請求書の電子化|AI活用の4ステップと電帳法の注意点【2026年8月】

結論: 請求書の電子化は、単に紙をPDFに変える話ではなく、発行・送付・受領・保存の4つの工程を電子帳簿保存法(=電子的に記録した帳簿や書類の保存ルールを定めた法律)の要件に沿って組み替える作業です。AI-OCR(=AIで画像や文書から文字を読み取る技術)を組み込むと、保存要件の一部を自動で満たせるようになります。この記事では、電帳法との関係、メリット・デメリット、送付方法、AIを使った進め方4ステップの順に書きます。
この記事の要点
- 請求書の電子化には「発行側(PDF等で送る)」と「受領側(電子データのまま保存する)」の2つがある。義務がかかるのは受領側の保存方法だけ
- 電子取引データ保存は2024年(令和6年)1月から必須。2023年12月31日までのプリントアウト保存の経過措置は終わっている
- AI-OCRは請求書画像から日付・取引先・金額を読み取り、保存要件のうち検索性に関わる部分を自動で満たす助けになる。仕訳計上の自動化までは別記事の範囲
- 進め方は「方法を決める→現状確認→取引先周知→仕組みを組み込む」の4ステップ。AIの役割はこの4ステップ目に集中する
この記事は、紙の請求書の発行・受領を電子化したい中小企業の経理担当・バックオフィス管理者に向けて書いています。電子化そのものはやる方向で考えている方を想定しています。電帳法対応が2024年1月から必須になったことはご存じの前提で、「何から着手すればよいか」「AIでどこまで楽になるか」に絞って書きます。受領後の仕訳計上まで含めた自動化の技術解説は扱いません。経理担当が一人で電子化を任されている会社も、複数人でシステム選定から進める会社もあります。どちらの体制でも、最初に着手すべき順番は同じです。
今日やることは1つです。「AIで請求書電子化を進める4ステップ」のリストで、自社がどのステップから着手すべきかを1つ決めてください。方法を決める段階で止まっている会社は少なくありません。
請求書の電子化とは|発行側の電子化と受領側の電子化は別物
請求書の電子化には「発行側」と「受領側」の2種類があり、義務の重さがまったく違います。この違いを最初に分けて考えないと、システム選びの基準がぶれます。
- 発行側の電子化: 自社が取引先に送る請求書を、紙の郵送からPDFなどの電子データに変える取り組みです。法律上の義務はなく、業務効率化のための選択です
- 受領側の電子化(電子取引データ保存): 取引先から電子データで受け取った請求書を、電子データのまま保存要件に従って保存することです。こちらは2024年1月から法律上の義務になっています
紙の請求書を受け取ってスキャンして保存する場合は、電子取引データ保存ではなく「スキャナ保存」という別の制度の対象になります。この場合は要件も異なります。たとえば、取引先からメールで届いたPDFの請求書をそのまま保存している会社は、すでに受領側の電子化を一部進めていることになります。ただし、保存の仕方が要件を満たしているかどうかは別の問題です。この記事では、受領後の仕訳計上までの自動化は扱いません。仕訳計上を含む会計処理の自動化は仕訳AI自動化|3つの導入パターンと電帳法対応の注意点で扱っています。
確かめ方は、自社が今困っているのが「送る側」か「受け取る側」かを、経理担当に1問だけ聞くことです。「うちが送る請求書」と「取引先から届く請求書」のどちらで手間がかかっているかを聞けば、着手すべき側がすぐに分かります。
発行側と受領側は、義務の有無が違う別の取り組み
図の内容: 発行側(自社が請求書を電子データにして送る)は任意、受領側(取引先から届いた電子データを保存要件に従って保存する)は2024年1月から法律上の義務。
電子帳簿保存法との関係|2024年1月から必須になった電子取引データ保存
受領側の電子化に義務がかかる根拠は、電子帳簿保存法7条です。この条文は、電子取引を行った所得税・法人税の保存義務者(=請求書などを保存する義務がある事業者。基本的に自社が該当します)に対し、一定の要件のもとで取引情報の電磁的記録を保存することを求めています。ここでいう「電子取引」には、注文書・契約書・送り状・領収書・見積書などに通常記載される事項をやり取りする取引が含まれます。方式はEDI取引(=企業間で決まった形式のデータをやり取りする仕組み)・インターネット取引・メール添付・Webサイト経由などの電磁的方式です(国税庁「電子帳簿保存法の概要」)。請求書のメール添付やWebダウンロードは、この電子取引にそのまま当てはまります。
タイムラインとして重要なのは、2023年12月31日までの経過措置が終わっている点です。それまでは、保存すべき電子データをプリントアウトして保存することが認められていました。2024年(令和6年)からは、保存要件に従って電子データのまま保存することが必要になりました(国税庁「電子取引関係」)。
保存要件は大きく「真実性の確保」と「可視性の確保」の2つに分かれます。
| 区分 | 求められること | 満たし方の例 | 対象 |
|---|---|---|---|
| 真実性の確保 | データが改ざんされていないことを確保する | タイムスタンプの付与/訂正・削除の履歴が残るシステムの利用/改ざん防止のための事務処理規程を備え付けて運用する、のいずれか | 受領した電子取引データすべて |
| 可視性の確保 | 必要なときにすぐ内容を確認できる状態にする | パソコン・プログラムの概要書・操作説明書などを備え付け、画面や書面にすぐ出力できるようにする | 受領した電子取引データすべて |
| 可視性の確保(検索機能) | 取引年月日・取引金額・取引先で検索できるようにする | 表計算ソフトで索引簿を作る、またはファイル名に規則的に日付・金額・取引先を入れる、専用システムを使うなどの方法で確保する | 受領した電子取引データすべて |
| 猶予措置(要件を満たせない相当の理由がある場合) | 要件を満たせなくても、一定の条件で保存が認められる | 税務署長が相当の理由があると認め、かつ税務調査などの際に電子データのダウンロードの求めや、整然明瞭な形で出力した書面の提示の求めに応じられる場合に適用される | 保存要件を完全には満たせていない事業者 |
令和5年12月31日で廃止された宥恕措置に代わる措置として、2024年1月から猶予措置が設けられています(国税庁「令和5年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しの概要」)。要件を完全には満たせていない場合でも、保存要件を満たせないと判断する前に、まずこの猶予措置の対象になるかを確認する価値があります。
保存すべき電子取引データの扱いは、2024年1月から変わった
図の内容: 2023年12月31日まではプリントアウトして紙で保存する経過措置が認められていたが、2024年1月からは真実性の確保・可視性の確保の要件を満たして電子データのまま保存することが必須になった。
見分け方は、自社が現在、届いたメール添付の請求書PDFをどう保存しているかを確認することです。「担当者のメールボックスに残したまま」「一度紙に出して保存」の運用が残っていれば、保存要件のいずれかを満たせていない可能性があります。
請求書を電子化するメリット・デメリット
請求書の電子化は、発行側と受領側でメリット・デメリットの中身が異なります。両方をそろえて比べると、社内説明がしやすくなります。
| 立場 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 発行側 | 郵送費・印刷代が減る。発行から到着までの日数が短くなる。発行状況を一覧で管理しやすくなる | 取引先ごとに電子化への対応可否が異なり、当面は紙と電子の両方の運用が残ることがある。システム導入の初期費用がかかる |
| 受領側 | 紙のファイリング作業が減る。検索要件を満たしていれば、過去の請求書を素早く探せる | 保存要件を満たすシステムの導入・運用ルールの整備が必要。担当者が新しい操作に慣れるまで時間がかかる |
目安になるのは、自社の月間の請求書の発行件数・受領件数をそれぞれ数えることです。件数が少なければメリットは限定的です。件数が多いほど、電子化の効果は大きくなります。
業種によって、電子化の効き所は変わります。卸売業や製造業は仕入先からの請求書の受領件数が多い業種です。受領側の保存要件への対応が先に効いてきます。建設業は元請けと下請けの間で請求書と見積書のやり取りが多くなります。取引先ごとに電子化対応状況のばらつきが出やすくなります。不動産業はテナントや管理会社向けの発行件数が多くなります。発行側の電子化から着手すると効果が出やすくなります。士業(税理士・社労士事務所など)は、顧問先から請求書・領収書を預かり保存を代行する場面があります。この場合、受領側の保存要件を自社と顧問先の双方で満たす必要があります。自社の業種でどちらの効き所が大きいかは、月間の発行件数と受領件数を数えれば見えてきます。
電子化した請求書の送付方法3パターン
発行側の電子化を進める場合、請求書の送付方法は主に3パターンに分かれます。どれか1つに絞る必要はなく、取引先ごとに使い分けている会社もあります。
| 方法 | 特徴 | 向いている取引先 |
|---|---|---|
| メール添付 | 導入コストが低く、すぐ始められる。PDFを手作業で添付して送るため、件数が多いと作業負担が増える | 取引先数が少なく、月間の発行件数がそれほど多くない会社 |
| チャットツール | メールより開封率が高くなりやすい。ただしチャットツール側に請求書管理の機能がないことが多く、別途保存の仕組みが必要 | 取引先とすでにチャットツールでやり取りしている場合 |
| 請求書発行システム | 作成・送付・保存要件の対応までシステム内で完結しやすい。デジタルインボイス(後述)に対応した製品もある | 取引先数・発行件数が多く、業務全体を効率化したい会社 |
見極め方は、直近1か月に発行した請求書の送付方法を担当者に洗い出してもらうことです。メール添付が中心であれば、まずは請求書発行システムへの一本化を検討する価値があります。
AIで請求書電子化を進める4ステップ
請求書電子化の進め方は、方法を決める→現状の授受方法を確認する→取引先に周知する→AI-OCRで読み取り・保存要件を満たす仕組みを組み込む、の4ステップです。従来の進め方と大きく変わるのは4ステップ目で、AI-OCRを組み込むことで読み取りと保存要件の充足を自動化できます。
- 方法を決める: 発行側・受領側のどちらから着手するかを決めます。請求書発行システムを新しく導入するか、既存の会計ソフトの機能を使うかもここで決めます
- 現状の授受方法を確認する: 取引先ごとに、紙・メール・チャットツールのどれで請求書をやり取りしているかを一覧にします
- 取引先に周知する: 電子化の開始時期と方法を、取引先へ個別に知らせます。周知の文面には、開始日・送付方法・紙を希望する場合の窓口の3点を必ず入れます。日付だけを伝えて代替手段を用意しないと、対応できない取引先からの問い合わせが開始日に集中し、現場が混乱します
- AI-OCRで読み取り・保存要件を満たす仕組みを組み込む: 受け取った請求書画像やPDFから日付・取引先・金額をAI-OCRで読み取ります。読み取った情報は、検索要件を満たす索引簿やファイル名に反映する形で保存します
3の取引先周知は、日付だけ伝えて終わらせず、開始日・送付方法・紙を希望する場合の窓口の3点を1通に入れると、問い合わせの集中を防げます。以下はそのまま書き換えて使えるひな形です。
件名: 請求書の電子化開始のご案内
平素よりお世話になっております。[自社名]の[担当者名]です。
[開始日]発行分より、請求書の送付方法を紙から電子データ(PDF)に切り替えます。
・開始日: [YYYY年M月D日]発行分から
・送付方法: [メール添付/請求書発行システム経由]でお送りします
・紙での郵送をご希望の場合: [窓口担当者名・連絡先]までご連絡ください
ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。4ステップのうち、AIが役割を持つのは4番目だけ
図の内容: 方法を決める→現状確認→取引先に周知→AI-OCRで読み取り・保存要件を満たす仕組みを組み込む、の4ステップ。AIが役割を持つのは4番目だけで、1〜3は人が決める準備段階。
確かめ方は、この4ステップのうち自社がどこで止まっているかを、経理担当と一緒に洗い出すことです。1の「方法を決める」段階で止まっている会社は少なくなく、4のAI-OCRの話に進む前に、まず1〜3を片づける必要があります。
AI-OCR・デジタルインボイスでできること・まだできないこと
請求書電子化の技術的な選択肢として、AI-OCRとデジタルインボイスの2つがよく挙がりますが、役割が異なります。
AI-OCRは、請求書の画像やPDFから日付・取引先名・金額などの文字情報を読み取る技術です。読み取った情報をもとに、検索要件で求められる「取引年月日・取引金額・取引先」での検索を可能にする索引作りを自動化できます。具体的には、届いたメール添付のPDFやスキャンした紙の請求書を、AI-OCRに読み込ませます。AI-OCRは請求書の中から取引年月日・取引金額・取引先を自動で拾い出します。拾い出した情報は、検索要件を満たす索引簿やファイル名に反映されます。読み取り精度は書式によって差が出るため、運用の初期は人がサンプルを確認する工程を挟むと安全です。読み取った文字が正しいかどうかの最終確認や、仕訳計上への反映は、AI-OCR単体では完結しません。仕訳計上まで含めた自動化は仕訳AI自動化|3つの導入パターンと電帳法対応の注意点で扱っています。
デジタルインボイスは、AI-OCRとは別の仕組みです。国際標準仕様「Peppol(ペポル)」をベースにした日本のデジタルインボイス標準仕様が「JP PINT」です。デジタル庁がその管理を行っています。デジタル庁はOpenPeppol(=Peppol規格を運営する国際団体)のメンバーです。日本におけるPeppolの運営窓口であるJapan Peppol Authorityとしても活動しています(デジタル庁「デジタルインボイス(Peppol e-invoice)」)。デジタルインボイスは、請求書を画像として送ってAIに読み取らせる仕組みではありません。構造化されたデータ(=人が読み取らなくてもシステムがそのまま処理できる形式のデータ)として、最初からシステム間でやり取りする仕組みです。対応システム同士であれば、読み取りの手間そのものが発生しません。
| 項目 | AI-OCR | デジタルインボイス(JP PINT) |
|---|---|---|
| 何をするか | 紙・画像・PDFの請求書から文字情報を読み取る | 構造化データとして請求書情報をシステム間で直接やり取りする |
| 向いている場面 | 取引先からすでに紙・画像・PDFで届いている請求書を電子化したい場合 | 発行側・受領側の双方がデジタルインボイス対応システムを導入している場合 |
| まだできないこと・条件 | 読み取り結果の正確性は完全ではなく、確認の仕組みが必要 | 取引先側もJP PINT対応システムを導入していないと効果が出ない |
判断材料になるのは、主要な取引先がデジタルインボイス対応システムを導入済みかどうかを確認することです。対応が進んでいなければ、当面はAI-OCRで届いた請求書を読み取る形が現実的な選択になります。
自社の請求書フォーマットに合わせてどこまで自動化できるかを個別に検証したい場合は、AI適用診断で分かること・分からないことで診断の範囲を確認できます。
請求書発行システムの選び方|6つの視点
発行側の電子化を進める際、請求書発行システムを選ぶ視点は次の6つです。
| 視点 | 確認すること |
|---|---|
| 電帳法対応 | 電子取引データ保存の要件(真実性の確保・可視性の確保)を満たす形で保存できるか |
| デジタルインボイス対応 | JP PINTに対応しているか。取引先との将来的な連携を見据える場合に確認する |
| 既存システムとの連携性 | 現在使っている会計ソフト・販売管理システムとデータ連携できるか |
| セキュリティ | 通信・保存データの暗号化、アクセス権限の管理機能があるか |
| 郵送対応 | 電子化に対応できない取引先向けに、紙での郵送を代行してくれる機能があるか |
| 法改正対応 | 制度変更があった際に、システム側が自動でアップデートされるか |
確認の手順は、候補システムの資料請求時にこの6項目を1つずつ質問することです。回答が具体的な機能名で返ってくるか、抽象的な説明で終わるかで、システムの成熟度がある程度分かります。6視点はそのまま比較表としても使えます。候補を複数並べて同じ質問をぶつけると、回答の具体性の差で各社の対応力が見えてきます。
システム選びでは、次のような失敗がよくあります。
- ❌ 電帳法対応の有無だけで即決する → ⭕ 検索要件・真実性の確保をどう満たすか、具体的な方法まで確認する
- ❌ 自社の締め日・請求フォーマットを伝えずに見積を取る → ⭕ 実際の請求書フォーマットを渡し、対応可否を確認してから契約する
- ❌ 取引先の電子化対応状況を確認せずに全社一斉切り替えを決める → ⭕ 対応できる取引先から段階的に進める
- ❌ 移行期間中の紙と電子の二重運用を想定していない → ⭕ 移行期間の運用ルールを先に決めておく
電子化を進める際の注意点
電子化を進める際は、次の3点に気をつけます。
- 取引先の合意を先に取る: 一方的に電子化を進めると、取引先側の受け取り体制が整っておらず、かえって確認の手間が増えることがあります
- セキュリティ対策を組み込む: 請求書には取引金額や取引先名などの機密情報が含まれます。通信の暗号化やアクセス権限の管理を、導入時に確認します
- 社内の運用ルールを整備する: 誰が、いつ、どの請求書を確認・保存するかを決めておかないと、保存要件を満たしていても実務が回りません
3点のうち、社内の運用ルール整備は後回しにされがちです。ただし、担当者が決まっていないままシステムだけ導入すると、保存要件を満たしていても実際には使われない状態になりやすくなります。着手前にやっておきたいのは、この3点それぞれについて「誰が担当するか」を1人ずつ決めておくことです。担当者が決まっていない項目は、電子化後にトラブルが起きやすい箇所です。
請求書の電子化を今すぐしなくていい会社と、この記事に含まれないこと
次の条件に当てはまる会社は、請求書電子化の優先順位を下げても大きな問題は起きにくいです。
- 月間の請求書発行・受領件数がごく少数で、紙のファイリングで十分に管理できている
- 主要な取引先の大半が紙での運用を強く希望しており、電子化しても紙の運用が並行して残る見込みが高い
- すでに会計ソフトや請求書発行システムを導入済みで、電子取引データ保存の要件を満たせている
この記事には、次の内容は含まれません。
- AI-OCR・ルールベース・機械学習で仕訳計上まで自動化する技術解説、受領後の会計処理側の電帳法要件 → 仕訳AI自動化|3つの導入パターンと電帳法対応の注意点
- 税理士事務所側が記帳代行・申告準備にAIをどう使うかの解説 → 税理士事務所のAI活用【2026年版】月次業務の効き所と安全な始め方
- 特定の請求書発行システムの製品比較・料金プランの一覧
Summary in English
This article explains how small and mid-sized companies in Japan can digitize invoices while complying with the Electronic Books Preservation Act (電子帳簿保存法). It draws a clear line between issuing invoices as electronic data (optional) and receiving invoices as electronic data (mandatory storage under Article 7 since January 2024). Japan’s transitional measure, which allowed printing out electronic transaction data for paper storage, ended on December 31, 2023; storage now requires meeting two conditions — authenticity (ensuring data has not been altered, via timestamps, a revision-history system, or internal handling rules) and visibility (keeping equipment to view the data and making it searchable by transaction date, amount, and counterparty). The article covers three ways to send electronic invoices (email attachment, chat tools, or a dedicated invoicing system), a four-step process for digitizing invoices with AI, and the distinction between AI-OCR (reading text from scanned or PDF invoices) and Digital Invoicing under the Peppol-based JP PINT standard, which Japan’s Digital Agency manages as an OpenPeppol member (Japan Peppol Authority). AI-OCR helps automate the search-requirement portion of storage but does not by itself complete journal-entry automation, which is covered in a separate article. A six-point checklist (compliance, digital invoicing support, integration, security, postal-mail support, and responsiveness to legal changes) helps buyers evaluate invoicing systems. The article recommends companies with very few invoices, or trading partners who strongly prefer paper, deprioritize digitization for now.
まとめ|請求書電子化は4ステップと電帳法の2点で進める
請求書電子化の要点を整理します。
- 発行側の電子化は任意、受領側の電子化(電子取引データ保存)は2024年1月から法律上の義務。まずどちらの立場で困っているかを分ける
- 保存要件は「真実性の確保」と「可視性の確保」の2本柱。検索要件(取引年月日・取引金額・取引先)は索引簿やファイル名の工夫でも満たせる
- 発行側・受領側それぞれのメリット・デメリットを踏まえ、送付方法はメール添付・チャットツール・請求書発行システムの3パターンから選ぶ
- 進め方は「方法を決める→現状確認→取引先周知→AI-OCRで読み取り・保存要件を満たす仕組みを組み込む」の4ステップ。AIが役立つのは主に4ステップ目
- AI-OCRとデジタルインボイス(JP PINT)は別の仕組み。取引先の対応状況によって現実的な選択肢が変わる
- システム選びは電帳法対応・デジタルインボイス対応・連携性・セキュリティ・郵送対応・法改正対応の6視点で比べる
次のアクションは、3つのうちどれか1つで構いません。
- 今日: 「AIで請求書電子化を進める4ステップ」のリストで、自社が止まっているステップを1つ特定する
- 今週: 取引先ごとの請求書の授受方法を一覧にする
- 今月: 候補の請求書発行システムに、選び方6視点をそのまま質問として送る
自社の請求書フォーマットに合わせてAI-OCRがどこまで使えるかを個別に確かめたい場合は、無料相談でそのまま相談できます。
次に読む
- 受領後の仕訳計上まで自動化したい → 仕訳AI自動化|3つの導入パターンと電帳法対応の注意点
- 税理士事務所側のAI活用を知りたい → 税理士事務所のAI活用【2026年版】月次業務の効き所と安全な始め方
- 自社のフォーマットでAI-OCRがどこまで使えるか確かめたい → AI適用診断で分かること・分からないこと
更新履歴
- 2026-08-31: 初版公開。電子帳簿保存法の経過措置終了と保存要件、デジタルインボイス(JP PINT)の位置付けを国税庁・デジタル庁の公式資料から反映
- 次回更新予定: 2026年10月(国税庁・デジタル庁の資料更新の有無を再確認します)
本記事は2026年8月31日時点の国税庁・デジタル庁の公開資料に基づきます(公開日: 2026年8月31日)。電子帳簿保存法の要件は改正されることがあるため、最新の要件は国税庁の公式ページでご確認ください。
参考・出典
- 国税庁「電子取引関係」 https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/01.htm(参照日: 2026年8月31日)
- 国税庁「電子帳簿保存法の概要」 https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/02.htm(参照日: 2026年8月31日)
- 国税庁「令和5年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しの概要」 https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0023003-082.pdf(参照日: 2026年8月31日)
- デジタル庁「デジタルインボイス(Peppol e-invoice)」 https://www.digital.go.jp/policies/electronic_invoice(参照日: 2026年8月31日)
よくある質問
- 請求書の電子化が義務化されるのはいつからですか?
- 発行側が請求書を電子化すること自体に義務はありません。義務があるのは受領側の保存方法で、2024年(令和6年)1月から、電子データで受け取った取引情報は保存要件に従って電子データのまま保存することが必須になりました。2023年12月31日までは、保存すべき電子データを紙にプリントアウトして保存する経過措置が認められていましたが、この経過措置は終わっています。
- 請求書を電子化するにはどうすればいいですか?
- 発行側は請求書をPDFなどの電子データで作成して送る形に変え、受領側は電子データのまま保存要件を満たして保存する形に変えます。進め方は、方法を決める→現状の授受方法を確認する→取引先に周知する→保存要件を満たす仕組みを組み込む、の4ステップが基本です。AI-OCR(=AIで画像や文書から文字を読み取る技術)を組み込むと、読み取りと保存要件の一部を自動化できます。
- 請求書をPDF化したら原本扱いになりますか?
- もとから電子データで受け取った請求書(メール添付のPDFなど)は、電子データそのものが原本で、電子取引データ保存の対象です。紙で受け取った請求書を後からスキャンしてPDF化した場合は、電子帳簿保存法のスキャナ保存という別の制度の対象になり、要件も異なります。この記事はスキャナ保存後の会計処理までは扱っていません。
- 請求書を電子化できるソフトは?
- 請求書発行システムや会計ソフトに組み込まれた請求書電子化機能、AI-OCR機能を搭載したクラウドサービスなどが該当します。選ぶときは電帳法対応・デジタルインボイス対応・既存システムとの連携性・セキュリティ・郵送対応・法改正対応の6視点で比べると、候補を絞り込みやすくなります。具体的な製品名は本記事では挙げていないため、候補選びの段階では複数社の資料を取り寄せて比較してください。
- 請求書の電子化は法律で何が定められていますか?
- 主に関わる法律は電子帳簿保存法です。電子帳簿保存法7条は、電子取引を行った保存義務者に対し、一定の要件のもとで取引情報の電磁的記録を保存することを義務付けています。注文書・契約書・送り状・領収書・見積書などをEDI取引・インターネット取引・メール添付・Webサイト経由でやり取りする取引が、この「電子取引」に含まれます。
- 請求書を電子化すると受け取る側の対応はどう変わりますか?
- 受け取る請求書が紙からメール添付やWebダウンロードなどの電子データに変わるため、受領側は電子取引データ保存の要件に従って保存する対応が必要になります。紙に出力して保存する運用は、2024年1月以降は原則として認められません。保存要件を満たすシステムの導入か、社内の運用ルール整備のどちらか、または両方で対応します。
- 取引先が請求書電子化を拒否したらどうすればいいですか?
- 取引先の事情(システムの都合、紙の方が管理しやすいなど)で電子化に応じてもらえない場合は、無理に一斉切り替えをせず、紙と電子の両方の授受方法を一定期間並行して用意するのが現実的です。電子化を進める側は、取引先ごとに授受方法を確認し、優先順位をつけて個別に周知していく進め方になります。
- 請求書の電子化にデメリットはありますか?
- 発行側は初期のシステム導入費用や、取引先への周知・調整の手間がかかります。受領側は、保存要件を満たすシステムの導入コストや、社内の運用ルール整備、担当者の操作の習熟が必要になります。取引先の中に電子化に対応できない相手がいる場合、紙と電子の運用が並行して残り、かえって業務が複雑になることもあります。
- 請求書の電子化に電子印鑑は必要ですか?
- 電子帳簿保存法の保存要件に、押印は含まれていません(国税庁「電子取引関係」)。電子印鑑(=印影の画像データを請求書のPDF上に貼り付ける機能)の有無とは別に、真実性の確保・可視性の確保の要件を満たして電子取引データを保存します。


