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AI ガイドライン|社内ルールに入れる10項目と作る5ステップ【2026年10月】

「AI ガイドライン」を社内ルールに落とす人向けに、盛り込む10項目、総務省・経産省の事業者ガイドライン第1.2版の使い方、作る5ステップ、小さな会社で省く項目を、検索結果の実測を踏まえて整理します。(2026年10月15日時点)

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AI Expert 編集部運営 Orga合同会社

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AI ガイドライン|社内ルールに入れる10項目と作る5ステップ【2026年10月】

結論: AIガイドラインは、国の指針をそのまま使うのではなく、自社の社員が守る社内ルール10項目に落として使うものです。この記事では、その10項目の中身と、項目ごとの判断のしかた、確かめ方を書きます。

この記事の要点

  • 国の指針と社内ルールは別の文書。総務省・経済産業省の「AI事業者ガイドライン」は第1.2版(2026年3月31日公表)が最新で、社員向けの文面は自社で書く。
  • 社内ルールは10項目で足りる。方針・適用範囲・ツールの3つ、入力データ・個人情報・機密・著作権・出力の確認の5つ、事故対応と見直しの2つ。この3群に分けると漏れにくい。
  • 作る手順は5ステップ。各ステップに担当・成果物・止める基準(=次へ進んでよいかを決める条件)を決めておくと、文書が途中で止まるのを防げる。
  • 小さな会社は最初の版で全項目を厚く書かない。省いてよい項目は早見表で決め、使い始めてから足す。

対象読者は、総務・経営者・DX担当の方です。従業員は数十人から数百人で、情シス(=社内のIT担当)の専任はおらず、社員はすでにAIを使い始めている会社を前提にします。社内ルールの文書を初めて作ろうとして、何を盛り込み、誰とどの順で作るかを決める場面を想定しています。AIを社内で使うこと自体は決めた方向けで、導入の進め方や社内説得はAI 導入 進め方とAI導入の社内説得に任せ、ここでは扱いません。

この記事では、AIの使い方の窓口になる人を「AI担当」と呼びます。総務、DX担当、経営者のうち1人が兼ねる想定です。

今日やることは1つです。この記事の「10項目の全体像」の表を印刷し、すでに社内で決まっている項目に○をつけてください。○が0個でもそれが現状で、○のつかない項目の数が、これから作る文書の分量になります。

AI ガイドラインとは|国の指針と社内ルールの違い

AIガイドラインは、国が事業者全体に向けて出す指針と、自社が社員に向けて出す社内ルールの2層に分かれます。検索で「AI ガイドライン」と調べると両方が混ざって出ますが、会社の中で効くのは社内ルールの方です。

種類誰向けか使い方
国の事業者向け指針(AI事業者ガイドライン)AIを開発・提供・利用する事業者全体自社の論点に漏れが無いか確かめる参考資料
行政職員向けの指針(デジタル庁のガイドブック)政府情報システムに生成AIを入れる行政職員民間は考え方の参考にとどめる
社内ルール(自社の利用ガイドライン)自社の社員日々の業務で守る文書。自社で書く

確かめ方は、手元の文書の中で、誰に向けて呼びかけているかを見ることです。「事業者は」と書かれていれば国の指針、「社員は」と書かれていれば社内ルールです。社員に向けて書かれていない文書を社員に配っても、現場は何をすればよいか分かりません。

参照する公的指針は3つ|総務省・経産省、デジタル庁、個人情報保護委員会

社内ルールを書くときに見る公的な資料は、総務省・経済産業省、デジタル庁、個人情報保護委員会の3つです。それぞれ対象と更新日が違うので、使い所を分けます。

資料公表・更新使い所
総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン」第1.2版2026年3月31日(令和8年)公表。本編・別添・チェックリスト・ワークシートを掲載論点の漏れ確認。自社用の文面は別に書く
デジタル庁「テキスト生成AI利活用におけるリスクへの対策ガイドブック(α版)」初版公開は2024年5月29日、最終更新日は2025年6月6日。今後、別のガイドラインへ統合される予定行政職員向け。リスクの考え方の参考
個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」注意喚起のページが公開されている個人情報を入力する場面の確認先

総務省の掲載ページには、第1.2版と同じ2026年3月31日に「AI事業者ガイドライン活用の手引き(案)」も出ています。案の段階の資料なので、社内ルールの根拠にするより、読み方の補助として使うのが無難です。個人情報保護委員会のページは、本記事では存在を示すにとどめ、中身は同委員会の原文で読んでください。

確かめ方は、使う資料の「更新日」と「呼びかけている相手」を自分で控えることです。デジタル庁のガイドブックは行政職員向けと明記されているため、社内ルールの条文をそのまま写す使い方はしません。

社内ルールに入れる10項目の全体像

入れる項目は10個です。方針と範囲、データと出力、運用と改善の3群に分けると、書く順番と担当が決めやすくなります。⑨のインシデントとは、情報漏れや誤った出力などの事故のことです。

10項目の地図(番号を押すとその項目へ飛びます)

方針と範囲 | 聞くこと: 何のために、誰が、どのツールで使うか

データと出力 | 聞くこと: 何を入れてよく、出てきた物をどう扱うか

運用と改善 | 聞くこと: 事故(インシデント)のとき誰が動き、いつ直すか

国の指針の論点は、この10項目のどこかに置き直せます。置き場が無い論点は、自社に当てはまるか確かめてから追加します。

項目書く内容迷う点確認先
① 方針と目的AIを使う目的と、使う姿勢禁止中心にするか、活用中心にするか経営者
② 適用範囲対象の社員、委託先、業務派遣・業務委託の人を含めるか総務・契約担当
③ 利用可能なツール会社が認めるツールの一覧と申請の窓口個人契約のAIを業務で使ってよいかAI担当・情シス
④ 入力データデータ区分ごとの入力可否区分が細かすぎないか現場の使い手
⑤ 個人情報個人情報を入れてよい条件氏名だけでも入れてよいか個人情報の担当者
⑥ 機密・契約上の情報秘密保持契約の対象や取引先の資料の扱い取引先の契約が優先されるか契約を管理している人
⑦ 著作権出力物を使うときの権利の確認画像・文章をそのまま公開してよいか法務または顧問の専門家
⑧ 出力の確認人が確認する範囲と、確認する人どこまで確認するか現場の責任者
⑨ インシデント対応連絡先、初動の順番、記録誰が止める判断をするか経営者・総務
⑩ 見直し見直しのきっかけと担当誰が改定案を出すかAI担当

個人情報の担当者や法務がいない会社は、総務が代わりに受け持ちます。判断が難しい点だけ、顧問の社労士や弁護士など外部の専門家に聞きます。

確かめ方は、10項目それぞれの「確認先」に、案を一度見せて、直すところを聞くことです。確認先の人が決まっていない項目は、文書より先に担当を決めてください。

項目1〜3|方針・適用範囲・利用可能なツール

最初の3項目は「何のために、誰が、どのツールで使うか」を決める項目で、ここが曖昧だと後ろの項目が決まりません。

① 方針と目的

書く文例は「当社は、業務の質と速さを上げるためにAIを使う。使うときは、データの扱いと出力の確認を社員の責任で行う」のような2〜3文です。禁止から始めると現場は使わなくなり、個人契約のAIに流れやすくなります。迷うのは、使うことを勧める文にするか、許す文にするかです。社員がすでに使っている会社は、勧める文にした方が申告が出やすくなります。確かめ方は、経営者に「社員が使っていると聞いたとき、まず何を言いたいか」を聞くことです。答えが「やめさせたい」なら、方針の前に社内の合意が要ります。

② 適用範囲

書く文例は「本ルールは、正社員、契約社員、パート、アルバイト、および業務委託先で当社の業務を行う者に適用する」です。迷うのは、派遣や業務委託の人を含めるかです。取引先の情報に触れる人は含めておく方が、事故が起きたときの責任の線が引きやすくなります。自社の名簿と契約書の一覧を見て、AIを使うかもしれない人の区分を全部拾って確かめます。

③ 利用可能なツール

書く文例は「業務で使ってよいAIは、会社が契約したものに限る。新しく使いたいときは、AI担当に申請する」です。ここで大事なのは、禁止だけでなく申請の窓口を書くことです。窓口が無いと、現場は黙って個人契約を使います。確かめ方は、現場に「いま、業務で使っているAIサービスを全部教えてください」と聞くことです。回答で出てきたツールを、認める・認めない・条件つきの3つに分けて一覧にします。ツールの比較はこの記事では扱いません。

認めるかどうかを決める審査の観点は、次の4つです。「提供元に聞くこと」はそのままメールで送れる質問文にしてあります。提供元からの回答の控えを、ツール一覧の横に残します。

観点提供元に聞くこと提供元が答えられない・答えない場合の扱い
認証(=ログインの仕組み)会社のアカウントで入れますか。退職者のアカウントを止められますか条件つきにして、個人アカウントでの利用は認めない
ログ(=使った記録)誰がいつ使ったかを、後から確認できますか条件つきにして、入力できるデータ区分を狭める
保存場所入力した内容は、どこに、どれくらいの期間保存されますか個人情報と取引先の秘密情報は入力しない
学習利用入力した内容を学習に使わないことが、契約で決まっていますか公開情報だけを入力できるツールにする

シャドーAI(=会社が把握していないAIの個人利用)は、全社アンケート、経費精算の請求書、現場の聞き取りの3つを重ねて拾います。ルールが根づいたかは、使いたいという申請の件数と、窓口に届く質問の件数で見ます。申請や質問が出始めたら、黙って使う人が減っているサインです。

AIエージェント(=AIが自分で手順を進める仕組み)や、社内文書をAIに読ませる仕組みを使い始めたら、③の一覧に足して審査します。最初の版では、使い始めてから足す形で構いません。社内の共有フォルダに自動でつながる仕組みは、人が入力する場合よりAIが読める範囲が広くなりやすいので、審査が要ります。読ませる文書の範囲を、社員の閲覧権限(=見てよい人の決まり)と同じに揃えられるかを確かめます。

関連: 入力してはいけない情報の整理は中小企業の生成AIセキュリティ、ひな型の入手先はAI利用ガイドライン|作り方5ステップにあります。

項目4〜7|入力データ・個人情報・機密・著作権

データに関する4項目は、「入れてよいか」を、データの区分ごとに事前に決めておくことが核です。迷ったときに社員が自分で判断する状態を減らします。入力してはいけない情報の細部は、中小企業の生成AIセキュリティで詳しく書いています。ここでは、社内ルールのどこに書くかを示します。

データの区分は4つから始め、使われ方を見て増やします。「入力できるか」は、使うツールの契約内容によって変わります。次は書き始めの案で、自社の契約を確かめてから書き換えてください。

データ区分会社が契約したツール(学習利用なしを契約で確認済み)条件つきのツール個人契約・無料のツール
公開情報(自社サイトに載せた内容)入力できる入力できる入力できる
社内限りの情報(社内の会議資料)入力できる責任者の許可があれば入力できる入力しない
個人情報(顧客・従業員の氏名や連絡先)利用目的の範囲内で入力できる入力しない入力しない
取引先の秘密情報(秘密保持契約の対象資料)取引先の契約が許す場合だけ入力できる入力しない入力しない

例外は、表の下に自社で書き足します(例: 氏名だけなら入力してよいか。判断は⑤の担当者に聞きます)。

④ 入力データ

書く文例は「入力できるデータは、別表の区分に従う。区分が分からないときは入力せず、AI担当に聞く」です。迷うのは、学習に使われる設定と、契約で学習に使わないと保証されている状態の違いを、現場がどう見分けるかです。学習に使われるとは、入力した内容がAIの改良に使われ、将来ほかの人の回答に混ざる恐れがある状態のことです。確かめ方は、使うツールの提供元への書面での質問です。「入力した内容は、AIの学習に使われますか」「保存される場合、どれくらいの期間ですか」と聞きます。回答は、ツール一覧の横に貼っておきます。

ここで区別するのは2つです。「オプトアウト」は、利用者が設定で学習をやめる操作で、設定を戻されれば元に戻ります。「契約上の学習停止」は、提供元が契約で学習に使わないと約束している状態です。会社として頼れるのは後者です。また、氏名を消すなどの匿名化をしても、他の情報と組み合わせると誰か分かってしまう場合があります。匿名化したから個人情報ではない、とは書かず、判断は⑤の担当者に回します。

⑤ 個人情報

書く文例は「個人情報は、会社が認めたツールで、利用目的の範囲内に限って入力できる」です。個人情報保護委員会は、生成AIサービスの利用に関する注意喚起のページを公開しています。社内ルールには、法律の中身を写さず、そのページを確認先として書いておく方が、改定に強くなります。迷うのは、氏名だけ、メールアドレスだけ、といった一部の情報を入れてよいかです。この判断は個人情報の担当者か専門家に聞き、結果を表の下の例外メモに書いてください。確かめ方は、社内で個人情報を扱う業務の一覧を作り、AIに触れさせる業務に印をつけることです。

⑥ 機密・契約上の情報

書く文例は「取引先との契約で秘密とされた情報は、その契約で許される場合を除き入力しない」です。社内ルールより、取引先との契約の方が強い場合があります。迷うのは、契約書にAIの扱いが書かれていないときです。書かれていないときは、入力しない扱いにしておくのが安全です。主要な取引先5社ほどの契約書を開き、秘密保持と再委託(=仕事を別の会社に任せること)の条文を読んで確かめます。社内で読める人がいなければ、顧問の専門家に確認を頼みます。

⑦ 著作権

書く文例は「AIの出力を社外に出すときは、既存の著作物に似ていないか、担当者が確認する」です。専門の知識がない担当者にもできる確認は2つあります。似た画像や文章がすでに公開されていないか検索すること、他社の作品名やキャラクター名を指定して作らせないことです。法的な判断はこの記事では行わないので、迷う場合は専門家に聞く、という窓口を書くにとどめます。迷うのは、画像や文章をそのまま公開してよいかです。確かめるには、社外に出す物の一覧(広告、提案書、採用ページなど)を作り、確認者を1人ずつ決めます。

項目8〜10|出力の確認・インシデント・見直し

最後の3項目は、使い始めたあとの運用です。出力は人が確認する、事故のときは誰が止めるかを先に決める、見直しのきっかけを決める、の3点に絞って書きます。

⑧ 出力の確認

書く文例は「AIの出力は、社外に出す前に、担当者が元の資料と照らして確認する。重要な判断には、AIの出力だけを根拠にしない」です。人が確認する範囲を決めます。全部を確認すると運用が止まるので、線を引きます。相手に届く物と、お金や契約に関わる物は必ず確認し、社内メモは対象外にします。確かめ方は、現場で出力を使っている業務を3つ選び、それぞれ誰がいつ確認しているかを聞くことです。

用途ごとの確認の強さは、次の表で決められます。自社の業務名に書き換えて使ってください。責任者とは、その業務を任された部長・店長などです。

用途の例確認する人確認の中身
社内メモ・議事録の下書き利用者本人読み返して誤りを直す
社外向けの文章(お知らせ、提案書、採用ページ)担当者元の資料と数字・固有名詞を照らす。著作権は⑦で確かめる
見積・契約書・請求に関わる文面責任者金額・条件・日付を原本と照らす。AIの出力だけで送らない
(使う場合のみ)AIエージェントが自動で行う作業(メール送信、データ更新など)責任者実行前に人が承認する。最初は読み取りだけ許す

出力は「社外に出るか」「お金・契約に関わるか」の2つで確認の強さを分ける

出力確認の流れAIの出力が社外に出るか、お金や契約に関わるかを順に問い、担当者の確認か責任者の確認かを分ける流れ。どちらでもなければ利用者本人の確認で足りる。 AIの出力が出る お金・契約に関わるか はい 責任者が確認 いいえ 社外に出るか はい 担当者が確認 いいえ 利用者本人が確認

図の内容: AIの出力が、お金・契約に関われば責任者、社外に出れば担当者、どちらでもなければ利用者本人が確認する流れ。

⑨ インシデント対応

書く文例は「入力してはいけない情報を入力した、または出力に問題が見つかったときは、すぐ使用を止め、AI担当に連絡する。AI担当は経営者に報告し、記録を残す」です。順番は、止める、連絡する、記録する、の3つです。気をつけたいのは、報告したら責められる雰囲気になり、事故が隠されることです。方針に「早く申告した人を責めない」と書いておくと、申告が増えます。確かめ方は、実際に1回、模擬の事故で連絡の流れを試すことです。電話番号や連絡先が古いままになっていないかを、同時に確認できます。

初動は、時間の順に次のとおり並べておくと迷いません。

段階やること担当
気づいた直後使用を止める。画面を保存する。入力した内容と時刻をメモする気づいた本人
同じ日のうちAI担当に連絡する。AI担当は経営者に報告する本人・AI担当
状況が分かったらAIサービスの会社(提供元)のサポート窓口に、入力した内容を消せるか問い合わせる。取引先の秘密情報や個人情報が含まれていれば、契約書と⑤の担当者で連絡の要否を決めるAI担当・経営者
落ち着いたら原因と対策を記録し、ルールの文面を直す。⑩の見直しのきっかけに当たるAI担当

違反が見つかったときの扱いは、就業規則と合わせて決めます。ルールの本文に処分まで書くか、就業規則の該当条文を引くだけにするかは、顧問の社労士など専門家に確認してください。最初の版では、早く申告した人を責めない方針を先に置き、処分の細目は後から足す形で構いません。社員に知らせるときは、研修を長く開く必要はありません。10項目の要点を短く説明し、迷ったときの窓口を伝えれば、初回は足ります。

⑩ 見直し

書く文例は「次のときは本ルールを見直す。使うツールの契約や仕様が変わったとき、事故が起きたとき、AI事業者ガイドラインが改定されたとき。これとは別に、年に一度、読み返す日を設ける」です。頻度を固定するより、きっかけを書く方が守られます。見直し担当の名前と読み返す日を共有の予定表に入れておけば、確かめられます。

作る5ステップ|担当・成果物・止める基準

作る手順は5ステップで、各ステップに担当・成果物・止める基準を決めておくと、途中で止まらず完成します。止める基準とは、次のステップへ進んでよいか、やり直すかを決める条件のことです。詳しい進め方はAI利用ガイドライン|作り方5ステップとひな型の入手先にあり、ここでは10項目と結びつけた要約だけを示します。

ステップ担当成果物止める基準
1 目的と担当を決める経営者目的の1文と作成担当者の名前担当者が決まらなければ次へ進まない
2 現場の使い方を集める作成担当者使っているツールと場面の一覧一覧に載らない使い方が見つかったら、集め直す
3 10項目の案を書く作成担当者10項目の文面と、データ区分の表確認先が答えられない項目は空欄のまま残し、次で決める
4 試し運用して直す現場の使い手直した文面と、出た質問の一覧質問が出なくなるまで直す。出続けるなら項目を見直す
5 社員に知らせて見直し日を決める総務配布した文書と、見直し日の予定全員が読んだ記録が取れなければ、知らせ直す

ステップ4の試し運用は、例えば部署ごとに数人の使い手へ実際の業務で使ってもらい、迷った箇所を集める形にします。

確かめ方は、ステップごとに「成果物が手元にあるか」を見ることです。成果物が無いのに次へ進んでいたら、止める基準に当たっています。

週で区切る目安は、1週目にステップ1と2、2週目にステップ3、3週目にステップ4、4週目にステップ5です。小さな会社は、2週目と3週目を1週にまとめても進みます。週が延びても、止める基準を飛ばさないことが優先です。

5ステップは4週間で進める。小さな会社は2週目と3週目を1週にまとめてもよい

社内ルールを作る4週間の流れ社内ルールを作る5ステップを4週間に割り振った図。1週目にステップ1と2、2週目にステップ3、3週目にステップ4、4週目にステップ5。 進める順番は左から右 1週目 2週目 3週目 4週目 1 目的と担当を決める2 現場の使い方を集める 3 10項目の案を書く 4 試し運用して直す 5 社員に知らせて見直し日を決める 週が延びても、止める基準は飛ばさない

図の内容: 5ステップを4週間に割り振った流れ。1週目にステップ1と2、2週目にステップ3、3週目にステップ4、4週目にステップ5を進める。

雛形の枠|そのまま貼れる文面

文書の枠は、10項目をそのまま見出しにした全社版です。空欄を埋めるだけで最初の版が作れるように、記入欄を残しています。

質問テンプレ(メール文面)
AI利用ガイドライン(全社版)
制定日: ____年__月__日  担当: ____  最終承認: ____

1. 方針と目的
   当社は、____のためにAIを使う。使うときは、データの扱いと出力の確認を社員の責任で行う。
2. 適用範囲
   対象: ____(正社員・契約社員・パート・業務委託先 など)
3. 利用可能なツール
   会社が認めたツール: ____(別表1) 申請窓口: ____
4. 入力データ
   区分と入力可否は別表2のとおり。区分が分からないときは入力せず、____に聞く。
5. 個人情報
   会社が認めたツールで、利用目的の範囲内に限り入力できる。確認先: ____
6. 機密・契約上の情報
   取引先との契約で秘密とされた情報は、契約が許す場合を除き入力しない。
7. 著作権
   AIの出力を社外に出すときは、____が確認する。
8. 出力の確認
   お金・契約に関わる物は____、社外に出る物は____が確認する。
9. インシデント対応
   止める → ____に連絡する → 記録を残す。連絡先: ____
10. 見直し
   きっかけ: ツールの変更/事故/AI事業者ガイドラインの改定。読み返す日: ____

別表1: ツール一覧(認める・条件つき・認めないの3区分)
別表2: データ区分の表(区分ごとの入力可否と例外)

規模や部門で差し替える箇所は3つあります。1つ目は⑧の確認者で、少人数の会社は役職ではなく名前で書きます。2つ目は③の申請窓口で、情シスがいない会社はAI担当(総務やDX担当が兼ねる)にします。3つ目は④の別表2で、部門ごとに扱うデータが違う場合は、部門別の表に分けます。確かめ方は、枠を埋めたあと、現場の1人に読んでもらい、迷った箇所に線を引いてもらうことです。

早見表|最初の版で書く項目と後回しにする項目

小さな会社の最初の版は、10項目を同じ厚さで書かず、まず短く書いて使い始める方が早く動けます。後回しにしてよい項目は、次のとおりです。

項目最初の版理由と後で足すタイミング
① 方針と目的書く(2〜3文)長く書いても読まれない。後で足す必要は薄い
② 適用範囲後回しにする①の文に「全社員と業務委託先」と一言入れれば足りる。派遣や委託先が増えたら独立した項目にする
③ 利用可能なツール書く窓口が無いと個人契約が増える。省かない
④ 入力データ書く入れてはいけない情報を入力する事故につながる項目。区分は少なく始める。個人情報と取引先の秘密情報は「入力しない」と書く
⑤ 個人情報後回しにする④で「入力しない」と決めた間だけ。入力を認めると決めたら、その時点で書く
⑥ 機密・契約上の情報後回しにする④で「入力しない」と決めた間だけ。取引先の資料を入力すると決めたら、契約を読んでから書く
⑦ 著作権後回しにする社外に出す物にAIの出力を使い始めたら書く。それまでは⑧の確認で足りる
⑧ 出力の確認書く確認者の名前を決めておく
⑨ インシデント対応書く連絡先だけでも先に決める
⑩ 見直し書く(きっかけだけ)読み返す日は予定表に入れる

確かめ方は、「書く」と決めた項目の確認先が全員決まっているかを見ることです。決まっていない項目は、後回しにする項目に入れ替えるか、担当を先に決めます。

社内ルールと現場のずれは、AI適用診断で確かめる|発注側が頼める3条件

社内ルールは、紙の文面と現場の実際の使い方がずれていると、効きません。AI適用診断(=AIをどの業務に入れるかを調べる入口の調査)を頼むときは、このずれを見てもらうことを条件にできます。

当社には、AIガイドラインの策定を支援した実績がまだありません(0件)。そのため、ここで書くのは支援の経験談ではありません。当社のAI適用診断の設計を、社内ルールの確認に置き換えた観点です。診断の設計は、2週間で行うこと、本番システム(=実際に業務で動いている社内の仕組み)には接続しないこと、現場に同席すること、研修・試作・実装のどれで進むかを切り分けることです。診断の中身と費用はAI適用診断とは?にあります。ここでは費用を書きません。

ルールと現場を突き合わせると、「書いてあるのに守られない」と「守っているのに書いていない」が見つかる

ルールと現場の突き合わせ社内ルールの文面と現場の実際の使い方を並べて、ずれを2種類に分ける図。書いてあるのに守られていない物と、守られているのに書いていない物。 紙の社内ルール 現場の実際の使い方 突き合わせる 書いてあるのに守られていない 守っているのに書いていない

図の内容: 紙の社内ルールと現場の実際の使い方を突き合わせ、書いてあるのに守られていない物と、守っているのに書いていない物の2種類を見つける図。

発注側が要求してよい条件は3つです。①本番システムに触らず、現場の画面を見ながら確認すること。②見つけたずれを、10項目のどこに当たるかで報告してもらうこと。③ルールの改定案を決めるのは自社だと、書いてもらうこと。確かめ方は、診断の見積に「現場の使い方の確認」が含まれるかを書面で聞くことです。

失敗しやすい4パターンと確かめ方

社内ルールが動かない原因は、長すぎる、禁止だけで代わりが無い、担当が決まっていない、更新されない、の4つです。配ったあとに現場の聞き取りを入れることで、4つとも早く見つかります。

パターン起きること確かめ方
長すぎて読まれない社員が読まず、独自の判断で使う社員3人に、読まずに内容を聞く。答えられなければ短くする
禁止だけで代わりの使い方が無い個人契約のAIに流れる「禁止した業務を、いまどうしているか」を聞く
担当が決まっていない質問の窓口が無く、放置される質問の窓口の名前を、社員が言えるか聞く
更新されないツールが変わっても文書が古いまま文書の更新日と、見直し担当の名前を見る

確かめ方は、ルールを配って終わりにせず、配ったあとに現場の聞き取りを1回入れることです。聞き取りで出た質問は、文面を直す材料になります。

今すぐ作らなくていい会社と、この記事に含まれないこと

社内ルールを今すぐ作らなくてよい会社もあります。条件に当てはまるなら、先に別のことをして構いません。

  • 社員が業務でAIをまったく使っておらず、使う予定も決まっていない会社
  • AIの利用が個人の私用だけで、会社の情報や取引先の資料に触れない会社
  • 経営者1人で、社員も委託先もいない会社(自分用のメモで足ります)
  • すでに取引先から利用条件を指定されていて、その条件に沿って運用できている会社

この記事に含まれないことと、行き先は次のとおりです。

法的な助言、個別の契約書の審査、ツールの比較、導入費用は、この記事の範囲外です。

Summary in English

An AI guideline means two different documents. One is the national guideline for businesses, the "AI Guidelines for Business" from Japan's Ministry of Internal Affairs and Communications and the Ministry of Economy, Trade and Industry; version 1.2 was published on March 31, 2026, with a main text, annexes, a checklist and a worksheet. The other is an in-house rulebook that tells employees how to use AI at work. A company should not copy the national guideline as its rules; it should use it to check for gaps, then write its own.

This article proposes ten items for the rulebook: purpose, scope, approved tools, input data, personal information, confidential information, copyright, output review, incident response and review. It gives five steps to build it, each with an owner, a deliverable and a stopping rule. The Digital Agency's handbook is written for government staff, and the Personal Information Protection Commission publishes a notice on generative AI services; both are reference points only.

Small companies can write the first version short: six items are enough to start, and the rest can wait. The author, a Japanese consultancy, has supported zero AI guideline projects so far. This is not legal advice.

まとめ|10項目は「書く」より「決める」

  • 国の指針と社内ルールは別の文書。国の指針で漏れを確かめ、社員向けの文面は自社で書く。
  • 社内ルールは10項目。方針と範囲の3つ、データと出力の5つ、運用と改善の2つに分ける。
  • 入力データは区分ごとに事前に決める。契約が書かれていない情報は入力しない扱いにする。
  • 出力は、お金・契約に関わる物は責任者、社外に出る物は担当者が確認する。
  • 作る手順は5ステップ。担当・成果物・止める基準を各ステップに置く。
  • 小さな会社は短く始め、使い方を見ながら足す。

次のアクションは、3つのうちどれか1つで構いません。

  • 今日: 10項目の表を印刷し、すでに決まっている項目に○をつける
  • 今週: 現場に「いま業務で使っているAIサービス」を聞き、ツールの一覧を作る
  • 今月: 雛形の枠を埋めて最初の版を作り、現場の1人に読んでもらう

紙のルールと現場の使い方のずれまで見たいときは、無料相談で状況を聞かせてください。

次に読む

更新履歴

  • 2026-10-15: 初版公開。AI事業者ガイドライン第1.2版(2026年3月31日公表)の掲載内容を反映
  • 次回更新予定: 2027年1月(AI事業者ガイドラインの改定の有無、デジタル庁ガイドブックの統合状況を再確認)

本記事は2026年10月15日時点の公的資料の公開内容に基づきます(公開日: 2026年10月15日)。法的な判断や個別の契約の扱いは、各省庁の公式資料か専門家で確認してください。

参考・出典

FAQよくある質問

AIガイドラインとは何ですか?
AIガイドラインには2種類あります。1つは総務省・経済産業省が策定した「AI事業者ガイドライン」のように、事業者全体に向けた国の指針です。もう1つは、自社の社員がAIをどう使うかを決める社内ルールです。会社が実際に運用するのは後者で、国の指針は作るときの参考資料として使います。
総務省のAIガイドラインは社内ルールとして使えますか?
そのまま社内ルールにはできません。総務省の掲載ページにある「AI事業者ガイドライン」は事業者全体に向けた指針で、社員が日々の業務で守る文書ではないからです。本編や別添のチェックリスト・ワークシートを読み、自社に当てはまる論点を拾って、社員向けの10項目ほどの文書に書き直して使います。
経済産業省のAIガイドラインは、中小企業も対象ですか?
AI事業者ガイドラインは総務省・経済産業省が策定した事業者向けの指針で、AIを開発する会社だけでなく、業務で使う会社も読む前提の資料です。中小企業も参考にできますが、すべてを満たす義務の一覧ではありません。まずは自社が使う場面に関係する部分を拾い、社内ルールに反映します。
生成AIガイドラインのサンプルは、どこで手に入りますか?
総務省の掲載ページには、AI事業者ガイドライン第1.2版の本編・別添・チェックリスト・ワークシートが載っています。社員向けの文面は、方針、適用範囲、ツール、入力データ、個人情報、機密、著作権、出力の確認、事故対応、見直しの10見出しの枠に、自社の担当者名とツール名を入れて作れます。サンプルをそのまま貼らず、自社のツールとデータに合わせて書き換えてください。
デジタル庁の生成AIガイドブックは、民間企業の社内ルールに使えますか?
参考にはなりますが、そのまま使う文書ではありません。デジタル庁の「テキスト生成AI利活用におけるリスクへの対策ガイドブック(α版)」は、政府情報システムへの生成AI導入に関わる行政職員向けと明記されています。内容は今後、別のガイドラインへ統合される予定とされているため、最新の公開ページも確かめてください。
自治体の生成AIガイドラインは、企業の参考になりますか?
考え方の参考にはなりますが、中身は行政の業務を前提に書かれています。住民情報の扱いや公文書の作成など、民間企業には当てはまらない部分が多いはずです。使うときは、自社のデータ区分や取引先との契約に置き換えられる論点だけを拾い、項目の漏れを確かめる補助資料として読むのが安全です。
社内ルールには最低限どの項目を入れればよいですか?
最初の版は、方針、使ってよいツール、入力してよいデータ、出力を人が確認する範囲、事故が起きたときの連絡先、見直しの時期の6つがあれば動き出せます。適用範囲、個人情報、機密、著作権の4つは、入力データの項目で個人情報と取引先の秘密情報を入力しないと決めておけば、最初の版では後回しにできます。入力を認めると決めた時点で、その4つを足してください。
学習に使われない設定にすれば、機密情報を入力してもよいですか?
設定だけでは足りません。利用者が設定で学習を止める「オプトアウト」は、設定を戻されれば元に戻ります。会社として頼れるのは、提供元が契約で学習に使わないと約束している状態です。そのうえで取引先の契約が許す範囲かを確かめ、匿名化しても他の情報と組み合わせると誰か分かる場合があるため、個人情報の担当者に判断を回します。
社内ルールに違反したときの扱いは、ルール本文に書きますか?
最初の版では、早く申告した人を責めない方針を本文に置き、処分の細目は就業規則の該当条文を引く形で足ります。処分まで本文に書くかどうかは、顧問の社労士など専門家に確認して決めてください。
社内ルールを作ったあと、どれくらいの頻度で見直しますか?
頻度は決まっていません。固定の周期より、見直すきっかけを先に決めるのが実用的です。使うツールの契約や仕様が変わったとき、事故やヒヤリハットが起きたとき、AI事業者ガイドラインに改定があったときの3つをきっかけにし、それとは別に年に一度は読み返す日を予定表に入れておくと続きます。
AIの社内ルールは、誰が作ればよいですか?
担当者は1人に決め、現場の使い手と、契約や個人情報に詳しい人に確認を頼む形が進めやすいです。情シスの専任がいない会社では、総務かDX担当が文書をまとめ、経営者が最終の判断をします。全員の合意を取ってから書き始めると進まないので、案を先に書いて意見をもらいます。

Writerこの記事を書いた人

AI Expert 編集部運営: Orga合同会社

非エンジニアの運営者が、自社の営業(リスト作成・文面・送付・資料・日報)をAIで毎日動かしながら書いています。中小企業のAI適用診断・実務題材型AI研修・プロAI人材のマッチングを提供。

この記事の検証方法: 数字・価格・仕様は一次情報(公式ドキュメント・公式料金ページ)か自社の実測だけを使い、出典に参照日を付けています。公開前に機械検証(verify_post)と、書き手とは別のAIによる事実照合を通しています。

この記事の検証環境: AI事業者ガイドライン第1.2版の掲載内容(版数・公表日・資料の種類)は総務省の掲載ページ、デジタル庁のガイドブックの対象と更新日は同庁の公開ページ、個人情報保護委員会の注意喚起ページの存在は同委員会の公開ページで、いずれも2026年10月15日に確認しました。検索結果の状況は同日に当社が実測しています。公開前に、書き手とは別のAIが出典と本文を1つずつ照らし合わせました。