
結論: AI業務診断は、AIを使える業務を探す作業ではなく、業務を洗い出して順位をつけ、次の一手を決める4ステップです。この記事では、自社で進められる4ステップ、自分でやる範囲と有料診断に頼る範囲の境目、IPAの公的な自己診断との違い、当社の診断の仕様を順に書きます。
この記事の要点
- 診断は4ステップ(洗い出し→適用余地の見立て→優先順位→次の一手)で進む。部署ごとではなく「作業」の単位で書き出すところから始める
- 洗い出し・見立て・優先順位までは自分で進められる。本番に近いデータでの確認、社内説明の材料づくり、次の段階の見積は有料診断が補う部分
- IPAの「DX推進指標」は「DX推進における「健康診断」」。DX全般の自己診断で、AI専用でも業務単位でもないので、4ステップとは役割が違う
- 当社のAI適用診断は2週間・本番非接続。料金はライト15万円/標準30万円(税別)で、本番化と保守は別契約
この記事は、中小企業の経営者・現場責任者・DX推進担当に向けて書いています。自社のどの業務をAI化できるか分からず、自分で診断するか有料診断に頼るかを迷っていて、「AIを使いたい」までは決めている人が対象です。AI導入そのものの是非や全体の進め方を知りたい方は、AI導入の進め方を5ステップで解説から読んでください。
今日やることは1つです。今いちばん時間を取られている業務を1つ選び、洗い出しシートの5項目だけ埋めてください。5項目は、作業名・月の回数・1回の時間・入力(=作業の元になる資料や依頼)と出力(=作って渡す物)・担当です。5項目が埋まった時点で、診断の最初の1歩は終わっています。
AI業務診断とは|4つのことを順に決める作業
AI業務診断とは、業務の現状を把握し、AIの向き不向きを見立て、優先順位をつけ、次の一手を決める4つの作業です。「どの業務がAIでできるか」の答え探しではなく、限られた時間と予算をどの業務に使うかを決める作業と考えると迷いません。この記事では、AIで置き換えられる見込みのことを「適用余地」と呼びます。
有料の診断サービスも、中身はこの4つを人手と経験で補う形です。つまり4つの作業を自分で一度やってみると、有料診断に頼むときも何を頼むのかが見えます。ステップ数を4にしたのは、「洗い出し・見立て・優先順位・次の一手」の4つの論点を1つも省かないためです。確かめ方は、4つの作業を1つの業務で一度通して書けるかどうかです。
診断は「洗い出し→見立て→優先順位→次の一手」の4ステップで進む
図の内容: 洗い出し → 見立て → 優先順位 → 次の一手の4ステップの流れ。ステップ1〜3は自分で進められ、ステップ4で4つの出口から選ぶ。
有料のAI適用診断が何を診るのか、何が分かって何が分からないのかは、AI適用診断とは?30万円を払う前に「分かること・分からないこと」に書きました。この記事は、その前の段階として自分でどこまで進められるかに絞ります。
ステップ1|業務を洗い出す
洗い出しは、部署ではなく「作業」の単位で書き出します。「経理」ではなく「請求書の内容を会計ソフトへ打ち込む」まで小さく割ると、AIが向くかどうかを後で判断できます。1つの作業の大きさは、担当者が「これで1つ」と言える、数分から数時間で終わる単位が目安です。
使うのは5項目の洗い出しシートです。これは編集部が整理した判断の目安で、調査値ではありません。
| 項目 | 書くこと | 書き方の例 |
|---|---|---|
| 作業名 | 動詞で終わる1行。部署名や職種名は書かない | 見積依頼のメールに返信する |
| 月の回数 | 1か月に何回やるか。ざっくりで構いません | 処理履歴から数えた回数 |
| 1回の時間 | 準備や確認を含めて1回にかかる時間 | 着手から確認完了までの実測時間 |
| 入力と出力 | 何を受け取り、何を作って渡すか | 入力は依頼メール、出力は返信メール |
| 担当 | 今やっている人。複数なら全員 | 営業事務の担当者と確認者 |
確かめ方は、担当者が入力から出力まで説明できるかどうかです。5項目が埋まらない場合は、作業の範囲が広すぎないか、回数や時間の記録が足りないかを見直してください。担当者が「いつもやっているので手順を説明しにくい」と感じる作業は、手順が人の頭の中にしかないということです。ここは次のステップで効いてきます。
洗い出しは、現場の担当者本人に書いてもらうのがいちばん正確です。管理職が想像で書いた一覧は、手順や例外が抜け落ちます。件数の目標を先に置かず、担当者が負担を感じている作業から拾ってください。
業種が違っても形は同じです。製造業なら「検査記録の転記」、士業なら「依頼内容のヒアリングメモの清書」、小売なら「問い合わせへの定型返信」のように、毎週繰り返す作業から拾ってください。
記入するときは、「通常どおりに終わる場合」と「担当者に差し戻す場合」を分けます。たとえば見積依頼への返信なら、必要な情報がそろった依頼への返信と、条件を聞き直す返信では手順が違います。同じ作業名にまとめたままだと、AIが得意な部分と、人に判断を戻す部分が混ざります。
入力と出力には、資料の種類だけでなく、受け取る場所と渡す相手も添えてください。「メールを読む」だけでは、添付資料の確認が含まれるか分かりません。「依頼メールと添付の仕様を読み、営業担当に確認用の下書きを渡す」と書けば、AIに頼む範囲も狭められます。顧客へ送る作業は、その後の別の工程として扱えます。
担当欄には、操作する人に加え、内容を判断する人も書きます。入力担当が困っていなくても、確認する側に修正が集中している場合があります。作業の前後を聞き、「誰の待ち時間や手戻りを減らしたいのか」をそろえてから、次の見立てへ進んでください。ここで作るのは、人を評価する一覧ではなく、仕事の流れを説明する一覧です。
ステップ2|AIの適用余地を見立てる
AIが向くかどうかは、業務の名前ではなく4つの観点で見立てます。入力が文章や数値などのデータで残るか、手順を言葉にできるか、間違えたときの被害が小さいか、量や頻度があるか、の4つです。適用余地(=AIで置き換えられる見込み)は、この4つを○△×で付けて見ます。
次の表は編集部が整理した判断の目安であり、調査値ではありません。
| 観点 | 向く条件 | 向かない条件 |
|---|---|---|
| 入力がデータで残るか | メール・文書・表計算など、文章や数値で手元に残っている | 口頭のやり取りだけで記録が残らない。紙の手書きで読み取りが要る |
| 手順を言葉にできるか | 「まずAを見て、次にBを確認する」と説明できる | 担当者の勘や経験に頼り、毎回やり方が違う |
| 間違えたときの被害が小さいか | 人が最後に確認でき、直せば済む | 誤りがそのまま顧客や取引先に届く。法的な責任が生じる |
| 量・頻度があるか | 同じ作業を繰り返す。件数が多い | 年に数回しかやらない。1件ごとに内容が大きく違う |
洗い出した作業のうち、時間がかかっている上位3つに、この4観点で○△×を付けてください。○は条件に当てはまる、△は一部当てはまる、×は当てはまらない、です。たとえば請求書の転記なら、データ○(メールに添付で残る)/手順○/被害△(金額の誤りが取引先に届くおそれがある)/量○、のように付けます。
AIに任せにくい業務もここで見えてきます。最終的な判断を人が負う業務、対面で信頼関係をつくる業務、手順が毎回違う業務です。ただし、これらの業務の中にも、下調べや下書きのように一部だけAIに任せられる作業が含まれることがあります。業務全体を×にする前に、作業に分けて見直してください。
○△×を付けたあとに「△の理由は何か」を1行書いて確かめます。理由が書けない△は、見立てが甘い合図です。たとえば入力データが△なら、「メールは残っているが添付はスキャン画像」のように、何が足りないかを具体的に書きます。この1行が、後で有料診断に頼むときの依頼文になります。
判断が割れたときは、○の数を競うより、同じ資料を見て理由を確かめます。ここからの例は、診断の考え方を示す説明用の例で、顧客事例ではありません。問い合わせ対応なら、定型の案内を下書きする作業と、例外的な返金を承認する作業を分けて考えてください。文章を作れることと、取引の判断を任せられることは別です。
| 作業の例 | AIに任せる候補 | 人が確かめること |
|---|---|---|
| 問い合わせへの返信 | 案内資料をもとに返信の下書きを作る | 案内が最新か、例外対応が必要か |
| 検査記録の整理 | 記載内容を決めた項目へ抜き出す | 読み違い、記載漏れ、判断保留の箇所 |
| 社内会議の準備 | 資料から論点や未決事項を拾う | 原文にない決定を足していないか |
特に「間違えたときの被害」が×なら、他の項目が○でも、そのまま自動実行へ進めません。出力を人が確認する下書きに限定できるか、外部への送信や登録の前で止められるかを考えます。誤りを見抜く担当者を置けないなら、確認の仕組みづくりを先に決めます。それが難しければ、その作業をいったん候補から外す選択もあります。
また、資料が手元にあることと、診断やAIで使ってよいことも別です。使う資料の範囲を社内で確かめ、不要な顧客情報や個人情報は含めない形を選びます。ここで止まった理由はシートに残してください。「データがない」と「データはあるが使える範囲が決まっていない」では、頼む相手も準備することも変わります。
ステップ3|優先順位をつける
優先順位は「効果の大きさ」と「始めやすさ」の2軸で並べます。効果が大きく始めやすい作業から手を付けるのが基本で、どちらかが低い作業は後回しか別の手段で考えます。始めやすさは、AIを試すための材料と条件がそろっているかで決めます。量や頻度は、効果の側で見ます。
効果と始めやすさの2軸で並べ、右上の作業から着手する
図の内容: 効果(縦)と始めやすさ(横)を1〜3点で付け、効果3・始めやすさ3は実装、効果3・始めやすさ1〜2は試作、効果1〜2・始めやすさ2〜3は研修、効果1〜2・始めやすさ1は今はやらない、に分かれる。
点の付け方は次のとおりです。これも編集部が整理した判断の目安です。表の「データ」「手順」「被害」は、ステップ2の観点を短く呼んだもので、データ=入力がデータで残るか、手順=手順を言葉にできるか、被害=間違えたときの被害が小さいか、を指します。
| 点数 | 効果の大きさ | 始めやすさ |
|---|---|---|
| 3点 | 量・頻度が多く、担当者が毎週負担に感じている | ステップ2の「データ」「手順」「被害」の3観点がすべて○ |
| 2点 | 月に数回で、時間はそれなりにかかる | 3観点のうち1つが△か× |
| 1点 | まれにしか起きない。かかる時間も短い | 3観点のうち2つ以上が△か× |
効果の大きさは、自社で記録した作業量から考えます。洗い出しシートの「月の回数」と「1回の時間」を掛けると、現在かかっている時間が分かります。ただし、今の作業時間すべてが、AIで減らせる時間ではありません。導入後も残る確認や修正の時間を差し引いて、効果を見積もってください。記録がない項目は推測で埋めず、担当者が実際の作業で測る対象にします。
上位3業務の点数を担当者に見せて、「体感と合うか」を聞いて確かめます。数字が高いのに担当者が「そこは困っていない」と言うなら、洗い出しの時間が実態とずれています。逆に、点数が低いのに担当者が最も嫌がっている作業があれば、1回の時間に待ち時間や確認の往復が入っていないのかもしれません。
点数は業務を比べるための整理方法で、効果を保証する数値ではありません。担当者の負担、確認にかかる時間、間違いが起きた場合の影響を、同じ基準で見比べるために使います。忙しい時期だけ増える作業は、その事情を理由欄に添えてください。普段の回数だけで比べると、繁忙期に助けが必要な仕事が後回しになります。
同じ点数の候補が並んだら、試すための材料と確認者がそろっている作業を先に選びます。たとえば返信の下書きなら、入力となる問い合わせ、参照する案内、過去の適切な返信を並べて確かめられるかを見ます。資料を探すところから始める仕事と、すぐに答え合わせができる仕事では、着手の負担が違います。
評価の理由には、現場の担当者と責任者の意見を両方残します。意見が違ったら平均点で済ませず、何を効果と考えているかを聞いてください。担当者は入力の手間を、責任者は差し戻しの減少を重視しているかもしれません。目的をそろえてから順位を決めると、後で「期待した改善と違った」というすれ違いを減らせます。
ステップ4|次の一手を決める
次の一手は、今はやらない・研修で進める・試作で進める・実装で進めるの4つから選びます。ステップ3の点数をもとに候補を選び、未解決の条件を確かめて決めます。
上位業務の点数から、4つの出口の候補を選ぶ
図の内容: 効果が3点なら始めやすさ3点で実装・1〜2点で試作、効果が1〜2点なら始めやすさ2〜3点で研修・1点で今はやらない、に分かれる。
4つの出口の意味は次のとおりです。
- 今はやらない(効果1〜2点・始めやすさ1点): 効果が小さく、始めにくい作業です。見送ることも診断の成果で、将来の見直し候補として洗い出しシートに残します
- 研修で進める(効果1〜2点・始めやすさ2〜3点): 効果は大きくなくても、始めやすい作業です。社員がAIの使い方を覚え、各自の作業に組み込むほうが早く回ります
- 試作で進める(効果3点・始めやすさ1〜2点): 効果は大きいが、データや手順に足りない部分がある作業です。小さく作って、何が足りないかを試しながら探します
- 実装で進める(効果3点・始めやすさ3点): 効果が大きく、条件もそろっている作業です。本番の仕組みとして作り込みます
診断のあとに本番化へ進む手順は、AI適用診断の本番化|次に進む3ステップと費用の階段に書きました。費用の目安として、当社の相場整理では、診断のあとの段階にあたるPoC(=小さく試して効果を確かめる検証)は100万円〜です。診断の15万円・30万円は、その手前の段階にあたります。
選んだ出口を1行で言い切れるかで確かめます。「見積依頼への返信は、試作で進める。理由は添付の仕様がスキャン画像で、読み取りの確かさを試す必要があるから」のように、作業名・出口・理由の3点が書ければ、次の一手は決まっています。
点数が高くても、本番で動かす判断は別に行います。図の「実装で進める」は、実装の準備を検討する候補という意味です。データを使う許可、出力を確認する担当、止まったときに人の手作業へ戻す方法が決まっていなければ、その条件を整える工程へ戻ります。点数だけで、AIが顧客へ自動でメールを送るような本番での接続や自動送信まで許可したことにはなりません。
試作を選んだら、何が分かれば次へ進むのかを先に書きます。返信の下書きなら、「必要な案内を落とさないか」「参照資料にない約束を加えないか」「担当者が直す手間を減らせるか」が確かめる対象になります。出力が自然に読めることだけで合格にすると、業務に必要な条件の見落としを拾えません。
研修を選ぶ場合も、受講することを終点にしないでください。どの作業で使い、誰が出力を確認し、使えなかったときに誰へ相談するかまで決めます。見送る場合は、資料が整う、担当が決まるなど、再び検討する条件を残します。どの出口でも、次に動く人と判断する材料が分かる状態にしておくことが大切です。
無料チェックと公的な自己診断の使いどころ
無料のセルフチェックや公的な自己診断は、現状認識をそろえる入口として使えます。ただし、どの業務にAIを使うかを決める道具ではないので、4ステップとは役割が違います。経営者と関係者で現状をそろえたいときはIPAの指標を使い、AIの対象業務を決めるときは4ステップを使う、と分けてください。
公的な例が、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)の「DX推進指標」です。IPAは自己診断の位置づけを、次のように書いています。
DX推進における「健康診断」 (IPA「DX推進指標のご案内」より。参照日: 2026年10月3日)
IPAの説明では、経営者と関係者が現状や課題を共有し、行動につなげるために使います。ここでいうDXは、デジタル技術を使って業務や事業のあり方を変える取り組みです。
IPAの公式案内では、自己診断の結果を提出すると、ベンチマークレポート(=他社との比較の資料)を受け取れます。回答を提出したあと、5分から10分ほどで取得できると書かれています。自社の回答を業界などの取り組みと比べ、今後の課題を考える材料にする仕組みです。利用手順や料金は公式案内で確認してください。この記事では、IPAの指標を無料サービスとは断定しません。
日付も確認しておきます。IPAのこのページは、公開が2019年10月25日、最終更新が2026年9月18日です。同日から、提出方法がWebフォームに変わったと案内されています(参照日: 2026年10月3日)。以前の手順を紹介した資料は、そのまま使えない場合があります。
当社の読み分けでは、IPAの指標はDX全般を対象にしており、AI専用でも業務単位の診断でもありません。経営や組織の現状認識をそろえるには向きますが、「請求書の転記と問い合わせの返信のどちらからAIを試すか」は答えてくれません。そこは本記事の4ステップの役割です。
| 種類 | 得意なこと | 決められないこと |
|---|---|---|
| IPAのDX推進指標 | 経営者と関係者で現状認識をそろえる。気付きを得る | 個別の業務にAIが向くか。どの業務から着手するか |
| ブラウザで答えるセルフチェック型 | 質問への回答から自社の傾向をつかむ | 自社の実際の作業に当てはまるか。優先順位 |
| この記事の4ステップ | 作業単位でAIの向き不向きを見立て、順位をつける | 本番に近いデータで動くかの確認 |
無料のセルフチェックは、質問に答える形が多く、回答した本人の主観が結果に出ます。結果を鵜呑みにせず、確かめ方として「自分の洗い出しシートの上位3業務と、結果が示した方向が合っているか」を見てください。合わないなら、セルフチェックの質問が自社の業務に合っていないか、洗い出しの書き方が足りないかのどちらかです。
診断サービスそのものの種類と選び方は、AI診断サービスの4つの種類と選び方5基準で整理しています。
自分で進める範囲と有料診断に頼る範囲
洗い出し・見立て・優先順位づけまでは自分で進められます。本番に近いデータでの確認、社内説明の材料づくり、次の段階の見積は、有料診断が補う部分です。
| 項目 | 自分で進める | 有料診断に頼る |
|---|---|---|
| 洗い出し | 現場の担当者が5項目を書けば足りる | 担当者が多く、全部署を短期間で聞き取りたいとき |
| 見立て | 4観点の○△×は自分でも付けられる | 判断に迷う△が多いとき、または手書き帳票の読み取りや複数のシステムをまたぐ作業など、技術的な見極めが要るとき |
| 本番に近いデータでの確認 | 手元のデータで試せる範囲まで | 過去の問い合わせの実物を多めに並べ、AIの返信が使えたかを数えるなど、実際の業務データに近い形で確かめたいとき |
| 社内説明 | 点数と1行の理由をまとめれば足りる | 経営会議や稟議に出す資料の形に整えたいとき |
| 次フェーズの見積 | 自分では出しにくい | 試作・実装にいくらかかるかの見積まで欲しいとき |
当社のAI適用診断の場合、期間は2週間で、本番システムには接続しません。診断は現場に同席して進めます。研修・試作・実装のどれで進むかを切り分ける入口で、本番化と保守は別契約です。料金は、ライト診断が15万円、標準診断が30万円(いずれも税別)です。日程の考え方はAI適用診断の期間に、費用の相場とPoC 100万円〜との違いはAI適用診断の費用相場に書きました。当社の診断の実施件数や顧客事例は、この記事には書きません。実績の数だけで診断を選ぶより、下の4問への答えが具体的かで比べてください。
診断を頼む前に、次の4つを聞いておくと失敗しにくくなります。
- 本番のシステムやデータにつなぐのか: つなぐなら、誰がどこまでデータを見られるのか。当社は診断では本番に接続しない設計です
- 診断が終わったとき、手元に何が残るのか: 点数表・優先順位・次の見積など、成果物の中身を先に聞きます
- 診断のあと、本番化や保守は別契約か: 診断だけで終えても構わないか、続ける場合の費用はどう決まるかを聞きます
- 診断のあとの試作や構築まで、同じ会社に頼めるのか: 別の会社に頼んでもよいのかも聞いておくと安心です
4つ目について、当社の場合は本番化と保守が別契約です。診断だけで終えることも、結果を持って別の進め方を選ぶこともできます。同じ会社で続けられるかどうかは、料金と進め方を診断の前に確かめてください。
答えが具体的でない項目は、契約前に説明を求めてください。答えられない理由が、対象業務がまだ決まっていないためなのか、サービスに含まれていないためなのかで、次の対応は変わります。この4問を候補の全社に同じ文面で送り、答えの具体性を並べて比べて確かめます。
依頼時には、完成した診断表を作ろうとせず、迷っている欄をそのまま見せて構いません。「作業は切り分けたが、添付資料の読み取りをどこまで任せられるか決められない」のように伝えると、相談したい範囲が明確になります。自社で分かっていることと、専門家に確かめてほしいことを分けるのが準備の中心です。
有料診断の成果物や検証範囲は、発注前に具体例で確かめます。上の表は頼める内容を検討するための整理で、すべての診断に同じ内容が含まれるという意味ではありません。当社のライト診断と標準診断も、名称や価格だけから対象業務数や納品物を推測せず、相談時に範囲を確かめてください。
社内への説明には、期待する効果だけでなく、まだ分からない条件と今回決めたいことを添えます。「AIを導入したい」だけでは、診断を頼む理由が伝わりません。「候補の作業で使えるかを確かめ、その結果から研修か試作かを選びたい」と書けば、診断費用と、その後に必要となる費用を分けて話せます。
早見表|4ステップの問いと終わりの目印
4ステップのそれぞれに「見る問い」と「終わりの目印」があります。本文を読まなくても、この表で自分の現在地を確認できます。
| ステップ | 見る問い | 終わりの目印 | よくあるつまずき |
|---|---|---|---|
| 1 洗い出し | この作業は何を受け取り、何を渡すか | 担当者が5項目を説明できる | 部署名や職種名で書いてしまい、作業まで割れない |
| 2 見立て | データ・手順・被害・量の4観点はどうか | 上位3業務に○△×と△の理由1行がある | △の理由が書けないまま次へ進む |
| 3 優先順位 | 効果と始めやすさは何点か | 上位業務が2軸のマップに載っている | 点数が体感とずれたまま放置する |
| 4 次の一手 | 4つの出口のどれか | 作業名・出口・理由の3点が1行で書ける | 全業務を一度に「実装」にしようとする |
診断を今すぐ受けなくていい会社と、この記事に含まれないこと
次のような会社は、有料の診断より先に、社内で決めることが残っています。
- 対象の業務がすでに1つに絞れている(診断より、その業務での小さな試作に進むほうが早い)
- 診断の結果を動かせる担当が社内にいない(診断で順位が決まっても、動かす人がいなければ止まります)
- AIでなく業務のルールの整理が先(誰が承認するか、どの条件で値引きするかが決まっていない作業は、AIに任せる前に人のルールを決める必要があります)
この記事に含まれないことは次のとおりです。
- 有料の診断の中身(分かること・分からないこと): AI適用診断とは?30万円を払う前に「分かること・分からないこと」
- 診断の費用相場とPoCとの価格差: AI適用診断の費用相場|15万〜30万円とPoC100万円の違い
- 診断サービスの種類と選び方: AI診断サービスの4つの種類と選び方5基準
当社の診断も、すべての会社に合うわけではありません。洗い出しの段階で対象が絞れる会社は、自分で進めるほうが早く、費用もかかりません。迷う△が多いなら、有料診断を検討してください。
Summary in English
This article explains how a small or mid-sized company can run its own AI business-process diagnosis in four steps, and where paid diagnosis helps. Step 1 is listing work at the level of individual tasks with five fields: task name, monthly count, time per run, input and output, and who does it. Step 2 is judging fit with four viewpoints: input data, a describable procedure, low harm from mistakes, and high volume. Step 3 is ranking tasks on two axes, effect and ease of starting, each scored 1 to 3. Step 4 is choosing one of four exits: do not do it now, train staff, build a prototype, or implement. These checklists are editorial rules of thumb, not survey results. Steps 1 to 3 can be done in-house. Paid diagnosis helps with checking against data close to production, material for internal approval, and a quote for the next phase. The Japanese government’s IPA describes its DX Promotion Index as a “health check” for DX; it covers DX in general, not AI or individual tasks. As of October 3, 2026, AI Expert’s own AI applicability diagnosis takes two weeks, does not connect to production systems, and is done on site. It costs 150,000 yen (Light) or 300,000 yen (Standard), both excluding tax. Production rollout and maintenance are separate contracts. In AI Expert’s own price summary, a proof of concept starts around 1,000,000 yen.
まとめ|自分で見て、足りないところだけ頼る
AI業務診断の要点を整理します。
- 診断は洗い出し・見立て・優先順位・次の一手の4ステップで、作業の単位から始める
- 洗い出しは担当者が5項目を書き、見立ては4観点の○△×を付ける
- 優先順位は効果と始めやすさを1〜3点で付け、点数から出口(今はやらない・研修・試作・実装)の候補を選ぶ
- IPAのDX推進指標は「健康診断」で、DX全般の自己診断。業務ごとのAIの向き不向きは4ステップで見る
- 洗い出し・見立て・順位づけは自分で進められ、本番に近いデータでの確認・社内説明・次の見積は有料診断が補う
- 当社の診断は2週間・本番非接続で、ライト15万円/標準30万円(税別)。本番化と保守は別契約
自分で見る範囲を先に決めておけば、有料の診断に頼むときも「どこを頼むのか」を説明できます。診断の費用も無駄になりにくくなります。
次のアクションは、3つのうちどれか1つで構いません。
- 今日: いちばん時間を取られている業務を1つ選び、洗い出しシートの5項目を埋める
- 今週: 現場の担当者に洗い出しを頼み、上位3業務に4観点の○△×を付ける
- 今月: 点数で出口を決める。有料診断に頼む場合は、聞く4問を候補の全社に送る
自分で進めて迷ったところや、出口を決めたあとの進め方は、無料相談でも一緒に整理できます。
次に読む
- 診断の費用とPoCとの違いを知りたい → AI適用診断の費用相場|15万〜30万円とPoC100万円の違い
- 有料診断の中身を知りたい → AI適用診断とは?30万円を払う前に「分かること・分からないこと」
- 診断のあとの進め方を知りたい → AI適用診断の本番化|次に進む3ステップと費用の階段
更新履歴
- 2026-10-03: 初版公開。自社でできる4ステップ、IPA「DX推進指標」の公式記述、当社の診断仕様(2週間・本番非接続・15万円/30万円)を収録。IPAの参照日は2026年10月3日
- 次回更新予定: 2026年11月(IPAのDX推進指標ページの更新と、当社診断の仕様を再確認します)
本記事は2026年10月3日時点のIPAの公開ページと当社資料に基づきます(公開日: 2026年10月3日)。公的な指標の提出方法や当社の診断の料金・期間は変わることがあるため、最新の内容はIPAの公式ページと当社の案内でご確認ください。
参考・出典
- 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)「DX推進指標のご案内」 https://www.ipa.go.jp/digital/dx-suishin/about.html(参照日: 2026年10月3日)
- 当社調査: 当社のAI適用診断の仕様(期間・本番非接続・現場同席・料金)の確認(当社資料・2026年10月)
FAQよくある質問
- AI業務診断とは何をするものですか?
- 自社の業務を作業の単位で洗い出し、AIが向くかを見立て、優先順位をつけ、次に何をするかを決める作業です。AIを使える業務を探すだけでなく、「今はやらない」と決めることも結果のうちに入ります。自分で進めることも、有料の診断に頼ることもできます。
- 自社の業務がAIでできるかどうかは、どう調べればよいですか?
- まず業務を作業の単位で書き出し、入力が文章や数値で残るか、手順を言葉にできるか、間違えたときの被害が小さいか、量や頻度があるか、の4つを○△×で付けます。これは編集部が整理した判断の目安で、調査値ではありません。最終的には、手元の実際の資料で小さく試して確かめます。
- AIが得意な業務と、任せにくい業務は何が違いますか?
- 得意なのは、入力が文章や数値で残り、手順を言葉にでき、量が多く、間違えても被害が小さい作業です。任せにくいのは、最終判断を人が負う業務、対面での信頼関係づくり、毎回手順が変わる作業です。ただし、その業務の中の下調べや下書きだけはAIに任せられることがあります。業務の名前ではなく、作業ごとにこの条件を当てて見分けます。
- どの業務から診断を始めるとよいですか?
- 今いちばん時間を取られている業務を1つ選ぶところから始めます。担当者が洗い出しシートの5項目(作業名・月の回数・1回の時間・入力と出力・担当)を埋め、そこから4ステップへ進みます。全業務を一度に診断する必要はありません。
- 無料の診断ツールと有料のAI適用診断は何が違いますか?
- ブラウザで答えるセルフチェック型は、質問への回答から自社の傾向をつかむ入口として使えます。有料のAI適用診断は、本番に近いデータで確かめる、社内説明の材料を作る、次の段階の見積まで出すといった部分を補います。どちらが上ではなく、自分で足りる範囲と頼る範囲が違います。
- 有料のAI適用診断の費用と期間はどのくらいですか?
- 当社の場合、期間は2週間で、本番システムには接続しません。料金はライト診断が15万円、標準診断が30万円(いずれも税別)です。他社の料金は各社の公式な案内で確認してください。
- 診断のあと、AI化はどう進めればよいですか?
- 診断のあとの進め方(出口)を「今はやらない」「研修で進める」「試作で進める」「実装で進める」の4つに分けて考えます。当社の相場整理では、PoC(=小さく試して効果を確かめる検証)は100万円〜が目安です。診断の結果で、どの出口に進むかを決めます。
- 診断のあとの試作や構築も、同じ会社に頼む必要がありますか?
- 必ずしも同じ会社である必要はありません。当社の場合、診断は研修・試作・実装のどれで進むかを切り分ける入口で、本番化と保守は別契約です。同じ会社で続けられるかは、料金と進め方を診断の前に確かめてください。
- IPAのDX推進指標でAI活用の診断はできますか?
- IPAの指標はDX全般の自己診断で、AI専用でも業務単位の診断でもありません。経営や組織の現状認識をそろえる用途に向きます。どの業務にAIを使うかを決めるには、この記事の4ステップのような業務単位の見立てが別に要ります。


