
結論: AI受託開発は、会社を選んで見積を取る仕事ではなく、「何を・どの契約で・どの段階から」頼むかを、会社を選ぶ前に決める仕事です。この記事では、AI受託開発とは何か、AIで受託の現場がどう変わったか、準委任と請負の選び方、診断・PoC・本開発の費用の段階、発注前に決める4つの判断を、発注側の目線で順に書きます。
契約の言葉を先に1行で説明します。請負は「完成品を納める約束」、準委任は「作業をすること自体を頼む約束」です。
この記事の要点
- AI開発では、精度を事前に保証しにくいため、請負と準委任のどちらを選ぶかが割れる。特許庁の解説は、請負(=仕事の完成に責任を負う契約)と準委任(=決まった水準の作業を行うことに責任を負う契約)の2類型で説明している
- 費用は段階で積み上がる。他社記事の調査値では、コンサル・要件定義が40〜200万円、PoC(=小さく試して効果を確かめる段階)が100〜500万円、本開発は月単価100〜250万円×人月(=1人が1か月働く量)
- 頼み方は診断、PoC、本開発の階段。条件が固まっていない段階から請負で頼むと、完成の線引きで揉めやすい
- 相手に聞くのは3点。何をもって完成とするか、精度が出なかったときにどうするか、運用と保守を誰が持つか
- 受託側の「案件が減る」という見方は、体験に基づく発信で数字の裏づけはない。発注側は、何をAIに任せて何を人が確かめるかを決めておく
この記事は、AI案件の外注を考え始めた中小企業の経営者、事業責任者、DX推進の担当者に向けて書いています。「AIで何かを作りたい」ところまでは決まっていて、「どこに、何を、どの契約で頼むか」はこれから決める場面を想定しています。会社に話を聞きながら決めても構いません。その場合も、自分の側で決める物を先に知っておくと、話が早く進みます。
今日やることは1つです。作りたい物を1文で書き、成果の完成条件を3つ書き出してください。紙1枚で足ります。この1枚があれば、どの会社に問い合わせても同じ質問ができ、返ってきた答えを横に並べて比べられます。
書き方の例です。作りたい物は「見積依頼メールを読んで見積書の下書きを作る」です。完成条件は「使うデータが決まっている」「人が見直す前提で使える下書きの水準が決まっている」「担当者が納品後に確かめる時点が決まっている」の3つです。書けない項目は空けて構いません。空いた項目は、「発注前に決める4つの判断」の④で埋め方を示します。
AI受託開発とは|受託側と発注側の役割
AI受託開発とは、発注側の依頼を受けて、受託側の会社がAIを使ったシステムや機能を作り、納める仕事です。発注側は「何を実現したいか」と「何をもって成功とするか」を持ち、受託側は「どう作るか」を持ちます。
通常のシステム受託開発と違うのは、精度の扱いです。特許庁のIP BASE(=スタートアップ向けの知財ポータル)の解説は、AIソフトウェアを次のように説明しています。AIソフトウェアは学習用データを用いて帰納的に作られるため、精度は学習用データの量と質に依存します。未知の事象に対する推論精度の保証が難しい、という説明です(2021年度掲載の解説。2026年10月3日に取得)。やさしく言えば、過去のデータから学ぶ仕組みなので、見たことのないケースでどれだけ当たるかは、作ってみないと分からないということです。従来の開発は、画面の仕様どおりに動くかを確かめます。AI開発は、「現場のデータでどこまで当たるか」を確かめます。完成の確かめ方が違います。
一方で、同じ解説は、「AIだから性能保証は難しい」という固定観念にとらわれず、開発対象に合わせて条件を交渉することが大切だとも書いています。難しいから約束できない、と決めつけず、約束できる範囲を作る物ごとに交渉する、という立場です。この記事の「発注側が要求してよい条件」は、この考え方を発注の言葉に直したものです。
発注側は「何を・成功の条件」を持ち、受託側は「どう作るか」を持つ。間で完成の条件を合意する
図の内容: 発注側が持つ物と受託側が持つ物を分け、中央の「完成の条件・契約の型・頼む段階」を先に合意する流れを示した図。
確かめ方は、問い合わせの前に自社側の持ち物を数えることです。作りたい物の1文、完成条件の3つ、使えるデータの在りか、現場で確かめてくれる担当者の名前。この4つが揃わないうちは、どの会社に頼んでも見積の前提が定まりません。
AIで受託開発の現場はどう変わったか|発注側が見ておく変化
発注側から見た変化は、案件の増減ではなく、頼む側が決める判断が増えたことです。コードを書く作業の一部をAIが手伝えるようになると、3つの判断の比重が大きくなります。「何を作るか」「何をAIに任せ、何を人が確かめるか」「どこまでを完成とするか」です。作る速さで差がつきにくくなるほど、頼む側が決める条件の質が、出来上がりを左右します。
受託側の発信には、AIの普及で受託案件が減り始めているという見方があります。ただし、その根拠は発信者自身の体験で、数字で裏づけられた話ではありません。この記事では「そういう見方が出ている」ところまでを事実として扱い、減っていると断定はしません。
分かっていないことも書いておきます。案件が全体で減っているのか、種類が変わっているのか、規模によって違うのかは、確認できた範囲では分かりません。規模が大きい案件ほど、コーディング(=プログラムを書く作業)以外の作業が多くなります。そのためAIで早くなる部分の割合は小さい、という反論も出ています。コーディング以外の作業とは、他のシステムとつなぐ設定、誰が何を見られるかの設定、運用の取り決めなどです。この反論も体験に基づく意見で、数字の裏づけは確認できていません。
- AIに任せる: 下書き、分類、要約、定型の突き合わせなど、間違えても人が直せる作業
- 人が確かめる: 金額、契約、顧客への回答など、間違えると取り返しがつかない出力
- 決まっていない物: 精度の許容範囲。ここは受託側と条件を決めてから作る
もう1つ、頼む側に残る仕事があります。作る前の要件(=作る物に求める条件や機能)の整理、出来上がりの品質の確認、何を作るかの企画です。作る作業が軽くなるほど、この3つを誰が持つかが、見積の中身を分けます。受託側に任せるのか、自社で持つのか、一緒にやるのか。外注と内製の線引きはAIエージェント外注で扱うので、ここでは「3つの持ち主を決める」ことだけを発注前の宿題にしてください。
確かめ方は、「この業務の出力が間違っていたとき、誰がいつ気づくか」を1つ書き出すことです。気づく人と時点が書けない業務は、AIに任せる範囲から外して始めます。
契約は準委任か請負か|AI開発で二択が割れる理由
AI開発の契約は、大きく2種類があります。仕事の完成を約束する請負と、作業を善良な管理者の注意(=プロとして通常求められる注意)で行う準委任です。AIは精度を事前に保証しにくいため、受託側は請負に難色を示すことが多く、どちらを選ぶかで意見が割れます。特許庁の解説(2021年度掲載・2026年10月3日取得)の言葉で整理します。
- 請負型: 請負人が注文者に対し仕事の完成を約束し、その履行について法的な責任を負う契約
- 準委任型: 契約で合意された仕事を一定の水準、善良な管理者の注意のもと実施することに対して、対価と責任が発生する契約。受任者は仕事の完成に法的な責任を負わない
- 準委任の2種類: 委任された事務を履行したら報酬が発生する「履行割合型」(=作業を行った分に応じて払う)と、成果の引き渡しと引き換えに報酬が発生する「成果完成型」(=決めた成果物を渡したら払う)
同じ解説は、成果完成型でも「何をもって『完成』とするのかは別途問題になりうる」と注意しています。契約の名前を決めても、完成の条件が空のままだと、納品のときに揉めます。
| 契約の型 | 向く段階 | 発注側の利点 | 発注側の注意 |
|---|---|---|---|
| 請負 | 作る物と合格の条件が書ける本開発 | 完成の約束を契約に書ける。責任の範囲は契約書の書き方で決まる | 精度を約束させると見積が上がる。最初に決めた内容で値段が決まるため、後から変えると別料金になりやすい |
| 準委任(履行割合型) | 要件が固まらない診断・要件整理・試作 | 途中で方向を変えやすい | 完成の約束はない。作業の中身と報告の頻度を決めておく |
| 準委任(成果完成型) | 成果物は欲しいが、精度は約束しにくい段階 | 成果物の引き渡しと支払いが結びつく | 「完成」の定義を書かないと、引き渡しで揉める |
| 段階で分ける | 診断・PoCは準委任、本開発は請負 | 不確かな部分と確かな部分を別の契約にできる | 契約が複数になる。次の段階の見積を先に聞いておく |
なお、特許庁の解説は、経産省のガイドラインにも基本的な考え方があることに触れています。ただし、特許庁のページは2021年度の掲載です。2026年10月時点で契約の扱いが変わっていないかは、契約の前に専門家へ確認してください。
選び方の目安は、完成の条件を紙に書けるかどうかです。書けるなら請負を検討でき、書けないなら準委任で条件を決める作業から始めます。フェーズ別の選び方はAI導入の準委任と請負に、契約書に入れる条項はAI準委任契約に書きました。この記事では条項には踏み込みません。
当社の例では、契約は準委任または請負(30万円〜)で、初期費用は0円、初回の相談は無料(30分)です。
確かめ方は、相手に「この見積は請負と準委任のどちらを前提にしていますか。精度が出なかったとき、どちらの契約で何が起きますか」と聞くことです。答えが具体的でないときは、完成の線引きが後回しになっていないか、書面で再確認してください。
費用は段階で積み上がる|診断・PoC・本開発の目安
AI受託開発の費用は、コンサル・要件定義、PoC、本開発の順に段階で積み上がります。1回の見積で総額は決まらず、段階ごとに止める判断ができる形が基本です。以下は当社の価格ではなく、当社が調べた他社の公開記事の調査値です。
| 段階 | 目安の金額 | 目安の期間 | 何を決める段階か |
|---|---|---|---|
| コンサル・要件定義 | 40〜200万円 | 1〜2ヶ月 | 何を作るか、完成の条件、データの在りか |
| PoC(=小さく試して効果を確かめる段階) | 100〜500万円 | 1〜3ヶ月 | 現場のデータで使える精度が出るか |
| AIモデルの本開発 | 月単価100〜250万円×人月 | 案件による | AIの判断部分の精度を上げて業務に組み込む |
| システム開発 | 月単価80〜200万円×人月 | 案件による | 画面・連携・権限など周辺を作る |
人月(=1人が1か月働く量)は、月単価に人数と月数を掛けて総額を出す数え方です。要件定義(=何を作るかを文書にする作業)は、1行目の「コンサル・要件定義」にあたります。
出典は、ai-market.jp(2026年6月28日更新)ほかの他社記事の調査値です。この調査値では、総額は小〜中規模で500〜1,500万円とされています。別の他社記事(JAPAN AIラボ、2026年7月17日取得)では、簡易PoCが数十万〜300万円前後、中規模が300万〜1,000万円程度、大規模が1,000万円以上です。運用保守は月10〜30万円前後、年間では開発費の10〜20%程度とされています。出典によって区分が違うため、数字は並べて比べず、見積の段階の区切りに当てはめて使ってください。
表にない費用もあります。AIの利用料です。使った量に応じて増える課金の形が多く、開発中にも運用中にもかかります。金額はサービスごとの公式料金表で決まるので、この記事では書きません。見積では、次の2つを分けて出してもらってください。
| 費用の種類 | 例 | 見積での確かめ方 |
|---|---|---|
| 固定の費用 | 開発の人月、定額の保守 | 何が含まれ、何が含まれないかを聞く |
| 使った分だけ増える費用 | AIの利用料 | 誰が負担し、増えたときの上限を決めるかを聞く |
費用は階段状に積み上がり、各段の終わりで進むか止めるかを決める
図の内容: コンサル・要件定義、PoC、本開発、運用保守の4段階の費用の目安を階段状に並べ、他社記事の調査値であることを示した図。
自社の価格は別にお伝えします。当社のAI適用診断(=2週間で、AIが使える業務かを切り分ける入口)は、ライトが15万円、標準が30万円(税別)です。本番非接続(=実際の業務システムにはつなげない)で、現場に同席します。研修・試作・実装のどれで進むかを決める段階で、本番化と保守は別契約になります。診断で何が分かり、何が分からないかはAI適用診断とはに書きました。AI実装の専門家を週1〜2回・月20時間〜で迎える形(専門家のマッチング)では、月20〜36万円の案件例があり、標準期間は3〜4ヶ月です。
内訳の読み方と、見積で見落としやすい費用はAI受託開発の費用相場に譲ります。運用に入った後の費用はAIエージェント保守とはで書いています。
確かめ方は、見積を段階ごとに分けてもらい、「この段階で止めたら、成果物は何が手元に残りますか」と聞くことです。段階ごとの見積がない場合は、その理由を聞いてください。小さな案件では一括の見積が普通のこともあります。ただ、止めても手元に残る物が書けないなら、最初から本開発まで契約する設計になっていないかを確かめます。
発注前に決める4つの判断
発注前に決めるのは、①何を作るか、②契約の型、③どの段階から頼むか、④完成の条件の4つです。会社の比較はその後で、4つが決まると見積の比べ方が揃います。
| 判断 | 決める理由 | 相手に聞くこと |
|---|---|---|
| ① 何を作るか | AIが要らない業務まで作ると費用が無駄になる | 既製のツールや設定で足りませんか。足りない理由は何ですか |
| ② 契約の型 | 精度を保証しにくく、完成責任の置き方が変わる | 請負と準委任のどちらを前提にしますか。段階で分けられますか |
| ③ どの段階から頼むか | 条件が固まる前の本開発は手戻りが大きい | 診断やPoCから始められますか。次の段階の見積は先に出ますか |
| ④ 完成の条件 | 完成の線引きは別途問題になりうる | 何をもって完成としますか。精度が出なかったときはどうしますか。運用と保守は誰が持ちますか |
4つの判断は順番に決める。どれかが決まらないときは、診断・要件定義から頼んで決める作業を先に発注する
図の内容: 何を作るか、契約の型、頼む段階、完成の条件の4つを順に決め、決まらないときは診断・要件定義から頼む流れを示した図。
① 何を作るか
AIが要るかを先に確かめます。既製のツールや今の設定の工夫で足りないかを調べ、足りるなら受託開発は要りません。チャットボット、文字起こし、請求書の読み取りなど、既製品が揃っている業務は少なくありません。作る必要があるのは、自社の業務やデータに固有で、既製品では届かない部分です。
相手に聞くのは「既製のツールで足りない部分は、具体的にどこですか」です。見積に既製品との比較が書かれているかも確認してください。
② 契約の型
完成の条件が書けるかで決めます。紙に書けるなら請負を検討し、書けないなら準委任から始めます。精度の約束を請負に入れる場合、約束できる範囲は開発対象ごとに決めます。特許庁の解説が言う「条件交渉」の部分です。
相手に聞くのは「精度が出なかったとき、追加の費用はどちらが持ちますか」です。この答えが契約書に載るかどうかまで確かめます。
③ どの段階から頼むか
条件が固まる前に本開発を頼まないのが原則です。作る物と完成の条件が決まっていないなら、診断や要件定義から頼みます。PoCは、現場のデータで使える精度が出るかを確かめる段階です。PoCの位置づけと選び方はAI PoC支援に書きました。診断・PoC・本開発をどう階段にするかの考え方はPoC貧乏にならないAI導入の進め方にまとめています。
診断、コンサル、要件定義、PoCは、似た言葉ですが段階が違います。入口は診断かコンサルで、次の表の順に進みます。
| 段階 | 何をする段階か | 次に進む条件 |
|---|---|---|
| 診断 | 研修・試作・実装のどれで進むかを切り分ける入口 | 頼む段階が決まる |
| コンサル・要件定義 | 何を作るか、完成の条件、データの在りかを決める | 完成の条件が書ける |
| PoC | 現場のデータで使える精度が出るかを確かめる | 使える精度が出ると確認できる |
| 本開発 | 精度を上げて業務に組み込む | 完成の条件を満たして納品する |
AIコンサルタントは、表の「コンサル・要件定義」にあたる整理と助言が中心です。受託開発は、実際に動く物を作って納めるところまでが範囲です。
相手に聞くのは「次の段階の見積は、この段階の結果を見てから出しますか、それとも今出せますか」です。今出せる会社は、段階ごとの費用を見通して提案しています。
④ 完成の条件
数字と手順で書けるものを3つに絞って書きます。次のひな形を埋めてください。コピーして使えます。
作りたい物(1文):
例)見積依頼メールの内容を読み取り、見積書の下書きを作る
完成の条件(3つ):
1. 使うデータ: どの資料・どの期間のデータで確かめるか
2. 合格の水準: 人が見直す前提で、何件中何件を使える下書きとするか
3. 確かめる人と時点: 誰が、納品後のいつまでに確かめるか
精度が出なかったとき:
続ける/止める/範囲を変える、のどれを誰が決めるか合格の水準の数字は、自社の業務を知る人が決める項目で、この記事では示しません。決め方の手順は、現場の担当者に「今その作業で、1日に何件処理して、何件間違えるか」を聞くことです。その間違いの頻度を基準にして、人が見直す手間が減るかどうかで線を引きます。数字が出なければ、まず聞くだけで構いません。
相手に聞くのは「この3つで完成と言えますか。足りない条件があれば、見積の前に教えてください」です。
早見表|判断と次の一手
4つの判断それぞれについて、よい答えと注意したい答えを並べます。見積の打ち合わせで、相手の答えをこの表と見比べてください。
| 判断 | よい答え | 注意したい答え | 次の一手 |
|---|---|---|---|
| ① 何を作るか | 既製品で足りない部分を具体的に言える | 最初からAIで作る前提で話が進む | 既製品との比較を見積に書いてもらう |
| ② 契約の型 | 段階ごとに型を提案し、理由を言える | 全工程を請負で、精度も保証すると言う | 段階に分けた見積を依頼する |
| ③ どの段階から | 診断やPoCから始められ、次の見積の見通しを示す | 条件が固まる前に本開発の契約を急ぐ | 診断・要件定義から頼む |
| ④ 完成の条件 | 3つの条件に合意し、精度が出ない場合の扱いも書く | 「完成」の定義が曖昧なまま見積が出る | 条件のひな形を渡して書き直してもらう |
注意したい答えが2つ以上当てはまる会社には、書面で再確認してください。見るのは相手の人柄ではなく、条件の置き方が見積の前提を揺らすかどうかです。
今すぐ受託開発を頼まなくていい会社と、この記事に含まれないこと
次の会社は、今すぐ受託開発の見積を取らなくて構いません。
- すでに発注先と契約済みで、契約の型と完成の条件も書面にある会社
- 既製のツールで足りることが確かめられた会社。まず設定と運用の工夫で試してください。確かめるには、業務名に「AI」を足して検索する、使っているクラウドサービスのAI機能を見る、の2つが手軽です。迷うときは当社の無料相談(30分)も使えます
- AI以外の通常のシステム開発だけを探している会社。この記事はAIの精度を前提にした判断を扱っています
この記事に含まれないことは次のとおりです。
- 発注先の会社比較・チェックリスト → AI受託開発会社の選び方
- 契約書の条項(著作権・中途解約など) → AI準委任契約
- 外注にするか、内製にするかの判断 → AIエージェント外注
- 費用の内訳と見積の読み方 → AI受託開発の費用相場
いまの状況を一言で言えるか試してください。「契約済み」「既製ツールで足りる」「AI以外」のどれにも当たらないなら、この記事の4つの判断に進んでください。
受託側の読者へ|発注側が持って来る条件に備える
この節は、受託する会社の方向けです。発注側の方は読み飛ばして構いません。
受託側の読者は、発注側がここまでの条件を持って来る前提で、提案と契約の種類を整えておくと話が早く進みます。受託側の発信には、準委任中心にするか請負を残すか、品質をどう管理するか、企画の領域まで担うか、という論点が出ています。発注側が求める条件と対にして並べます。
| 受託側の論点 | 発注側が求めてよい条件 | 受託側の準備 |
|---|---|---|
| 準委任中心か、請負を残すか | 段階に応じた契約の種類の選択 | 段階ごとの契約と見積を出せる形にする |
| 品質の管理 | 完成の条件と確認の手順 | 精度の測り方と報告の頻度を決めておく |
| 企画の領域まで担うか | 何を作るかを一緒に決める作業 | 診断や要件定義を単独の商品にする |
AIの利用料が開発や運用の途中で変わる案件では、その変動を誰が持つかも契約で決めておきます。金額の目安は書きません。見積では、固定の費用と使った分だけ増える費用を分けて示すと、発注側が比べやすくなります。
要件の整理、品質の管理、企画を担える会社は、発注側から求められやすくなります。ここを診断や要件定義という単独の商品にして見せると、「作る前から頼める会社」として話が通りやすくなります。
自社の提案書に「完成の条件」「精度が出なかったときの扱い」「運用を誰が持つか」の3つの欄があるか、見直してください。欄がなければ、発注側から聞かれて初めて答える形になります。
規模で変わること|小さな案件と大きな案件でAIが効く部分
AIが効く部分は、規模と作る物によって変わります。小さな案件ほど早くなりやすく、大きな案件ほどコードを書く以外の作業が残ります。数字の裏づけはないため、条件つきで書きます。
- 小さな案件: 既製ツールの設定や小さな自動化で済むことがある。作る場合も、段階を絞って早く確かめやすい
- 大きな案件: 要件の整理、他システムとの連携、権限、運用の設計など、コードを書く以外の作業が多い。AIで早くなる部分の割合は相対的に小さくなる、という見方がある
- 精度が成果を決める案件: データの用意と確認が工数の中心になりやすい。ここは作る速さより、データを出せるかが効く
「AIを使えば開発は安く早くなるはずだ」と言われたら、見積の中でAIによって減った作業と、新しく増えた作業を分けて出してもらってください。増えた作業の例は、データの整理、精度の確認、人が見直す手順の設計です。
どこまで減るかは案件ごとに違うため、数字で答えられる会社は、その根拠も一緒に出せるか聞いてください。根拠が出ない値引きの説明は、比べる材料になりません。
Summary in English
Conclusion: AI contract development (AI jutaku kaihatsu) is not about picking a vendor and collecting quotes. It is about deciding three things before choosing a vendor: what to build, under which contract type, and from which stage to start.
The Japan Patent Office’s IP BASE guide (FY2021 edition, retrieved on October 3, 2026) explains two contract types. Under a contract for work (ukeoi), the contractor promises to complete the work and is legally responsible for it. Under a quasi-mandate (jun-inin), the contractor performs agreed tasks with due care but is not legally responsible for completion. The guide also says AI accuracy depends on training data and is hard to guarantee, yet it warns against assuming that “AI means no performance guarantee”; terms should be negotiated per target. Even then, what counts as “complete” remains an open question.
Costs build up in stages. According to figures in other companies’ articles that we recorded in our competitor research, consulting and requirements definition run 400,000 to 2,000,000 yen over one to two months, a proof of concept 1 to 5 million yen over one to three months, and AI model development 1,000,000 to 2,500,000 yen per person-month (system development: 800,000 to 2,000,000 yen per person-month). These are not our prices. For reference, our AI assessment costs 150,000 yen (light) or 300,000 yen (standard), excluding tax, over two weeks with no connection to production systems.
Four decisions come before any quote: what to build, the contract type, the starting stage, and the completion criteria. The first action is to write one sentence describing what you want built and three completion criteria.
まとめ|最初に決めるのは会社でなく「完成の条件」
- AI受託開発とは、発注側の依頼を受けてAIを使った物を作って納める仕事で、精度を事前に保証しにくい点が通常の開発と違う
- 受託案件が減るという見方は受託側の発信で、数字の裏づけはない。発注側は何をAIに任せ、何を人が確かめるかを決める
- 契約は請負か準委任かの2種類。完成の条件が書けるなら請負、書けないなら準委任から始め、段階で型を分ける方法もある
- 費用は他社記事の調査値で、コンサル・要件定義が40〜200万円、PoCが100〜500万円、本開発は月単価100〜250万円×人月。各段階の終わりで進むか止めるかを決める
- 発注前に決めるのは、何を作るか、契約の型、頼む段階、完成の条件の4つ。決まらない項目は、決める作業から先に頼む
次のアクションは、3つのうちどれか1つで構いません。
- 今日: 作りたい物を1文で書き、成果の完成条件を3つ書き出す
- 今週: 4つの判断の表を埋め、候補の会社に同じ質問を送る
- 今月: 2〜3社に、完成の条件と段階別の見積を依頼する。診断かPoCのどちらから始めるか、準委任か請負かを決めたうえで、見積を比べる
何を作るか、どの契約で頼むかの整理で止まっている場合は、当社の無料相談(30分)で、作りたい物と完成の条件を一緒に整理できます。
次に読む
- 会社を選びたい → AI受託開発会社の選び方【2026年版】相場と見積チェックリスト
- 契約書の条項を確かめたい → AI準委任契約|著作権・中途解約など5つの注意点【2026年9月】
- 小さく試す段階を知りたい → AI PoC支援|費用相場100万円〜と支援会社の選び方4点【2026年9月】
- 外注か内製かで迷っている → AIエージェント外注|内製との比較5基準とハイブリッド設計【2026年9月】
更新履歴
- 2026-10-03: 初版公開。特許庁IP BASEの契約方式の解説と、他社記事の費用の調査値を反映
- 次回更新予定: 2027年1月(費用の出典の再確認、特許庁ページの更新有無の確認)
本記事は2026年10月3日時点の特許庁の公開解説と、他社記事の調査値に基づきます(公開日: 2026年10月3日)。特許庁の解説は2021年度の掲載で、2026年の制度解説ではありません。契約の個別の判断は、弁護士など専門家に確認してください。
参考・出典
- 特許庁 IP BASE「AI開発を受託する際の契約方式の選び方 請負型と準委任型」 https://ipbase.go.jp/learn/point/ai/page05.php(参照日: 2026年10月3日)
- 当社調査: 他社の公開記事(ai-market.jp 2026年6月28日更新、JAPAN AIラボ 2026年7月17日取得)のAI開発の費用・運用保守の調査値を、2026年7月6日・7月17日に記録
- 当社調査: 当社のAI適用診断・案件例の価格と条件を、2026年10月3日時点の当社サービス条件から転記
FAQよくある質問
- AI受託開発とは何ですか?
- 発注する会社(発注側)の依頼を受けて、受託する会社がAIを使ったシステムや機能を作って納める仕事です。通常のシステム開発と違い、AIは学習用データの量と質に精度が左右されるため、出来上がりの精度を事前に約束しにくい点が特徴です。そのため、何を作るか、どの契約で頼むか、どの段階から頼むかを、会社を選ぶ前に決めておくと進めやすくなります。
- AI受託開発の契約は準委任と請負のどちらがよいですか?
- 要件が固まっていない段階は準委任、完成させる物と合格の条件が書ける段階は請負が向きます。特許庁の解説によると、請負は仕事の完成に法的な責任を負い、準委任は善良な管理者の注意で事務を行うことに責任を負う契約です。迷うときは、診断や試作は準委任、条件が固まった本開発は請負と、段階で分ける方法があります。
- AI受託開発の費用はどの段階でいくらかかりますか?
- 他社記事の調査値では、コンサル・要件定義が40〜200万円(1〜2ヶ月)、PoC(=小さく試して効果を確かめる段階)が100〜500万円(1〜3ヶ月)、AIモデルの本開発が月単価100〜250万円×人月、システム開発が月単価80〜200万円×人月です。総額は小〜中規模で500〜1,500万円とする記事があります。これは当社の価格ではなく他社記事の調査値なので、見積と照らして使ってください。
- AIの活用で受託開発の案件は減っていますか?
- 減っているという見方は受託側の発信にありますが、数字で裏づけられた話ではありません。体験に基づく見方で、規模や案件の種類によって違うという反論もあります。発注側にとっては、案件が減るかどうかより、何をAIに任せて何を人が確かめるかを決める場面が増えることのほうが実務に響きます。
- AIを使うと受託開発は安くなりますか?
- 一律に安くなるとは言えません。作る工程の一部が早くなっても、完成の条件を決める作業、データの用意、動作の確認、運用保守は残ります。AIの利用料がかかり続ける案件もあります。見積では、何が早くなった分の値引きで、何が新しく増えた費用かを分けて出してもらうと比べやすくなります。
- 小さな業務の自動化でも受託開発を頼めますか?
- 頼めますが、最初から受託開発にしなくても進められます。作りたい物が既製のツールで足りるなら、受託は要りません。作る必要がある場合も、いきなり本開発ではなく、診断や小さな試作から始める頼み方があります。当社の案件例では、AI実装の専門家が週1〜2回入る形で月20〜36万円です。
- AIの利用料は受託開発の見積に含まれますか?
- 含まれる場合と、別に請求される場合があります。AIの利用料は使った量に応じて増える課金の形が多く、金額は各サービスの公式料金表で決まります。見積では、固定の費用と使った分だけ増える費用を分けて出してもらい、増えたときの負担を誰が持つか、上限を置くかを契約の前に決めておくと、運用に入った後の食い違いを防げます。
- 外注を減らして内製に切り替える動きはありますか?
- この記事で確認できた範囲では、件数や割合で裏づけられた動きは見つかっていません。確かめられるのは、作る作業が軽くなるほど、要件の整理、品質の確認、企画を誰が持つかを決める必要が増えるという点です。全部を外注するか、全部を内製するかの二択にせず、この3つの持ち主を先に決めてから、作る部分だけを頼む形もあります。
- AI開発で有名な企業は?
- 知名度で選ぶより、自社の業務に近い開発を、決めた条件で請けてくれるかで選びます。大手に頼むか小さな会社に頼むかは、予算・要件の固まり具合・開発後の運用を誰が持つかで変わります。会社名を挙げて比べる前に、作りたい物と完成の条件を1文ずつ書き出しておくと、どの会社にも同じ質問ができます。
- AIコンサルタントに頼むのと受託開発に頼むのはどう違いますか?
- AIコンサルタントは、何をどう進めるかの整理と助言が中心で、受託開発は実際に動く物を作って納めるところまでが範囲です。何を作るかが決まっていない段階はコンサルや診断、決まった後は受託開発、という順番で頼むと手戻りが減ります。契約の種類は、段階に合わせて準委任か請負かを選びます。
- AI受託開発は何から頼めばよいですか?
- 作りたい物を1文で書き、成果が出たと言える条件を3つ書き出すところからです。そのうえで、診断、PoC、本開発のどの段階から頼むかを決めます。条件が書けないうちに本開発を頼むと、完成の線引きで揉めやすくなります。


