。
- AI研修の相見積もりは何社取るべきですか?
- 3社が目安です。2社だと「どちらか」の比較になり、4社以上は質問への回答を読み比べる手間が跳ね上がります。3社に同じ質問テンプレを送り、答えの具体性と返信の速さ、見積の内訳の出し方で絞り込むと、担当者1人でも回せます。
- 大手の研修会社と少人数の会社はどちらがよいですか?
- 会社の規模では決まりません。大手は教材と運営の安定、少人数の会社は講師の実務経験とカスタマイズの柔軟さに強みが出やすい、という傾向はあります。ただ例外も多いので、講師の実務経験、教材の更新、自社の業務で演習できるか、研修後のフォロー、効果の測り方、見積の内訳といった項目で個別に確かめてください。
- AI研修はオンラインと対面のどちらを選ぶべきですか?
- 演習が中心の初回は対面(または対面とオンラインの併用)が向いています。手が止まっている受講者に講師が気づきやすく、その場で直せるからです。研修後のフォロー回や、知識を伝えるだけの回はオンラインで足りることが多いです。
- 研修会社の「導入事例」はどこまで信用できますか?
- 社名・担当者のコメント・数字がそろった事例は一定の信頼が置けます。当社が2026年8月にAI導入支援・研修を手がける21社のサイトを調べたところ、社名と数字の両方がそろった事例を載せていたのは2社だけでした。匿名の事例しかない場合は、研修の時間数・対象者・研修後に何が変わったかを質問してください。具体的な答えが返らなければ、それ自体が判断材料になります。
- 見積書では何を確認すべきですか?
- 教材費・講師費・環境構築費の3つに分けた内訳、料金が変わる受講人数の境目、研修後のフォローの費用です。「研修一式◯◯円」としか書けない会社は比べようがありません。総額の安さでなく、何にいくら払うのかをそろえてから比べてください。
- 研修会社の講師には何を聞けばよいですか?
- 「当日登壇する講師が、直近1か月で自分の業務にAIをどう使ったか、具体例を3つ教えてください」と聞きます。実務で使っている講師なら、どの場面で使い、どの場面では使わないか、という判断の基準を含んだ答えが返ってきます。機能の説明しか返らない場合、研修も機能の紹介で終わりやすいです。
- AI研修は助成金で無料になりますか?
- なりません。人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)は、会社が研修費を全額払ったあとに、中小企業なら経費の75%などが審査を経て戻る仕組みです。厚生労働省は「無料で訓練が受けられます」という勧誘を危険サインとして注意喚起しており、返金やクーポンを受け取ると助成金そのものが受けられません。
- 汎用的なプロンプト研修は助成金の対象になりますか?
- 2026年8月3日以降に出す計画届では、対象外になる可能性が高いです。厚生労働省の改正リーフレットは「生成AIを利用するために汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練」を助成対象外の例に挙げています。対象になるのは「営業担当者が生成AIで商品提案書の構成案を作る」のように、特定の業務に直結する訓練です。最終判断は社労士か労働局に確かめてください。
- 研修会社に助成金の申請を代行してもらえますか?
- 社会保険労務士でない研修会社は、報酬を得て申請手続きを代行できません。厚生労働省の詳細版パンフレットは、申請手続きは社会保険労務士の独占業務であり、「申請は無料で代行します」と言っていても受講料に手続きの対価が含まれると評価されれば同じ問題が生じる、としています。申請は社労士(自社の顧問社労士でも可)に頼み、研修会社には研修の内容と実施の記録を頼む分担が安全です。
- AI研修の講師は契約後に変わることがありますか?
- あります。「弊社の認定講師が担当します」とだけ書いてある提案は、契約の時点で講師が決まっていない場合があります。契約前に講師名と経歴、変更があり得るならその条件を書面でもらってください。講師が変わるときに事前に知らせてもらえるか、変更後の講師の経歴を確認できるかも決めておきます。


