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AI 業務 棚卸し|5列の棚卸表と業務を選ぶ3ステップ【2026年10月】

AIに任せる業務を選ぶための棚卸しを、5列の棚卸表と3ステップで整理しました。判定基準、向かない業務、棚卸しの次の段階をIPA公式資料の原文と当社設計をもとに2026年10月時点でまとめています。

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AI Expert 編集部運営 Orga合同会社

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AI 業務 棚卸し|5列の棚卸表と業務を選ぶ3ステップ【2026年10月】

結論: AIの業務棚卸しは、業種を選ぶ作業ではなく、自社の業務を「業務名・頻度と時間・入力・判断・例外」の5列で書き出し、AIに任せる候補を絞る作業です。この記事では、5列の棚卸表の書き方、洗い出しから判定までの3ステップ、AIに向かない業務、棚卸しの次の段階までを書きます。

この記事の要点

  • 棚卸しは「業務名を含む5列(業務名・頻度と時間・入力の形式・判断の有無・例外の多さ)」の表を埋める作業。入力の形式は仕事の材料の届き方、例外はいつもの手順から外れて手で直す場面を指す。業種の一覧を眺めても、自社のどの業務が候補かは決まらない
  • 進め方は3ステップ。①業務を洗い出す、②5列で書く、③AI向きかを判定する。最初は自分が最近担当した業務から始める
  • AI向きの目安は、入力の形が決まっていて、判断が少なく、例外が少ない業務。3つがそろわない業務は「要相談」(=現場の担当者と話して決める)か「人が残す」に分ける(当社の考え方で、実測値ではない)
  • 棚卸しだけでは成果は出ない。次の段階として、当社設計のAI適用診断は2週間・本番非接続(=御社の実際のシステムにはつながない)・現場同席(=診断する人が現場に来て確かめる)で、ライト15万円/標準30万円(税別)

この記事は、AIを業務に入れたいと考え始めたものの、使う業務が決まっていない中小企業の経営者や現場責任者に向けて書いています。「AIを入れる」という方向はすでに決めた方が対象です。AI導入全体の手順はAI 導入 進め方|担当・成果物・止める基準で見る6つの手順に、組織の準備度を点数にする方法はAI導入診断|6視点24問で自社の現在地を点数化する方法にまとめています。ここでは、その手前の「業務を洗い出して絞る」部分だけを扱います。

今日やることは1つです。自分が最近担当した業務を、思いつく順に書き出してください。きれいに分類する必要はありません。メール返信、請求書の入力、会議の議事録、見積の作成のように、日々やっていることをそのまま1行ずつ書けば十分です。この業務名の一覧が、あとで残りの列を埋める土台になります。

AI業務棚卸しとは|AI導入の前にやる整理

AI業務棚卸しとは、自社の業務を1つずつ書き出し、AIに任せられそうなものを見つけるための整理です。業種別の一覧や診断ツールで済ませず、自社の業務を自分たちの言葉で書くのが要点です。同じ「経理」という部署でも、請求書が紙で届く会社とシステムで届く会社では、AIに任せられる範囲が変わるからです。

棚卸しと混同されやすいものに、IPA(情報処理推進機構)の「DX推進指標」があります。IPAは同指標を「DX推進における「健康診断」」と呼んでいます(IPA「DX推進指標のご案内」、参照日: 2026年10月14日)。つまり、会社全体の現在地を測る道具です。DX全般を扱うもので、AI専用ではありません。業務を1つずつ書き出す棚卸しとは別の作業です。

道具見るもの向いている場面
業種別の一覧・診断ツール業種ごとによく挙がる業務の例他社ではどんな業務が候補になるかを眺めたいとき
DX推進指標(IPA)経営・組織を含む会社全体の現状と課題経営者と関係者で認識をそろえたいとき
業務の棚卸し(この記事)自社の業務1つずつの頻度・入力・判断・例外どの業務からAIを試すかを決めたいとき

手元の資料が「業種の例」を並べているだけなら、自社の業務は1行も書かれていません。自社の業務名が1行ずつ並び、その横に頻度や入力の形が書かれて初めて、棚卸しと呼べます。

棚卸しの3ステップ

棚卸しは、①業務を洗い出す、②5列で書く、③AI向きかを判定する、の3ステップで進めます。最初から全社でやらず、1人の1週間分、または1つの流れ(受注から請求まで、など)に範囲を絞ると止まりません。

棚卸しは「洗い出す→5列で書く→判定する」の3ステップで、最初は身近な業務から

棚卸しの3ステップステップ1は業務を洗い出す。最近担当した業務を書く。ステップ2は5列で書く。頻度と時間、入力、判断、例外を埋める。ステップ3はAI向きかを判定する。AI向き、要相談、人が残すの3つに分ける。① 洗い出す身近な業務を書き出す② 5列で書く頻度と時間・入力判断・例外③ 判定するAI向き/要相談人が残す各ステップで「誰が・何を使って・何を聞くか」を決めてから進む

図の内容: 棚卸しの3ステップ(洗い出す・5列で書く・判定する)と、各段階で行うことの流れ。

① 業務を洗い出す

誰が:自分、または部署の責任者。使うもの:カレンダー、送信済みメール、作業メモ。聞くこと:「先週、何に時間を使いましたか」。思い出すより、カレンダーと送信済みメールを見ながら書くほうが漏れません。今日はそこから書ける分だけで十分です。業務の細かさは「請求書を入力する」「見積書を作る」のような、動詞で終わる1行にします。「経理業務」のような大きな括りは、後で5列を書けなくなるので避けます。

書く範囲は、業務の始まりと終わりで区切ります。たとえば「問い合わせ対応」だけでは、内容の確認から返信の送信までが混ざります。「問い合わせを読み、用件を分類する」「返信案を作る」「内容を確認して送る」と分けてみてください。下書きはAIの候補でも、送信前の確認は人が担う、といった違いが見えます。

洗い出すときの注意点は次のとおりです。

  • 忙しかった仕事だけを思い出すと、短い転記や照合が抜けます。カレンダーに残らない仕事は、「資料を探した」「返事を待った」「間違いを直した」と場面からたどる
  • 担当者を責めるための表ではなく、普段の手間を知るための表だと先に伝える。責任者が想定する手順と現場の手順が違っていても、その違いを残す
  • 締め処理や急ぎの依頼など、普段は発生しない仕事は別に書く。対象に含めなかった時期や業務もメモしておくと、後から読んだ人が、判定を使ってよい場面を判断できる

② 5列で書く

洗い出した業務ごとに、次の節で説明する5列を埋めます。ここで大事なのは、良い答えを書こうとせず、実際のやり方をそのまま書くことです。「本当は決まった形式で来るはずだが、実際は電話とメモが混じる」なら、混じると書きます。

③ AI向きかを判定する

5列の答えをもとに、AI向き・要相談・人が残す、の3つに分けます。基準は「AIに任せる業務の判定基準」の節に書きました。判定は1人で決めず、その業務を実際にやっている人に「この書き方で合っていますか」と聞いて確かめます。やっている人のほうが、例外の多さを正確に知っていることが多いからです。

確かめ方:書き出した業務名がすべて動詞で終わる1行になっているかを、同僚に読んでもらって見ます。読んだ人が「何をする業務か」を言い換えられなければ、細かさが足りません。

棚卸表の5列と書き方

棚卸表は、業務名の横に「頻度と1回の時間」「入力の形式」「判断の有無」「例外の多さ」の列を並べた表です。業務名を含めて5つの情報を、1業務につき1行で書きます。入力の形式は、仕事の材料が手元にどんな形で届くかを指します。キーボードで打つ作業のことではありません。例外とは、いつもの手順から外れて手で直す場面です。

列名書くこと書き方の例(仮の業務)AIとの関係
業務名動詞で終わる1行取引先から届いた請求書を会計ソフトに入力する何を任せるかの単位になる
頻度と1回の時間週何回・月何回と、1回にかかる時間月に何十枚、1枚あたり数分(自社の実際の数を書く)繰り返しが多いほど、試す意味が出る
入力の形式(=材料の届き方)紙・メール本文・PDF・システムの画面・口頭のどれか紙とPDFが混在形式が決まっているほど、AIが読み取りやすい
判断の有無決まった基準で済むか、人が考えて決めるか勘定科目(=帳簿の分類)は過去の入力例に合わせる(基準あり)。見積は宛名と金額を確認して送る判断が主の業務は、AIの出力を人が確認する負担が残る
例外の多さ例外が月に何回出るか、どんな例外か取引先ごとに書式が違い、月に数件は手で直す例外が多いほど、決まりを作るのに手間がかかる

表の記入例は、説明のための仮の業務です。実在の会社の数字ではないので、自社の数を必ず入れ替えてください。「頻度と1回の時間」は、時間を測るのが難しければ、先に「日々繰り返す」「月末に集中する」といった状況を書きます。時間は未計測として区別します。細かい数字を無理に作ると、判定がぶれます。

コピーしてそのまま使える書式を置いておきます。書式は、5列に「判定」と「月の合計時間」の2欄を足した7列です。今日埋めるのは先頭の5列だけで構いません。スプレッドシートの1行目に貼り付ければ使えます。

質問テンプレ(メール文面)
業務名 | 頻度と1回の時間 | 入力の形式 | 判断の有無 | 例外の多さ | 判定(AI向き/要相談/人が残す) | 月の合計時間(想定)
(例)請求書を会計ソフトに入力する | 月◯回・1回◯分 | 紙とPDF | 基準あり | 取引先ごとに書式が違う | (後で記入) | ◯回×◯分=◯分(自社の記録から)

最後の列は、削減時間の見積もりに使う欄です。月の回数×1回の時間で、自社の記録だけから出した「想定」を入れます。AI向きと判定した業務だけに書けば十分です。AIを入れた後の確認や修正の時間は含めません。

確かめ方:5列のどれかを「たぶん」で書いた行には印を付けます。印の付いた行は、その業務をやっている人に聞き直してから判定します。推測で埋めず、業務の実態を見に行きます。

記入するときは、作業した時間と、返事を待った時間を混ぜないようにします。承認が来るまで止まっていた時間を、そのままAIで減らせる時間にはできません。「入力する手間が重い」のか、「承認する人が不在で止まる」のかで、必要な手は変わります。時間が分からなければ、まず止まる理由を書いておきます。

入力の形式には、ファイルの種類だけでなく、どこから届くかも添えます。同じPDFでも、毎回同じ欄に必要事項がある書類と、自由な文章の資料では、確かめ方が違います。必要な情報がそろわず担当者が電話で補っているなら、その聞き取りも業務の一部です。画面の入力だけを見て、準備の手間を落とさないようにします。

判断の有無は、「いつも同じ人が処理する」だけでは分かりません。「別の人が同じ資料を見ても、同じ答えになりますか」と聞きます。答えが違うなら、基準が共有されていないのか、その都度判断する必要があるのかを分けます。前者なら手順の整理が先で、後者なら人が決める場面を表に残します。

例外は「多い」「少ない」の感覚だけで終わらせず、実際に困った内容を書きます。たとえば、書類に必要事項がない、取引先から訂正が来る、過去の約束を調べる、といった内容です。回数を覚えていなくても、例外の内容は残せます。回数が不明なのに「少ない」と決めるより、何を調べれば判断できるかが分かる表にします。

書式の「判定」は、棚卸しの情報を埋めた後で付ける結果欄です。業務名を含む5列と、判定の欄を分けて扱ってください。最初から結論を入れると、「AI向き」に見える答えだけを集めがちです。空欄は急いで埋めず、「未計測」「担当者に聞く」と、空いている理由を残しましょう。

AIに任せる業務の判定基準

AIに任せる候補は、入力の形が決まっていて、判断が少なく、例外が少ない業務です。3つがそろえばAI向きです。1つでも崩れれば要相談、入力が紙のままか判断が主なら人が残す側に置く、というのが当社の考え方です。これは当社が整理した基準であり、実測で確かめた値ではありません。

5列の答え判定理由と次の一手
入力が決まった形式で、判断は基準どおり、例外は少ないAI向き最初に試す候補。小さく試して、出力を人が確かめる
入力と判断は問題ないが、例外が多い要相談例外の種類を書き出し、決まりに直せるかを現場に聞く
入力は決まっているが、判断を挟む場面が多い要相談判断の基準を言葉にできるかを聞く。言葉にできなければ人が残す
入力が紙のまま、または口頭で来る人が残す(先に入力を整える)紙をPDFにする、メールの書式をそろえるなど、前段の整備を先に行う
判断が主で、毎回違う結論を出す人が残すAIは下書きや材料集めの補助にとどめ、決めるのは人

3つの質問に順に答えると、AI向き・要相談・人が残す、のどれかに分かれる

AIに任せる業務の判定の分かれ道質問1は入力が決まった形式か。いいえなら先に入力を整えて人が残す。質問2は判断が基準どおりで少ないか。いいえなら、基準を言葉にできれば要相談、できなければ人が残す。質問3は例外が少ないか。はいならAI向き、いいえなら要相談。質問1入力は決まった形式か質問2判断は基準どおりか質問3例外は少ないかはいはいいいえいいえいいえ人が残す先に入力を整える要相談/人が残す基準を言葉にできれば要相談要相談例外を決まりに直せるか3つともはい → AI向き

図の内容: 入力・判断・例外の3つの質問に答えていくと、AI向き・要相談・人が残す、に分かれる判定の流れ。質問2で「いいえ」のときは、判断の基準を言葉にできれば要相談、できなければ人が残す。

確かめ方:AI向きと判定した業務は、実際にやっている人に「先月、この形から外れたことは何回ありましたか」と聞きます。「覚えていない」なら、例外は思ったより少ないか、気づかれていないかのどちらかです。次に同じ業務を行うときに、通常の手順から外れた場面を記録してから決めます。AI向きの業務を実際に試す場面はAI 業務効率化 事例|入力と確認で選ぶ3つの業務も参考になります。

AI向きと判定した業務で削減できる時間を見積もりたくなりますが、この段階の数字は想定に過ぎません。書くなら「想定」と断り、月の回数×1回の時間という自社の記録だけから計算してください。他社の削減率を借りて当てはめることはしません。

候補が並んだら|試す範囲と確認する人を決める

候補の中では、出力の正しさを現場で確かめられる業務から試します。忙しい業務をそのまま選ばず、入力から確認までの流れが見える範囲に切り分けるのが当社の提案です。棚卸表は、その話し合いの材料になります。

たとえば、問い合わせへの返信を任せたい場合を考えます。これは説明用の仮の場面です。問い合わせの分類と返信案の作成までは試せても、条件の変更や顧客への約束には担当者の判断が残ります。「問い合わせ対応を自動化する」とまとめず、AIに渡す資料、作ってほしい下書き、人が確認する内容をそれぞれ書きます。

候補を比べるときは、繰り返しの多さに加え、失敗したときの影響も見ます。社内向けの下書きなら修正してから使えても、外部へ送った内容は取り消しにくい場合があります。棚卸しの時点では、送信や登録まで任せる前提にしません。出力を人が見るところまでを候補にすると、試す範囲を話し合いやすくなります。

候補を絞るための問い次へ進める状態先に整理する状態
元の資料と出力を比べられるか何を見て正しいと判断するかが決まっている正解が担当者の記憶にしかない
確認を担当する人がいるか出力を見て、採用か修正かを決められる確認役が決まっていない
失敗しても途中で止められるか下書きの段階で止め、人の手順へ戻せる外部送信や登録まで区切れない
準備の負担を把握しているか資料を集める手間も含めて比べられる入力の作業時間だけを見ている

最初の1業務を選んだら、自分で試せる最小の一手があります。市販のAIチャットに、実際の材料(個人情報や取引先名は伏せたもの)を貼って下書きを作らせ、担当者が元の資料と見比べます。ここで見るのは、使えるかどうかと、確認にどれだけ手間がかかるかの2点です。社外に出せない資料は、社内の扱い方を先に確認してから使います。

効果を比べるときは、AIが作業した後の確認や修正も含めます。下書きが早くできても、根拠を探す手間や書き直しが増えれば、業務全体の負担は減りません。棚卸しでは現在のやり方を残し、試した後に、準備・作業・確認のどこが変わったかを比べられるようにしておきます。まだ試していない段階で削減効果を確定しないことが大切です。

選んだ業務について、担当者に「何を受け取ったら始まり、何ができたら終わりですか」と聞きます。次に「AIの出力のどこを、誰が確認しますか」と聞きます。答えが曖昧なら、業務名を細かく分け直します。範囲が定まれば、棚卸表を作った人以外も、同じ候補を同じ意味で扱えます。

業種で変わる見方

業種が変わっても5列は同じで、最初に注目する列が変わります。ここでは代表的な業種と部署だけ、一般論の範囲で書きます。事例は扱わず、記入例も仮の業務です。

業種・部署最初に見る列見るポイント記入のひな形(仮の業務)
製造例外の多さ品番や仕様の違いで例外が増える。見積や図面まわりは、過去案件との照合が判断に入るかを見る見積書を作る/入力は図面とメール/例外は仕様変更の問い合わせ
士業判断の有無専門的な判断が主な業務が多い。書類の下書きや資料集めと、判断そのものを分けて書く資料を集めて整理する/入力は紙とPDF/判断は人が行う
小売頻度と入力の形式発注・問い合わせ・在庫確認など、回数が多く入力がシステムに載っているものが多い。店舗ごとの違いが例外になる在庫を確認して発注する/入力は画面/例外は店舗ごとの違い
経理・総務入力の形式紙・PDF・メールが混ざりやすい。月末に集中する業務は、時間を測る時期も書く請求書を入力する/入力は紙とPDF/例外は書式違い
営業判断の有無議事録や報告書の整理は繰り返しが多い。提案内容の決定は人の判断が残る商談の議事録をまとめる/入力は口頭とメモ/判断は少ない
不動産・物流例外の多さ物件や荷物ごとに条件が違い、例外の内容を先に書く。問い合わせ対応と書類づくりは分けて見る問い合わせを分類する/入力はメール/例外は個別条件

自社の業種の欄を読んで、「最初に見る列」が自社の棚卸表でも実際に判定の分かれ目になっているかを見ます。違っていれば、その違いこそが自社の特徴です。業種の例はあくまで見る順番のヒントで、結論は自社の5列で決めます。

向かない業務と、棚卸しだけで終わる場合

向かない業務は、例外だらけの業務、判断が主の業務、入力が紙のままの業務の3つです。棚卸しの結果として「今はAIを入れない」と分かることも、棚卸しの成果です。

向かない業務理由代わりの一手
例外だらけの業務決まりが作れず、AIの出力を毎回人が直す例外の種類を書き出し、手順を共通にできるかを先に考える
判断が主の業務結論を出すのは人。AIは材料集めまで下書きや情報整理だけを切り出して任せる
入力が紙・口頭のままの業務AIに渡す形になっていない紙をPDFにする、メールの書式をそろえる、を先に行う

入力が紙のままの業務は、PDFにするなど読める形に整えれば試せることがあります。まず現場に、整える手間がどれくらいかを聞いてください。「向かない」は今のままでは向かないという意味で、ずっと向かないという意味ではありません。

棚卸しだけで終わってしまうケースもあります。書き出した業務が数個しかなく、すでにやり方が決まっている場合。AIより前に、そもそもその業務をやめられないかを考えるべき場合。こうした場合は、棚卸表を作った時点で、AI導入以外の手を考えるほうが早く進みます。AIを試したが使えなかった経験がある場合は、AIを試したが使い物にならなかった原因は3つ|導入失敗の立て直し方も合わせて読んでください。

向かないと判定した業務ごとに、「何があれば向くようになるか」を1行で書いておきます。入力を整える、例外を減らす、など自社でできる手が書ければ、業務のやり方が変わって棚卸しをやり直すときの出発点になります。

棚卸しの次の段階|診断・試作・本番化

棚卸しの次は、現場を見てもらう診断か、小さな試作です。棚卸しは自分たちの見立てで、診断はそれを第三者が現場で確かめる段階という違いがあります。

棚卸しから先は、4つの段に分かれます。棚卸しは、自社で業務を書き出して見立てを作る段です。診断は、第三者が現場で見立てを確かめる段です。試作は、小さく試して動くかを確かめる段です。本番化は、実際の業務で使い続ける形にする段で、保守はその後に動かし続けるための手入れを指します。

当社のAI適用診断は、2週間・本番非接続・現場同席で行います。研修・試作・実装のどれで進むかを切り分ける入口です。

項目ライト診断標準診断
料金(税別)15万円30万円
期間2週間2週間
進め方本番非接続・現場同席本番非接続・現場同席
本番化・保守別契約別契約

診断は、試作に進む前に見立てを現場で確かめる場、と考えてください。診断の定義と、分かること・分からないことはAI適用診断とは?30万円を払う前に「分かること・分からないこと」に書きました。診断を自分で進める手順と有料診断の中身はAI業務診断|自社でできる4ステップと有料診断の中身で比べられます。

棚卸しは階段の最初の段。診断・試作・本番化と段を上がって進む

棚卸しから本番化までの階段1段目は自社で行う棚卸し。2段目はAI適用診断で、2週間・本番非接続・現場同席、ライト15万円・標準30万円(税別)。3段目は試作。4段目は本番化と保守で、別契約。① 棚卸し自社で5列を書く② 診断2週間・本番非接続現場同席15万/30万円(税別)③ 試作小さく試して動くかを確かめる④ 本番化・保守別契約

図の内容: 自社の棚卸しから、診断、試作、本番化・保守へ進む階段と、診断の期間・料金。

棚卸しを自分でやるか、診断に任せるかの切り分けは次のとおりです。対象を絞れていて、現場の人が時間を取れるなら、まず自分で5列を書きます。業務が多い、現場の協力が得にくい、書いてみたが判定が割れた行が複数ある。そうした場合は、診断で第三者に見てもらうほうが決めやすくなります。

診断を頼む前に、自社で書いた棚卸表を見せられる状態にしておきます。表があれば、すでに分かったことと、診断で確かめたいことを分けて伝えられます。診断に進む条件を具体的に知りたい場合はAI適用診断の本番接続|必要な4条件と診断報告書の確認点を読んでください。

診断へ渡す表には、見立ての根拠と迷っている点も添えます。「入力は決まった形式だが、訂正が来た場合の扱いが分からない」と書けば、何を現場で確かめたいかが伝わります。詳しい人と担当者の意見が割れているなら、どちらかを消さずに残します。その違いを確かめることも、診断へ進む目的になります。

外部に見せる前は、棚卸表に業務の説明として必要な情報だけが入っているかを確認します。顧客へのメール全文や、個人の連絡先まで貼り付ける必要はありません。書類の中身ではなく、「どの形式で届き、何を見て判断するか」を説明します。具体的な資料を使う場合は、社内の扱い方と共有できる範囲を先に確認してください。

診断の後に何を決めたいかも、相談前に言葉にしておきます。候補業務の優先順位を決めたいのか、入力の整備が先かを確かめたいのかで、聞く内容が変わります。「AIを導入したい」だけで終わらず、棚卸表のどの行で止まっているかを伝えれば、次の作業につながる相談になります。

早見表|棚卸しで迷ったときの答え

迷ったときは、次の早見表で「今どの列を見るか」を決めてください。

迷い見る列最初の一手
何から書けばいいか分からない業務名最近担当した業務を書く
時間が測れない頻度と1回の時間頻度を先に書き、時間は未計測として記録する
紙とメールが混じっている入力の形式混じっていると書く。AI向きと判定せず、前段の整備を先に決める
判断かどうか曖昧判断の有無「基準を言葉にできるか」で分ける。できなければ判断ありとして書く
例外が多いか分からない例外の多さやっている人に「先月、形から外れたのは何回か」を聞く
判定が割れた判定要相談に置き、診断か試作の対象にする

棚卸しを今すぐ始めなくていい会社と、この記事に含まれないこと

次のどれかに当てはまる会社は、この記事の棚卸しを今すぐ始めなくて構いません。

  • すでに自動化する業務が決まっている会社。次は試作の段階で、棚卸しは後からでよい
  • 業務が数個しかなく、AIを入れる候補が自明な会社
  • AIの前に、業務そのものをやめる・減らすことが目的の会社

この記事に含まれないことは次のとおりです。

Summary in English

An AI task inventory is not a process of choosing an industry. It is a way to write down your own work in five columns: task name, frequency and time per run, input format, presence of judgment, and exceptions, and then narrow down the tasks you could hand to AI. This article explains a three-step method: list the tasks, fill in the five columns, and classify each task as suited to AI, needs discussion, or kept with people.

As a rule of thumb from our own design, which is not a measured value, a task is a good first candidate when its input has a fixed format, little judgment is needed, and exceptions are rare. Tasks whose input stays on paper or in conversation, or that are mainly judgment calls, are better kept with people at first. Sometimes an inventory shows that AI is not needed yet, and that is also a useful result.

The Information-technology Promotion Agency, Japan (IPA) describes its DX Promotion Index as a "health check" for digital transformation. It measures a company's overall situation, covers DX in general rather than AI alone, and is not a task-by-task inventory. An inventory alone does not produce results. As a next step, our AI applicability diagnosis runs for two weeks, is not connected to production systems, and includes on-site presence. It costs 150,000 yen (light) or 300,000 yen (standard), excluding tax, and production rollout and maintenance are separate contracts.

まとめ|棚卸しは5列で書き出してから選ぶ

  • 棚卸しは、業種の一覧から選ぶのではなく、自社の業務を5列で書き出して絞る作業
  • 進め方は洗い出す・5列で書く・判定する、の3ステップ。範囲は1人の1週間分か1つの流れから
  • 入力の形が決まり、判断が少なく、例外が少ない業務がAI向き。当社の考え方で、実測値ではない
  • 例外だらけ・判断が主・入力が紙のままの業務は向かない。「今は入れない」と分かるのも成果
  • 棚卸しだけでは成果は出ない。次は診断(当社は2週間・ライト15万円/標準30万円・税別)か試作

次のアクションは、3つのうちどれか1つで構いません。

  • 今日: 自分が最近担当した業務を書き出す
  • 今週: 書き出した業務の5列を埋め、AI向き・要相談・人が残すに分ける
  • 今月: 判定が割れた業務をまとめ、自分で試すか診断に見てもらうかを決める

棚卸し表の判定で迷ったときや、診断に進むか決めかねるときは、無料相談で現場の状況を聞かせてください。

次に読む

更新履歴

  • 2026-10-14: 初版公開。5列の棚卸表、3ステップ、判定基準、向かない業務、棚卸しの次の段階を、IPA公式資料の原文と当社設計に基づいて掲載
  • 次回更新予定: 2026年11月(IPA「DX推進指標のご案内」の更新と、棚卸表の列の見直し)

本記事は2026年10月14日時点のIPA公開情報と当社のサービス設計に基づきます(公開日: 2026年10月14日)。判定基準は当社の考え方であり、実測値ではありません。診断の期間・料金は変更になることがあるため、最新の内容は当社に確認してください。

参考・出典

  • 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)「DX推進指標のご案内」 https://www.ipa.go.jp/digital/dx-suishin/about.html(参照日: 2026年10月14日)
  • 当社のサービス設計: AI適用診断の期間・料金(2026年10月14日時点)

FAQよくある質問

AI業務棚卸しとは何ですか?
AIに任せる業務を選ぶために、自社の業務を「業務名・頻度と時間・入力・判断・例外」の5列で書き出し、候補を絞る作業です。業種の一覧から選ぶのではなく、自社の業務を自分たちの言葉で1行ずつ書くのが出発点です。棚卸しで決まるのは「どの業務を先に試すか」までで、AIを入れた結果の効果までは決まりません。
AIの業務棚卸しは何から始めればよいですか?
自分が最近担当した業務を、紙かスプレッドシートに書き出すところからです。部署全体や会社全体を一度に洗い出そうとすると、途中で止まります。まず自分の業務で5列の書き方に慣れてから、同じ表を同僚に配って範囲を広げます。
AIに任せる業務はどう選べばよいですか?
入力の形が決まっている、判断が少ない、例外が少ない、の3つがそろう業務から選びます。3つのうち1つでも崩れる業務は、AIに任せるか人が残すかを現場の担当者と話し合って決める対象になります。この基準は当社の考え方であり、実測値ではありません。
棚卸しにはどれくらいの期間がかかりますか?
業務の数と範囲で変わるため、一律の日数は言えません。短く終えるコツは、最初に対象を1部署または1つの流れ(受注から請求まで、など)に絞ることです。最初の1回は自分の最近の業務を書き出すところまでなら、今日のうちに始められます。範囲を決めずに全社の業務を洗い出すと、書き出しだけで終わって次に進めなくなります。
棚卸しをAIにやらせることはできますか?
ヒアリングで聞いた内容を5列の表に整える作業は、AIに手伝わせることができます。ただし、どの業務が実際に例外だらけなのかは現場の人が詳しく知っています。AIが整えた表は、必ず現場の人が1行ずつ確かめてください。AIに任せるか人が残すかの最終判断も人が行います。
AIを活用した在庫管理の事例にはどのようなものがありますか?
この記事では個別の事例は扱いません。在庫管理のような繰り返しの業務は、棚卸表では「頻度が高い」「入力がシステムや表に載っている」の列で見ます。ただし、仕入先ごとの例外対応が多い場合は「例外」の列が判定を左右し、AI向きとは限りません。自社の在庫業務を5列で書いてから判断してください。
業種によって棚卸しのやり方は変わりますか?
5列の書き方は業種が変わっても同じです。変わるのは最初に注目する列で、製造は例外、士業は判断、小売は頻度と入力の形式が目安になります。ただし一般論なので、自社の業務を5列で書いて、実際にどの列が判定の分かれ目になるかを確かめてください。
AIで減らせる時間はどう見積もればよいですか?
自社の記録にある「月の回数×1回の時間」から、想定として計算します。他社の削減率を当てはめることはしません。AIが作業した後の確認や修正の時間も、試した後に比べられるよう別に記録します。
棚卸しをすれば、AI導入の成果は出ますか?
棚卸しだけでは成果は出ません。棚卸しは「どの業務から試すか」を決める準備で、成果は試作や本番導入を経て初めて確かめられます。棚卸しの次は、診断で現場を見てもらうか、小さな試作で動きを確かめる段階に進みます。
棚卸しの結果、AIは要らないと分かることもありますか?
あります。書き出した業務が数個しかない、判断が主で例外だらけ、入力が紙のまま、といった場合は、AIより先に業務のやり方を見直したほうが早いことがあります。それを早い段階で知ることも、棚卸しの成果です。

Writerこの記事を書いた人

AI Expert 編集部運営: Orga合同会社

非エンジニアの運営者が、自社の営業(リスト作成・文面・送付・資料・日報)をAIで毎日動かしながら書いています。中小企業のAI適用診断・実務題材型AI研修・プロAI人材のマッチングを提供。

この記事の検証方法: 数字・価格・仕様は一次情報(公式ドキュメント・公式料金ページ)か自社の実測だけを使い、出典に参照日を付けています。公開前に機械検証(verify_post)と、書き手とは別のAIによる事実照合を通しています。

この記事の検証環境: IPA(情報処理推進機構)「DX推進指標のご案内」の原文を2026年10月14日に取得し、本文の引用と照合しました。AI適用診断の期間・料金は当社のサービス設計に基づく記載で、棚卸しの実施実績は載せていません。公開前に、書き手とは別のAIが出典と1つずつ照らし合わせました。