
結論: AI適用診断の本番化とは、診断を続けることではなく、診断結果を基にAIを実際の業務へ組み込むことです。必要に応じてPoC(=小さく試作して確かめる工程)を挟みます。この記事では、次に進む手順と費用、本番化を見据えた診断会社の選び方を書きます。
この記事の要点
- AI Expertの診断は2週間・本番非接続・現場同席です。本番化・保守は別契約なので、診断の料金に含めて考えません。
- 診断→PoC・試作→本番実装・開発と段階を分けます。試作の必要性と次に進む条件は、業務に合わせて判断します。
- 当社の競合ライブラリ(=各社の公開情報を集めて整理した資料)では、PoCの目安は100万〜500万円、1〜3ヶ月です。診断費とは出典も対象範囲も異なります。
- 診断会社には、調査の範囲、実装への対応、概算見積、社内に必要な体制を聞きます。続けて頼めるかと、料金に含むかは別の確認です。
対象は、診断を受けると決めた、または受診済みの中小企業の経営者・AI推進担当です。次の発注と社内の準備をどう進めるかに絞ります。診断そのものをこれから調べる方は、AI適用診断とは?を先に確認してください。
今日やることは、診断の見積書か報告書で「本番化は別契約か」を確認することです。書かれていなければ、その点を診断会社に聞いてください。本文の費用は指定資料の記載を使い、判断の手順は編集部の提案として整理しています。
AI適用診断の「本番化」とは何を指すか
本番化は、AIを日々の業務に組み込み、現場が使える状態にする工程です。PoCはその前に必要性や動作を確かめる試作であり、完成した本番システムとは区別します。診断と、実装まで踏み込むコンサルティング(=実装まで助言・伴走する業務)は違います。詳しくはAI診断とAIコンサルの違いで整理しています。
AI Expert事業ファクトシート(=AI Expertが自社の商品条件をまとめた資料)では、診断は2週間・本番非接続・現場同席です。研修・試作・実装のどれで進むかを切り分ける入口としています。本番化・保守は別契約です。この条件はAI Expertの商品条件であり、すべての診断会社に共通する定義ではありません。
報告書に自動化の案があっても、その機能が納品されたわけではありません。どの業務に向いているかという判断と、日常業務で使える仕組みは別の成果です。次の契約では、作る物と完成を確認する方法を改めて決めます。
たとえば、問い合わせ対応の改善を考える場面です。診断で調べるのは、担当者が何を調べ、どこで判断に迷うかです。試作では、用意した資料から役立つ回答案が作れるかを確かめます。本番化では、誰が回答を確認し、どの画面から使うかまで決めます。これは業務を考えるための例であり、導入実績の紹介ではありません。
確かめ方: 「診断に含む成果物」と「次の契約で作る物」を分けて説明してもらいます。同じ会社に頼む場合も、この区切りは確認してください。
診断から本番化までの3ステップ
経済産業省「AI・データの利用に関する契約ガイドライン(AI編)」は、AI開発をアセスメント、PoC、開発、追加学習の段階に分けて整理しています。当社の解釈では、工程ごとに次へ進むかを判断する考え方は、この整理と重なります。ただし、本記事の「診断」は当社の商品条件に基づく区分であり、社内の承認や引き継ぎなど、同ガイドラインの段階名にない作業は編集部の提案として補っています。
本記事では、診断→PoC・試作→本番実装・開発の3ステップで整理します。各工程の終わりに、結果を見て次に進むかを決めます。PoCは必須ではなく、試さないと分からない点がある場合に選ぶ工程です。当社の競合ライブラリでは、PoCを1〜3ヶ月・100万〜500万円と整理しています。
診断からPoC・試作、本番実装・開発まで3段階。各段の後に次へ進むかを判断する
図の内容: 診断(2週間)→PoC・試作(1〜3ヶ月・100万〜500万円)→本番実装・開発の3段階。各段の後に次に進むかを判断する関所がある。
診断の出口で決めるのは、解決したい業務と次に確かめることです。「AIを導入したい」だけでは、試作の範囲を決められません。担当者のどの作業を変えるのか、今は何が分かっていないのかを書き出します。資料不足なら資料を整える、使い方の問題なら研修を検討します。
候補が複数ある場合は、着手する業務を絞る基準を先に決めます。目安は4点です。頻度(日常的に発生するか)、負荷(時間や人手がかかっているか)、判断の単純さ(資料さえあれば結論が決まるか)、失敗した時の影響範囲です。この4点は編集部が整理した着眼点であり、点数化の仕組みではありません。どれにも当てはまらない業務は、後回しにしても支障が小さいと判断できます。
PoCの出口では、動いたことに加えて業務上の使い道を判断します。都合のよい資料だけで成功しても、日常業務に広げられるとは限りません。読み取りにくい資料や、答えが資料にない場面も試してください。失敗したときに現場が対処できるかも判断材料です。
開発の出口では、利用担当者が実際の手順に沿って動作を確認します。作った会社の画面共有だけで確認を終えないようにします。普段使う端末や権限で、入力から結果の確認までを通してください。問題が出たら誰に連絡するかも、利用開始前に共有します。
| 工程の出口 | 次に進むための材料 | 材料が足りない場合 |
|---|---|---|
| 診断の終了 | 対象業務と、試作で確かめたい不明点。 | 業務の整理や研修を先に進めます。 |
| PoCの終了 | 想定した入力での結果と、人による確認の負担。 | 追加で試す目的を絞るか、見送ります。 |
| 開発の終了 | 現場での動作確認と、問い合わせ・復旧の担当。 | 利用範囲を狭めて残る問題を直します。 |
確かめ方: 各工程について「何が分かれば次の発注を判断できるか」を書きます。診断前にすべて確定させる必要はありません。次の工程を始める前に、判断に必要な材料と確認方法をそろえます。
本番化までの期間の目安
AI Expertの診断は2週間です。当社の競合ライブラリにあるPoCの目安は1〜3ヶ月です。この合計は本番稼働までの総期間ではありません。開発や接続準備、社内の判断にかかる時間を別に見込みます。
診断の日程の組み方はAI適用診断の期間で解説しています。本番化の日程を考えるときは、作業中の期間と待っている期間を分けてください。開発会社が動けても、社内から資料が出なければ検証は進みません。
診断の終了日をそのままPoCの開始日に置くと、準備が日程から抜けます。報告書の確認、対象業務の選定、見積の比較を挟む必要があるためです。これらを診断と並行して準備できるか、担当者と相談しておきます。
本番接続では、既存システムを管理する部署の予定も関係します。接続方法を確認する人と、変更を許可する人が同じとは限りません。利用部署だけで日程を決めず、確認を頼む相手まで予定に入れます。
また、担当者が忙しい時期には、試作品を確認する時間を取れないこともあります。現場の確認を開発の最後に寄せると、修正の余地が減ります。途中で画面や結果を見せてもらい、業務の認識違いを早めに見つける進め方が有効です。
| 日程に入れる作業 | 社内で確認する相手 | 先にそろえる材料 |
|---|---|---|
| 診断結果の確認 | 利用部署と発注の責任者。 | 報告書、次の工程の候補。 |
| 試作の準備 | 資料の管理者と現場担当。 | 利用できる資料、答え合わせの方法。 |
| 本番接続の準備 | システム管理者。 | 接続先、必要な権限、変更する範囲。 |
| 利用開始の判断 | 現場責任者と運用担当。 | 動作確認の結果、問題時の連絡先。 |
確かめ方: 日程表に作業名だけでなく、社内で返事をする担当を書きます。見積の期間が、準備や承認待ちを含むかも確認してください。開始日が決まらない場合は、何がそろえば開始できるかを条件で残します。
本番化にかかる費用の階段
費用は、診断→PoC・試作→本番開発の順に階段状に上がります。本開発は人月(=担当者の作業量を月単位で表す工数)単価×工数で示します。総額を比べる前に、どの工程に対する金額かを分けてください。診断の費用の内訳はAI適用診断の費用相場に詳しく書いています。
| 工程 | 費用の目安 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 診断 | ライト15万円/標準30万円(税別) | 2週間 |
| PoC・試作 | 100万〜500万円 | 1〜3ヶ月 |
| 本番開発(AIモデル) | 人月単価100万〜250万円×工数(人月) | 規模で変動 |
| 本番開発(システム) | 人月単価80万〜200万円×工数(人月) | 規模で変動 |
費用は階段状に上がる。総額は小〜中規模で500万〜1,500万円、大規模で1,500万円〜数千万円
図の内容: 診断15万〜30万円、PoC・試作100万〜500万円、本番開発はAIモデルが人月単価100万〜250万円、システムが人月単価80万〜200万円(いずれも×工数(人月))の階段。総額は小〜中規模500万〜1,500万円、大規模1,500万円〜数千万円が目安。棒の高さは金額に比例しません。
診断の金額はAI Expert事業ファクトシートに基づきます。PoCと本開発は、当社の競合ライブラリにある段階課金の目安です。同資料の総額目安は小〜中規模500万〜1,500万円、大規模1,500万円〜数千万円です。過去の公開情報を整理した値であり、個別案件の見積ではありません。図の高さは工程を表し、価格に比例するグラフではありません。
本開発の欄は、人月単価に必要な工数を掛けて考えます。元資料の「月額×人月」という表記を、計算対象が分かる形に整理しました。AIモデルは主にAIの学習・調整にかかる開発費、システムは画面や接続部分の開発費を指すことが一般的です。両者が別立てか、見積全体に含まれるかは発注先に聞いてください。本番開発費の内訳や見積の読み方はAI受託開発の費用相場で詳しく解説しています。
相場の各下限を足すだけでは、自社の予算は決まりません。PoCで作った物を本番でも使えるか、作り直す部分があるかで範囲が変わるためです。資料の整備、既存システムへの接続、現場への説明も確認します。開発費に含まれない作業は、別欄に分けてもらいます。
AI Expert事業ファクトシートには、専門家に週1〜2回・月20時間から継続して入ってもらう支援(=必要な分だけAI実装の専門家に関わってもらう契約)の月20万〜36万円という案件例もあります。標準期間は3〜4ヶ月で、契約は準委任または請負(30万円〜)です。対象になる仕事の範囲は案件ごとに決めるため、診断後のPoC一式をこの金額で提供する約束ではありません。継続して支援を頼む場合は、定例で確認する頻度・時間・参加者をあらかじめ決めておくと、進捗確認の抜けを防げます。関連する支援範囲はAI PoC支援で整理しています。
準委任は、働いた時間や業務の遂行に対して報酬を払う契約です。請負は、完成した成果物に対して報酬を払う契約です。名称だけで含まれる作業を判断しないでください。提案段階では、頼める仕事、納品物、範囲が変わった場合の費用を聞きます。契約の具体的な扱いは発注先と確認します。
確かめ方: 見積の工程名と成果物を照らし合わせます。相場との差があれば、対象を絞っているのか、別料金の作業があるのかを聞いてください。安さだけを理由に選ぶ前に、社内に残る作業も比較します。
本番化を見据えて診断会社を選ぶときの確認点
診断会社には、調査の範囲、実装への対応、概算見積、必要な社内体制を確認します。「対応できる」という返事を、作業と成果物の説明に置き換えることが選定の要点です。発注先そのものの選び方はAI受託開発会社の選び方と見積チェックリストでも整理しています。
① 調査と本番接続の境界
本番非接続でも、診断に何の資料を使うかは決める必要があります。画面を見せるのか、加工した資料を渡すのか、口頭で業務を説明するのかを聞きます。接続しないという言葉だけで、資料の共有条件まで決まるわけではありません。
診断会社には「こちらが準備する資料と、渡さなくてよい情報を教えてください」と聞いてください。取引先や個人に関する情報が混じる場合は、社内の共有ルールも確認します。診断に不要な情報を外しても判断できるかを相談すると、準備の範囲を絞れます。
② PoC・実装への対応範囲
診断と開発を同じ会社に頼めれば、業務説明を引き継ぎやすくなります。ただし、担当チームや対応できるシステムは確認が必要です。会社として対応可能でも、希望する時期に人を確保できるかは別です。
「試作と本番接続は誰が担当しますか」「保守まで相談できますか」と聞きます。外部の協力会社が関わる場合は、連絡と進行管理の窓口も確認してください。診断会社が開発を受けない場合は、報告書を別の会社へ渡せる形にする方法を相談します。
③ 概算見積と前提条件
診断の成果物に概算見積が含まれるとは、指定のファクトシートだけでは判断できません。含まれているものとして発注せず、申し込み前に聞いてください。金額を出せない場合は、不足している情報と、見積を出せる段階を確かめます。
概算が出たら、どの業務、どの接続先、どの成果物を想定したかを読みます。前提が書かれていない金額は、他社の見積と比較しにくいためです。「対象を変えたら何の費用が変わるか」まで聞くと、社内で予算を調整しやすくなります。
④ 社内に必要な担当と作業
既存の体制で進められることと、社内の作業が発生しないことは違います。外注しても、業務の説明や結果の正しさの確認は社内の協力が必要です。現場を知る人の時間を確保できるかが、発注判断に関わります。
「専任者が必要ですか」だけでなく、お願いされる作業を聞いてください。資料を用意する人、回答を確認する人、利用開始を決める人を当てはめます。兼務できる役割と、判断を分けたい役割を整理すると、体制を変える必要性も見えてきます。
確かめ方: 候補の会社へ同じ質問を送り、回答を並べます。返事が抽象的な項目は、説明を追加してもらってから比較してください。未定という回答だけで除外せず、決めるための手順まで示されているかを見ます。
診断の成果物を次の発注先へ渡すには
引き継ぎでは、提案された結論と、その結論を出した前提をセットで渡します。診断レポートの詳しい見方はAI適用診断のレポートを参照してください。ここでは別工程の発注に必要な情報に絞ります。
「問い合わせ対応を自動化する」という結論だけでは、見積の範囲が広がります。対象とする問い合わせ、参照する資料、人が確認する箇所まで説明します。診断で調べていない点も残してください。分かっていないことを推測で埋めると、次の会社は確定した条件として受け取ってしまいます。
元資料をすべて渡す必要はありません。社内で共有してよい情報を選び、業務の流れと判断の根拠を伝えます。次の会社が追加資料を求めた場合は、何の判断に必要かを聞きます。必要な部分だけを準備すれば、引き継ぎのための調査を際限なく広げずに済みます。
| 渡す情報 | 書いておきたい内容 | 引き継ぎで避けたい状態 |
|---|---|---|
| 対象業務 | 誰が、どの資料を使い、何を仕上げるかの説明。 | 「事務全般」のように対象が広い。 |
| 診断の判断 | 適用を勧めた理由と、向かない作業。 | 推奨ツール名だけが残っている。 |
| 未検証の点 | まだ試していない入力や接続条件。 | 仮説を動作確認済みとして渡す。 |
| 次の成果物 | 試作品か、実際に使う仕組みかの説明。 | 「AI導入一式」だけで発注する。 |
同じ会社に継続して頼むときも、この整理は役立ちます。診断の担当者から開発の担当者へ替わる場面で、説明の抜けを防げるためです。会社名が同じという理由だけで、会話の内容がすべて共有されると考えないでください。引き継いだ内容を提案書で確認します。
確かめ方: 次の発注先に、理解した対象業務と今回作る物を説明してもらいます。診断の報告書と食い違う場合は、その理由を確かめます。診断後に分かった事情による変更なら、変えた前提を記録してから進めます。
PoCの結果は現場の仕事で評価する
PoCの合格条件は、試作品の見栄えよりも現場が利用を判断できる結果が出ることに置きます。試す前に、今の仕事と何を比べるかを決めてください。目標値は自社の実測や判断に基づき、外部の成功例から借りてきません。
回答案を作る業務なら、正しい回答が出たかだけでは足りません。現場担当が読んで直す手間と、元資料を探し直す手間も見ます。出力まで速くても、確認に時間がかかれば仕事全体は軽くならないためです。担当者が普段の手順で確かめられる形にします。
評価に使う資料は、日常の業務に近い物を選びます。きれいに整理された資料だけでなく、表記が揺れた資料も対象として検討します。答えが資料にない場合、推測せず人へ戻せるかも見てください。こうした条件は、実績の数値ではなく、試作を設計する際の確認例です。
うまくいかなかった結果も、そのまま残す意味があります。原因が資料不足なら資料整備、業務ルールの曖昧さなら手順の整理を検討できます。AIの出力だけを直してよい問題か、業務側を変えるべきかを切り分けます。同じ試作を繰り返す前に、次に何を確かめれば判断が変わるかを説明してください。
評価を担当者の感想だけにしない工夫も必要です。入力した資料、出力、担当者が直した箇所を対応させて残します。あとから別の担当者が見ても、なぜ合格または保留にしたかが分かる形です。情報の保存場所と閲覧できる人は、社内のルールに合わせます。
確かめ方: 結果の説明会では、成功例と失敗例を並べてもらいます。「どの条件なら使えるか」「どこから人へ戻すか」を現場担当と確認してください。その境界を説明できなければ、本番で使う範囲をまだ広げない判断ができます。
本番実装と保守の境界を先に決める
本番化の見積では、開発完了後の問い合わせと修正を誰が受けるかまで確認します。AI Expertの事業ファクトシートでも、本番化・保守は診断と別契約です。動作確認が終わることと、運用の担当が決まることは別と考えて準備します。
利用開始前には、誰がどの情報を見られるかを確認します。試作で担当者が見られた資料を、利用者全員に開放してよいとは限りません。役割ごとに必要な範囲へ絞り、実際の利用権限で動作を確かめます。便利さと情報の扱いを同じ画面で確認する作業です。
日常の運用では、参照資料の更新も必要になります。商品情報や業務手順が変わった際に、誰が資料を直すかを決めてください。システムの故障ではなく、古い資料が原因で誤った回答になる場面も考えられます。開発会社が直す範囲と、社内で更新する範囲を分けます。
止まった場合の業務の続け方も確認します。従来の手作業へ戻れるか、人による確認だけで継続できるかを考えます。復旧まで業務を止める設計なら、その影響を発注前に話し合う必要があります。異常の連絡を受ける窓口と、利用停止を判断する担当も共有します。
保守の見積は、問い合わせ対応だけか、修正作業まで含むかで読み方が変わります。外部サービスの利用料や、仕様変更への対応が別料金かも聞いてください。ここでは保守費の総額を仮置きせず、必要な作業から見積を取る進め方を勧めます。保守の頻度や要否の確認点はAIエージェント保守とはで詳しく解説しています。
確かめ方: 「使い始めた後に問題が起きたら、誰が何をするか」を説明してもらいます。契約に含む対応と追加発注になる対応を分けて確認します。利用部署がその説明を理解できることを、開始前の確認項目に入れてください。
本番化が進まない・止まるときに起きること
本番化が止まったら、検証不足なのか、予算や体制の判断待ちなのかを切り分けます。止まった理由に合う次の作業を決めることで、目的のない追加試作を避けられます。以下の図は、社内で判断材料をそろえるための編集部による整理です。
検証結果から業務への影響、体制と費用を確認して、進行か保留を決める。
図の内容: 検証結果→業務への影響→体制と費用→進行・保留の判断。判断材料を順に確認するための提案です。
検証不足なら、何がまだ分からないのかを具体的にします。「精度が不安」だけでは、どの試験を追加するか決まりません。どの入力で、どんな誤りが起き、業務へ何が影響するかを整理します。追加試作の依頼は、その疑問に答える範囲へ絞ります。
予算の判断待ちなら、試作を続けても返事は出ません。今回の結果、本番化に必要な費用、見送った場合の業務を並べて説明します。体制が原因なら、必要な担当作業を洗い出し、兼務や利用範囲の縮小で対応できるかを検討します。
止める判断も診断や試作の成果です。診断費を払ったことだけを理由に、追加投資を続ける必要はありません。ただし「保留」とだけ残すと、再検討のきっかけがなくなります。資料が整う、担当者が決まるなど、再開できる条件を書いておきます。
確かめ方: 社内の判断者に、進行・追加検証・見送りのどれを決めてもらうかを示します。決められない場合は不足する材料を聞いてください。次の会議を増やす前に、その材料を誰が用意するかを決めます。
早見表|本番化に進む前のチェック
本番化の発注前には、範囲・判断材料・体制をそろえます。未完了の項目は、右欄の行動から着手してください。
| 確認項目 | まだの場合の次の一手 |
|---|---|
| 本番非接続の範囲を診断会社が説明している | 見積書に「本番システムには接続しない」の一文を入れてもらう |
| PoC・実装まで同じ会社が伴走できるか確認している | 診断の成果物に「次に頼む先」の候補が書かれているか確認する |
| 診断の成果物に概算見積が含まれている | 見積の前提条件(規模・期間)を明記してもらう |
| 社内が担当する準備・確認作業が分かっている | PoCの前に、承認する人と、使う人の役割を決める |
| 診断とPoC・実装が別契約であることを理解している | 見積書の工程欄を確認し、診断の範囲とPoC以降の範囲を分けて書いてもらう |
AI適用診断の本番化を今すぐ考えなくていい会社と、この記事に含まれないこと
次のいずれかに当てはまる会社は、本番化の発注を急がず、入口の整理から進めてください。
- まだ診断を受けていない、診断の中身や費用をこれから調べる段階(→ AI適用診断とは?、AI適用診断の費用相場)
- 診断のレポートをまだ受け取っていない、または受け取った内容を確認していない(→ AI適用診断のレポート)
- PoCという工程そのものを知らない、一般的な進め方を先に知りたい(→ PoCの進め方)
この記事に含まれないこと:
- 診断の費用の詳しい内訳 → AI適用診断の費用相場
- 診断の期間・日程の決め方 → AI適用診断の期間
- PoC全般の進め方 → PoCの進め方
- 診断・試作・実装をどう階段状に設計するかの全体論 → PoC貧乏にならないAI導入の進め方
Summary in English
Moving an AI assessment into production means integrating AI into daily work, with a separate decision about implementation and support. AI Expert’s business fact sheet describes its assessment as a two-week review with on-site participation and no production connection. The light assessment costs ¥150,000 and the standard assessment ¥300,000, excluding tax. These are AI Expert’s product conditions, not a definition of all assessment services.
The article organizes the path as assessment, proof of concept when needed, and production implementation. AI Expert’s competitor research records a historical PoC range of ¥1 million to ¥5 million over one to three months. Those figures are reference ranges, not a current quotation or a guaranteed schedule. Production development and internal approvals require separate planning.
Before ordering the next stage, buyers should identify the target workflow, unresolved questions, evaluation material, and the people responsible for approval and daily use. Vendor comparisons should cover assessment boundaries, implementation support, the assumptions behind estimates, and the buyer’s own preparation work. A working prototype is insufficient if staff cannot verify its output or handle failures. Handover, access permissions, document updates, and maintenance responsibilities should be discussed before use begins. Pausing implementation is a valid outcome when evidence, budget, or staffing is insufficient. Record the reason and the conditions for reconsideration.
まとめ|本番化は診断と別発注で判断する
AI適用診断の本番化について、この記事の要点を整理します。
- AI Expertの診断は2週間・本番非接続で、本番化・保守は別契約です。
- 診断、必要に応じたPoC、本番開発を分け、各工程の結果で次の発注を判断します。
- 費用の相場と自社の見積は別です。対象業務、成果物、社内に残る作業をそろえて比較します。
- 診断会社には調査範囲、実装への対応、概算見積、社内体制を聞きます。
- 動作確認に加えて、引き継ぎと保守の担当を決めます。見送る場合は再検討の条件を残します。
次のアクションは、今日・今週・今月から、現在の段階に合うものを選んでください。
- 今日: 診断の見積書か報告書で、本番化が別契約かを確認します。
- 今週: 早見表を使い、次の発注に足りない材料を診断会社へ聞きます。
- 今月: PoCの結果を見て、誰が次に進むかを判断するか決めます。
自社だけで判断がつかない場合は、診断の結果を見ながら本番化までの階段を一緒に組む相談から始める方法もあります。
次に読む
- 診断とは何か・費用はいくらかをまだ調べている → AI適用診断とは?30万円を払う前に「分かること・分からないこと」
- 診断のレポートの中身を先に確認したい → AI適用診断のレポートの見方
- PoC全体の手順を先に知りたい → PoCの進め方と費用相場
- 発注先そのものの選び方を先に知りたい → AI受託開発会社の選び方と見積チェックリスト
更新履歴
- 2026-09-14: 初版公開。AI適用診断の商品条件と段階課金の資料を反映。次の発注、引き継ぎ、運用の確認点を整理。
- 次回更新予定: 2026年10月(商品条件と相場資料の更新を再確認します)。
本記事は2026年9月14日時点で参照したAI Expert事業ファクトシートと競合ライブラリに基づきます(公開日: 2026年9月14日)。相場は過去の集計値です。最新の提供条件と個別の費用は、発注先の見積で確認してください。
参考・出典
- 当社調査: AI Expert事業ファクトシート。AI適用診断の商品条件、本番化・保守の別契約、伴走支援の案件例を参照。最終更新2026年6月12日/参照日: 2026年9月14日。
- 当社調査: 競合ライブラリ「AI受託開発/PoC・業界標準の段階課金」。各社公開資料を整理したPoC・本開発・総額の目安を参照。集計時点2026年7月6日/参照日: 2026年9月14日。資料上の確度は中で、当社の価格表ではありません。
- 経済産業省「AI・データの利用に関する契約ガイドライン(AI編)」。AI開発のアセスメント・PoC・開発・追加学習という段階区分を参照。参照日: 2026年9月14日。
FAQよくある質問
- AI適用診断の料金はいくらですか?
- AI ExpertのAI適用診断は有料です。事業ファクトシートではライト診断15万円、標準診断30万円(税別)で、期間は2週間です。本番非接続・現場同席で進めます。初回相談は30分無料ですが、診断本体とは別です。
- AI適用診断とPoCは何が違いますか?
- AI Expertの診断は、研修・試作・実装のどれで進むかを切り分ける調査です。PoCは、小さく試作して業務で使えるかを確かめる別工程です。当社の競合ライブラリでは、PoCの目安を100万〜500万円、1〜3ヶ月と整理しています。診断で提案された内容が、そのまま実装費に含まれるわけではありません。
- AI適用診断のあと、必ずPoCをやる必要がありますか?
- 必要はありません。診断の結果を受けて、研修から始める、小さな実装を検討する、本番化を見送る道もあります。PoCは、実際に試さないと判断できない点を確かめるための工程です。すでに分かっていることを再確認するだけなら、試作の目的から見直してください。
- 診断から本番化まで、どれくらいの期間がかかりますか?
- AI Expertの診断は2週間です。別資料である当社の競合ライブラリでは、PoCの目安を1〜3ヶ月と整理しています。この期間には、本番開発や社内の承認待ちは含めていません。本番化までの日程は、接続先の準備、担当者の確保、開発範囲を確認したうえで個別に組みます。
- AI適用診断はなぜ本番システムに接続しないのですか?
- AI Expertの診断は、研修・試作・実装の方向を切り分ける調査として設計されているためです。本番環境で動くことの保証や、本番接続の作業は含みません。調査に使う資料と共有方法は事前に確認します。本番化を発注するときは、接続先や利用権限を別途決める必要があります。
- 本番化まで見据えて診断会社を選ぶには、何を確認すればいいですか?
- 調査と本番接続の境界、PoC・実装への対応範囲、概算見積の有無、社内に必要な体制を聞きます。同じ会社に続けて頼める場合も、診断の料金に実装が含まれるとは限りません。未定の項目があれば、何を調べれば答えが出るのかも確認し、次の発注判断に必要な材料をそろえます。
- 診断の費用とPoC以降の費用は、どれくらい違いますか?
- AI Expertの診断は15万〜30万円(税別)です。当社の競合ライブラリではPoCを100万〜500万円と整理しています。本開発は、AIモデルが人月単価100万〜250万円、システムが人月単価80万〜200万円という目安です。必要な工数と対象範囲で総額が変わるため、診断費との単純比較はできません。
- 診断を受けても本番化しない選択はできますか?
- できます。診断は本番化を約束する工程ではありません。業務の整理や社内の体制づくりを先に進める判断もできます。見送る場合は、理由と再検討する条件を残してください。診断で払った費用を取り戻すためだけに、効果を説明できない追加開発へ進む必要はありません。


