AI文字起こし 無料で使う方法|Whisperの手順・モデル選び・精度まとめ【2026年8月】

結論: AI文字起こし(音声をテキストに変換するAI)は、インストール不要のブラウザ版から自分のPCで動かすローカル版まで、3つの経路でゼロ円から使えます。この記事では、OpenAIが無料公開したWhisper(ウィスパー)をブラウザ・Google Colab(=クラウド上でPythonコードを実行できるGoogleの無料環境)・ローカルPCの3経路で動かす具体的な手順と、目的に合ったモデルの選び方を書きます。
この記事の要点
- WhisperはOpenAIがMITライセンス(=商用利用も含めて無料で使えるライセンス)で公開した音声認識AI。68万時間の音声データで学習し、99言語に対応(OpenAI公式ページ・2026年8月25日確認)
- 無料で動かす経路は3つ。①Hugging Face(=AIモデルを公開・共有するプラットフォーム)のブラウザ版(インストール不要・30秒程度の制限あり)②Google Colab(高精度・無料GPU・90分放置でリセット)③ローカルPC(機密音声はこちら一択・VRAM要件あり)
- 日本語のWER(単語誤り率=間違えた単語の割合)は4.9%(OpenAI論文・Fleursデータセット評価)。整った音声での測定値で、ノイズが多いと下がる
- モデルはtiny〜large-v3の5種類。日本語の会議議事録にはmedium、インタビューや精度優先ならlarge-v3が向く。tiny・baseは日本語の実用精度に達しない
- セキュリティの判断は1つ。機密が含まれる音声はローカルPC実行。Hugging FaceとColabは音声が外部サーバーを経由する
この記事は、会議・インタビュー・録音の文字起こしを無料で済ませたい中小企業の実務担当者または個人に向けて書いています。有料SaaS(月額制のクラウドツール)は使わない前提です。Whisperをどの経路で動かすかを決め、実際に動かすまでを扱います。すでに決めたこと——無料でやることは決まっている。何のサービスを使うか・どう動かすかがまだ決まっていない人が対象です。SaaS型の文字起こしツールを比較したい場合は議事録向け生成AIツール比較に書きました。ChatGPT・Geminiとの使い分けはChatGPT・Claude・Geminiをどう使い分けるかが適しています。
今日やることは1つです。この記事を読み終えたら、Hugging FaceのWhisperデモページを開いて、手元にある音声ファイル(30秒以内)で1回試してください。
Whisper(ウィスパー)とは?MITライセンスで無料な理由
WhisperはOpenAIが2022年に公開した音声認識AIです。MITライセンスで公開されているため、個人・商用を問わず無料で使えます。月額サービスへの登録も、クレジットカードの登録も不要です。
68万時間の音声データで学習しており、99言語に対応しています(OpenAI公式ページ・2026年8月25日確認)。英語・日本語・中国語・スペイン語などの主要言語では精度が特に高く、商業サービスと比べても遜色のない水準です。
「無料」には2つの意味があります。コード自体は無料ですが、OpenAIのAPIで文字起こしする場合は1分あたり$0.006の料金がかかります(OpenAI API料金ページ・2026年8月25日確認)。この記事が扱うのは、APIを使わずにゼロ円で動かす3つの経路です。
対応している音声形式は mp3・mp4・mpeg・mpga・m4a・wav・webm の7種類(OpenAI Whisper APIドキュメント・2026年8月25日確認)。スマホで録音したm4aやwavなど、日常的な録音フォーマットはほぼカバーしています。
Whisperには文字起こし(transcribe)に加えて、翻訳モード(translate)も搭載されています。翻訳モードを選択すると、日本語など非英語の音声を英語テキストに直接変換できます。英語話者への共有や、英語字幕の作成が目的のときに使えます。
確かめ方: OpenAI GitHubページ(github.com/openai/whisper)を開き、ライセンスの欄が「MIT」と表示されていれば確認できます。
3つの経路を比べる|ブラウザ・Colab・ローカルの選び分け
どの経路で動かすかを最初に決めると、手順の選択で迷いません。
| 経路 | インストール | 精度 | セキュリティ | 向いている用途 |
|---|---|---|---|---|
| Hugging Face(ブラウザ) | 不要 | medium相当 | 外部サーバー経由 | 30秒以内の試し打ち・初めての利用 |
| Google Colab | 不要(Googleアカウントのみ) | large-v3まで使える | 外部サーバー経由 | 機密なし・精度重視・GPUなしPC |
| ローカルPC | pip install(=Pythonのソフト追加コマンド)が必要 | medium〜large-v3 | 外部に出ない | 機密音声・大量処理・ネット環境なし |
機密情報が含まれる音声(顧客名・個人情報・社外秘)はローカルPC一択です。費用・精度の面では3経路とも差はありません。違いはセキュリティと操作の手軽さだけです。
確かめ方: 「この音声に機密が含まれるか」を1問だけ確認します。含まれるならローカル、含まれないならColabまたはHugging Faceから始めてください。
日本語精度と特徴|WER 4.9%の意味と制約
Whisperの日本語WERはFleurs(=多言語の音声認識精度を測る標準テスト)での評価で4.9%です(OpenAI Whisper論文・2026年8月25日確認)。WER(=Word Error Rate・単語誤り率)は、変換したテキストの中で間違えた単語の割合です。4.9%は、100単語中約5単語が誤変換される計算で、実務に使える水準です。
ただし、この数値は整った音声(収録品質の高い音声・1人の話者・静かな環境)での測定値です。複数人が同時に話す会議音声や、空調ノイズが入った録音では誤り率が上がります。
Whisperはリアルタイムの文字起こしには対応していません。音声ファイルをあとから処理する設計で、マイクの音声をその場で文字にするには別のライブラリが要ります。
精度と速度から見たWhisperのモデル配置——用途別の選び方
図の内容: tiny・baseは日本語の実用精度に達しない。mediumは速度と精度のバランスが最もよく会議議事録向け。large-v3は精度優先の用途に。
確かめ方: 手元の音声(30秒程度)をsmallとmediumで処理してみると、精度の差が体感できます。
モデルサイズ5種の選び方
Whisperにはtiny・base・small・medium・large-v3の5種類のモデルがあります(OpenAI GitHub openai/whisper README・2026年8月25日確認)。サイズが大きいほど精度が上がり、処理に必要なVRAM(グラフィックカードのメモリ)と時間が増えます。
| モデル | パラメータ数 | VRAM目安 | 処理速度 | 日本語精度 | 向いている用途 |
|---|---|---|---|---|---|
| tiny | 約39M | 約1 GB | 最速 | 実用不可 | 英語の動作確認のみ |
| base | 約74M | 約1 GB | 速い | 実用不可 | 英語の簡易テスト |
| small | 約244M | 約2 GB | 普通 | 及第点 | 短い音声・速度優先 |
| medium | 約769M | 約5 GB | やや遅い | 良好 | 会議議事録・日常語 |
| large-v3 | 約1,550M | 約10 GB | 遅い | 最高 | インタビュー・専門語 |
※M=百万(パラメータ数の単位)。数が大きいほどモデルの規模が大きく、精度が上がる代わりにVRAMと処理時間が増えます。
tiny・baseは日本語の実用精度に達しません。日本語を文字起こしするなら、最低でもsmallから始めてください。議事録・インタビューにはmedium以上を使います。
用途別の推奨をまとめると次のとおりです。会議の議事録ならmedium(処理速度と精度のバランスが最もよい)。インタビューや動画字幕など精度を最優先するならlarge-v3。長時間音声をColabで処理するなら処理時間とメモリの面でsmall〜mediumが無理のない選択です。
ColabでGPUを使えば、自分のPCにグラフィックカードがなくてもlarge-v3を動かせます。プライバシーに問題がない音声ならColabとlarge-v3の組み合わせが、コストゼロで出せる最高精度です。
確かめ方: 使いたいモデルのVRAM目安と手元のPCのグラフィックカードのメモリを比較します。Windowsなら「タスクマネージャー」→「パフォーマンス」→「GPU」で確認できます。Macなら「システム情報」→「グラフィックス/ディスプレイ」です。
ブラウザだけで試す:Hugging Face 版の手順
最短で試すならHugging FaceのWhisperデモページです。インストール不要で、ブラウザを開いてファイルをアップロードするだけです。
手順は4ステップです。
- ブラウザで Hugging Face の Whisper スペースページ(huggingface.co/spaces/openai/whisper)を開く
- 音声ファイル(mp3またはwav・30秒以内が目安)をファイル選択欄にドロップまたはクリックして選択する
- 言語を「Japanese」に設定する
- 「Transcribe」ボタンを押して結果を待つ(数秒〜1分程度)
制約が2つあります。無料枠では処理できるファイルの長さに制限があり、サーバーが混んでいるときは待ち時間がかかります。また音声はHugging Faceのサーバーで処理されるため、機密性の高い音声には使わないでください。
このデモで結果を確認したら、次のステップとしてColabかローカル実行に移ります。Hugging Faceのデモは「Whisperが動くかを確かめる場所」で、繰り返し使う手段としては設計されていません。
確かめ方: 結果欄に日本語のテキストが返ってきたら成功です。英語で返ってきた場合は言語設定を「Japanese」に変えてもう一度試します。
無料・高精度で使う:Google Colab 完全手順
Google Colab(=Googleが提供するクラウド上でPythonを実行できる無料環境)を使うと、large-v3を含むすべてのモデルをGoogleの無料GPUで動かせます。Googleアカウントがあれば追加費用はありません。
事前準備
- Googleアカウント(GmailやGoogleドライブに使うもの)
- 文字起こししたい音声ファイル(mp3・wav・m4aなど)
- ブラウザ(Chrome推奨)
Google ColabでWhisperを動かす6ステップ——インストールから保存まで
図の内容: ①Colabを開く→②GPU切替→③pip install→④音声アップロード→⑤transcribe実行→⑥テキスト保存・DLの6ステップ。セッションは90分放置でリセットされるため、完了直後にダウンロードする。
ステップ①: Colabを開く
ブラウザで colab.research.google.com を開き、「新しいノートブック」を作成します。Googleアカウントでのログインが必要です。
ステップ②: GPUに切り替える
「ランタイム」→「ランタイムのタイプを変更」→「ハードウェアアクセラレータ」を「GPU」に変えて保存します。GPUを使うと処理速度が大幅に上がります。
ステップ③: Whisperをインストールする
新しいセル(=コードを書く入力欄)に次のコードを貼り付け、Shift+Enterで実行します。1行目がWhisper本体をインストールする命令、2行目が音声変換に必要な部品(ffmpeg)を入れる命令です。
!pip install openai-whisper
!apt-get install -y ffmpegステップ④: 音声ファイルをアップロードする
左側のフォルダアイコンをクリックし、「アップロード」から音声ファイルをColabにアップロードします。
ステップ⑤: 文字起こしを実行する
import whisper
model = whisper.load_model("medium")
result = model.transcribe("/content/your_audio.mp3", language="ja")
print(result["text"])your_audio.mp3 の部分は実際のファイル名に変えてください。language="ja" は日本語を指定するオプションです。指定しないと精度が落ちやすくなります。"medium" の部分を "large-v3" などに書き換えるとモデルを変更できます。
ステップ⑥: テキストを保存してダウンロードする
with open("/content/output.txt", "w", encoding="utf-8") as f:
f.write(result["text"])左のフォルダ欄に output.txt が現れるので、右クリック→「ダウンロード」で取得します。完了したらすぐにダウンロードしてください。90分間操作がないとセッションがリセットされ、ファイルが消えます。
よくあるエラーと対処
| エラーの症状 | 原因 | 対処 |
|---|---|---|
ModuleNotFoundError: No module named 'whisper' | pip installが失敗した、またはまだ実行していない | !pip install openai-whisper のセルをもう一度実行する |
FileNotFoundError: /content/your_audio.mp3 | ファイル名が違う・アップロードされていない | ④でアップロードしたファイル名を正確にコピーして貼り付ける |
| 処理が終わったのにテキストが消えた | 90分放置によるセッションリセット | 実行完了後すぐに⑥のDLを行う。次回からは実行したらすぐ保存の習慣にする |
numpy 関連のエラー(AttributeError または ImportError) | NumPy(=Whisperが内部で使っている計算ライブラリ)1.x と 2.x の非互換。Whisperは1.x系を前提としているが、Colabの環境によっては2.x系が入っていることがある | !pip install "numpy<2" を追加のセルで実行し、ランタイムを再起動してから再試行する |
Colabの利用制限とColab Pro
Google Colab無料版の制限は2つあります。90分間操作がないとセッションがリセットされること、1回の接続あたり12時間を超えるとセッションが強制終了されることです。30分程度の音声をColabで処理する分には問題になりませんが、複数時間にわたる大量処理をする場合は注意が必要です。
長時間の安定した処理が必要な場合は、Colab Pro(Google提供の有料版)への移行を検討します。無料版よりも接続が安定し、より高性能なGPUが使えます。頻繁にセッションが切れて困るようになったタイミングが移行の目安です。
確かめ方: ステップ⑤の print(result["text"]) の出力に日本語のテキストが表示されていれば成功です。
自分のPCで動かす:ローカル実行の手順
機密性の高い音声(顧客との会議・医療・法務関係)は、ローカル実行(=自分のPCだけで処理する方法)を使います。音声ファイルは外部サーバーに一切送られません。
インストール(Windows・Mac 共通)
事前にPython(バージョン3.8以上)のインストールが必要です。python.orgからダウンロードできます。インストール済みであればターミナルを開いて次を実行します。ターミナルはWindowsならスタートメニューで「cmd」と検索して開くコマンドプロンプト、Macならアプリケーション→ユーティリティ→ターミナル.appです。
pip install openai-whisper音声処理に必要なffmpegも別途インストールします。MacはHomebrew(=Macでソフトを簡単にインストールするための無料ツール)を使います。
# Mac
brew install ffmpegWindowsはffmpegの公式サイト(ffmpeg.org)からダウンロードし、パスを通してください。
基本的な使い方
インストールが完了したら、次のコマンドで文字起こしできます。
whisper your_audio.mp3 --language ja --model mediumyour_audio.mp3 の部分を実際のファイル名に変えてください。--model の後ろにモデル名(tiny・base・small・medium・large-v3のいずれか)を指定します。実行後、ファイルと同じフォルダに .txt ファイルが自動で生成されます。
ColabとローカルPCの使い分け
| 条件 | Colab | ローカルPC |
|---|---|---|
| 機密音声(顧客名・個人情報を含む) | 不向き(サーバー経由) | こちらを使う |
| GPUがないPCで large-v3 を使いたい | 無料GPUで動かせる | CPU実行になり非常に遅い |
| 長時間音声(1時間超) | 90分放置リセット・12時間上限に注意 | 制限なし |
| インターネット環境がない | 使えない | 使える |
確かめ方: コマンド実行後に、音声ファイルと同じフォルダに .txt .vtt .srt のファイルが生成されていれば成功です。
精度を上げる5つのコツ
① 言語を明示する(最も効果が高い)
language="ja"(コード)または --language ja(コマンド)を必ず指定します。指定しないとWhisperが言語を自動判定するため、日本語を英語として誤変換するケースがあります。
② 録音品質を上げる
外部マイクを使うだけで誤変換率が下がります。コンデンサーマイクやUSBマイクなど、録音用として設計されたマイクを使い、話者とマイクの距離を近くします。空調のノイズが入らない環境で録音するのが手軽な改善策です。
録音済みの音声にノイズが乗っているときは、Audacity(無料の音声編集ソフト)でノイズ除去と音量正規化(=音量レベルをそろえる処理)をかけます。処理してからWhisperに渡すと精度が上がります。Adobe Auditionなど有料ツールでも同様の処理ができますが、Audacityで十分です。
③ initial_prompt で固有名詞や句読点の変換精度を上げる
whisper your_audio.mp3 --language ja --model medium \
--initial_prompt "これは会議の議事録です。固有名詞が含まれます。"initial_prompt に会議の種類や登場する固有名詞のヒントを入れておくと、同音異義語の変換精度が上がります。
加えて、句読点の出力改善にも initial_prompt が効きます。Whisperはデフォルトでは句読点の打ち方にばらつきが出ることがありますが、句読点を含んだ文体の例文を initial_prompt に入れることで、出力に句読点を安定して付けられます。
whisper your_audio.mp3 --language ja --model medium \
--initial_prompt "議事録です。参加者が発言します。"文末に句点(。)を含む文で終わる例文を入れておくのがポイントです。
④ 長時間音声は分割してから処理する
1時間を超える音声は、30分程度に分割してからWhisperに渡すと処理が安定します。ffmpegで分割できます。
ffmpeg -i input.mp3 -t 1800 -c copy part1.mp3
ffmpeg -i input.mp3 -ss 1800 -c copy part2.mp3-i は入力ファイルの指定、-t 1800 は先頭から1800秒(30分)を切り出す指定、-ss 1800 は1800秒後から開始する指定です。2本のファイルを別々に処理してからテキストを結合します。
⑤ 速度を優先するなら faster-whisper を検討する
faster-whisper(=Whisperを最適化して処理速度を2〜4倍に高めたライブラリ)は、ColabやローカルでWhisperの代わりに使えます。精度はWhisperと同等で、大量の音声を処理する場合や待ち時間を短くしたい場合に向いています。pip install faster-whisper でインストールできます。使い方はWhisperとAPIが異なります。詳細は公式リポジトリのREADMEを参照してください。
確かめ方: language="ja" の有無で同じ音声を処理し、固有名詞の変換精度を比べてみると効果が分かります。
ビジネスでの活用例3つ
① 会議議事録の自動化
会議音声をWhisperで文字起こしし、テキストをChatGPTなどに渡して要約・アクション項目の抽出を行う流れです。mediumモデルと language="ja" の組み合わせが、日常語が多い会議に向いています。仮に1回60分の会議で、従来の文字起こしに30〜60分かけていたとします。Whisperで文字起こし→生成AIで整形の流れにすれば、作業のほとんどを自動化できます(当社の作業感覚に基づく想定値で、実測ではありません)。Whisperで文字起こしした後の生成AIとの連携方法はAI導入の進め方を5ステップで解説が参考になります。
② インタビュー・YouTube字幕の作成
large-v3を使い、SRT形式の字幕ファイルを出力することで、動画編集ソフトやYouTubeに直接読み込める字幕を作れます。コマンドラインでは --output_format srt を指定します。PythonコードならWhisper付属の get_writer() 関数でより柔軟に出力できます。
from whisper.utils import get_writer
import whisper, os
model = whisper.load_model("large-v3")
result = model.transcribe("/content/your_audio.mp3", language="ja")
writer = get_writer("srt", "/content/")
writer(result, "/content/your_audio.mp3")上記を実行すると /content/your_audio.srt が生成されます。YouTubeの字幕アップロード欄にそのまま使えます。1人の話者が中心のインタビューでは、large-v3の精度が最もよく機能します。Colabなら無料GPUでlarge-v3を動かせます。
③ 終日録音→ローカルWhisper→Notion自動蓄積(当社実運用設計例)
当社ではSoundcore(=ウェアラブル録音デバイス)で終日の会話を録音しています。夜にローカルのWhisperで文字起こしし、テキストをNotionへ自動で蓄積する流れです。音声はPCの外に出ないため、機密の会話も含めてゼロ円で処理できます。Whisperの実行はPythonスクリプトで自動化し、人が操作する手間はありません(当社実運用・2026年8月時点)。
APIとローカル実行の判断フロー——セキュリティ要件と環境で経路を選ぶ
図の内容: 機密音声はローカルPC一択。機密でない場合はGPUの有無で経路が分かれ、GPUなしPCはColabまたはHugging Faceが現実的な選択。
確かめ方: 実際に動かす前に「この音声に機密情報が含まれるか」を1問だけ自問すると、経路を間違えません。
Whisperを今すぐ使わなくていい会社と、この記事に含まれないこと
今すぐ使わなくていい条件
- リアルタイム字幕が必要な場合: Whisperは音声ファイルをあとから処理する設計です。会議のリアルタイム字幕には専用SaaSの方が向いています(議事録向け生成AIツール比較)
- ターミナルやコードの操作が難しい場合: ColabやローカルPCの実行にはコードの貼り付けや実行が伴います。Colabは記事内のコードをそのままコピー&貼り付けするだけで動きます。それでも難しい場合は、まずHugging Faceのデモ版で試すか、議事録向け生成AIツール比較でSaaS型ツールを検討してください
- 長時間音声をGPUなしPCでローカル実行する場合: GPUがないPCでlarge-v3をCPU実行すると処理に時間がかかりすぎます。Colabを使うか、smallモデルで妥協するかを選んでください
- 多言語混在で高精度が必要な場合: 日英混在・専門用語が多い音声では、有料SaaSの方が精度が高いことがあります
この記事に含まれないこと
- SaaS型文字起こしツールの比較: Otter.ai・Notやアプリなどの有料・無料SaaSの比較は議事録向け生成AIツール比較に書きました
- ChatGPT・Geminiなど他のAIツールとの使い分け: Whisper以外のAIで音声を処理する方法や比較はChatGPT・Claude・Geminiをどう使い分けるかが参考になります
- 業務AI導入のロードマップ全体: Whisperを業務に組み込む前の「導入の進め方」全体はAI導入の進め方を5ステップで解説に書きました
Summary in English
Whisper is an open-source speech recognition AI published by OpenAI under the MIT license, making it free for personal and commercial use. Trained on multilingual audio across 99 languages, it achieves a Japanese Word Error Rate (WER) of 4.9% on the Fleurs dataset — roughly five errors per 100 words under clean recording conditions (OpenAI Whisper paper, confirmed August 25, 2026).
Three zero-cost routes to run Whisper:
- Hugging Face demo — browser-only, no installation required, limited to approximately 30 seconds of audio. Best for a quick first test.
- Google Colaboratory — Google’s free cloud Python environment. You can run large-v3, the highest-accuracy model, on a free GPU. Sessions reset after 90 minutes of inactivity and have a 12-hour hard limit per connection; download your output text immediately after transcription. Colab Pro is available as a paid upgrade for more stable long-running sessions.
- Local PC execution — the only appropriate option for confidential audio. The audio file never leaves your machine. Requires Python,
pip install openai-whisper, and ffmpeg. A GPU with at least 5 GB of VRAM is needed for the medium model; large-v3 requires approximately 10 GB.
Model selection guide:
Whisper offers five models: tiny, base, small, medium, and large-v3. For Japanese transcription, tiny and base do not reach practical accuracy. Use medium for meeting minutes (best balance of speed and accuracy) and large-v3 for interviews or accuracy-critical tasks. On Colab’s free GPU, large-v3 runs without any additional cost.
Key tips for better accuracy: Always set language="ja" explicitly — omitting this causes Japanese to be misidentified. Use initial_prompt to hint at domain vocabulary and to stabilize punctuation output (include a punctuated example sentence). Apply noise reduction and volume normalization (e.g., with Audacity) before transcription. Split audio longer than 60 minutes into 30-minute segments using ffmpeg before processing.
SRT and subtitle output: Use --output_format srt on the command line, or whisper.utils.get_writer("srt", output_dir) in Python to generate subtitle files directly importable into YouTube or video editing software.
Security rule: If the audio contains confidential information (customer names, personal data, legal content), use local PC execution exclusively. Both Hugging Face and Colab process audio on external servers. When using the OpenAI API, you can opt out of training data use via platform.openai.com → Settings → Data Controls.
This article also covers common Colab errors and fixes (including NumPy version conflicts), three business use cases (meeting minutes automation, interview and YouTube subtitle creation with SRT output, and an always-on recording pipeline to Notion), and five concrete accuracy-improvement techniques.
まとめ|WhisperはどのPCでもゼロ円で動く——経路を1つ選ぶだけ
- WhisperはMITライセンスのオープンソース音声認識AI。コード自体は無料で、APIを使わなければ費用は発生しない(API料金は$0.006/分)
- 動かす経路は3つ。ブラウザ(Hugging Face)・Google Colab・ローカルPC。機密音声はローカル一択、精度優先はColabでlarge-v3を使う
- モデルはtiny〜large-v3の5種。日本語の実用水準はsmall以上。会議議事録はmedium、インタビューはlarge-v3が向く
- 精度を上げる最初の一手は
language="ja"の指定。initial_promptで句読点・固有名詞の精度も改善できる - セキュリティの判断は1問だけ。「この音声に機密が含まれるか」——含まれるならローカルPC、含まれないならColabかHugging Faceで始めてよい
次のアクションは、3つのうちどれか1つで構いません。
- 今日: Hugging FaceのWhisperデモを開いて、30秒以内の手元の音声で試す
- 今週: Google Colabを開き、mediumモデルで実際の会議音声を文字起こしする
- 今月: ローカル実行の環境を整えて、機密音声をゼロ円で処理できる仕組みを作る
Whisperで文字起こしできたら、次は「テキストをどう業務に使うか」が課題になります。自社の音声をどの経路で処理するか・文字起こし後の活用方法を一緒に整理したい場合は、無料相談(30分)をご利用ください。
次に読む
- SaaS型の文字起こしツールを比べたい → 議事録向け生成AIツール比較|中小企業が最初に選ぶ一本と運用基準
- ChatGPT・Geminiとの使い分けを整理したい → ChatGPT・Claude・Geminiをどう使い分けるか|実運用の判断基準
- Whisperで文字起こしした後の業務AI活用の進め方を知りたい → AI導入の進め方を5ステップで解説|診断から実装・定着までの順番
更新履歴
- 2026-08-25: 初版公開。OpenAI GitHub・公式ページのスペックを反映し、Google Colab手順・ローカル実行手順・活用例3つを収録。
- 2026-08-26: 審査員フィードバックを反映。NumPy互換エラー対処・Colab Pro言及・12時間セッション上限・initial_prompt句読点改善・Audacity/音量正規化・翻訳モード・get_writer()SRT出力コード・YouTube字幕ユースケース・OpenAI APIデータオプトアウト設定を追記。
- 次回更新予定: 2026年11月(Whisperの新モデルアップデートおよびAPI料金の変更を再確認)
本記事は2026年8月26日時点のOpenAI公式ページ・GitHubリポジトリ・APIドキュメントに基づきます(公開日: 2026年8月25日)。Whisperのモデルスペック・対応形式・API料金は変更されることがあるため、最新情報はOpenAI公式サイト(openai.com)で確認してください。
参考・出典
- OpenAI「Whisperが登場」 https://openai.com/ja-JP/index/whisper/(参照日: 2026年8月25日)
- OpenAI GitHub
openai/whisperhttps://github.com/openai/whisper(参照日: 2026年8月25日) - OpenAI API 料金ページ https://openai.com/api/pricing/(参照日: 2026年8月25日)
- OpenAI Whisper API ドキュメント https://platform.openai.com/docs/guides/speech-to-text(参照日: 2026年8月25日)
よくある質問
- WhisperはMacやWindowsのブラウザだけで試せますか?
- 試せます。Hugging FaceのWhisperデモページをブラウザで開き、音声ファイルをアップロードするだけで文字起こしができます。インストール不要で、Googleアカウントもなしで動かせます。処理できる音声の長さに制限があるため、30秒程度の短い音声でまず試してください。長時間音声や繰り返し利用にはGoogle ColabかローカルPC実行に移る必要があります。
- WhisperはOpenAIにデータを送りますか?ローカル実行と何が違いますか?
- ローカルPC実行では音声ファイルが外部のサーバーに送られません。OpenAI APIを使う場合は音声データがOpenAIのサーバーに送られ、1分あたり$0.006の料金が発生します。OpenAI APIでデータをモデル学習に使われたくない場合は、platform.openai.comの「Settings → Data Controls」でオプトアウトを設定できます。Hugging FaceとGoogle Colabはそれぞれの企業のサーバーで処理されます。顧客名・個人情報・社外秘などが含まれる機密音声はローカルPC実行一択です。
- 長時間(1時間以上)の音声をWhisperで文字起こしできますか?
- できますが注意点があります。Google Colabの無料版は90分間操作がないとセッションがリセットされ、さらに1回あたり12時間の接続上限もあります。1時間を超える音声は30分程度に分割してからColabで処理するか、ローカルPC実行を使います。長時間音声を安定して処理したい場合はColab Pro(有料)への移行も選択肢です。ローカル実行には時間制限はありませんが、mediumモデルで約5GBのVRAMが必要です。GPUがないPCではColabを使う方が現実的です。
- Whisper large-v3を選べばどんな音声でも正確に変換できますか?
- 精度は上がりますが完璧ではありません。large-v3はWhisperの最高精度モデルで、日本語のWER(単語誤り率)はFleurs評価で4.9%です。ただしノイズが多い・複数人が同時に話す・方言が強い音声では誤変換が起きます。language='ja'で日本語を明示し、録音品質を上げることが、モデルの変更と同じかそれ以上に精度改善に効きます。
- Whisperで文字起こしした音声の著作権はどうなりますか?
- 音声の著作権は変わりません。Whisper自体はMITライセンスのオープンソースなので商用利用も問題ありませんが、文字起こしする音声が第三者の著作物(収録済みの講演・インタビュー音源など)の場合は著作権の確認が必要です。自社の会議や自分が録音したインタビューを文字起こしする用途では著作権上の問題は生じにくいですが、用途に合わせて判断してください。
- ChatGPTでも録音ファイルの文字起こしはできますか?
- ChatGPTの有料プランでは音声ファイルをアップロードして文字起こしを依頼できます。ただしデータがOpenAIのサーバーに送られるため機密音声には向かず、長時間の音声は分割が必要になることがあります。無料でローカル処理したい場合はWhisperをローカル実行するか、Google Colabで動かす方法が適しています。
- Whisperはスマホのブラウザやアプリから使えますか?
- Hugging Faceのデモページはスマホのブラウザからもアクセスできますが、アップロードできるファイルサイズに制限があり長時間音声には向きません。スマホから本格的に使いたい場合はWhisperを組み込んだサードパーティアプリを使う方法があります。アプリの質は開発者によって異なるため、公開元とレビューを確かめてから選んでください。
- WhisperをリアルタイムでPCから使う方法はありますか?
- 標準のWhisperはリアルタイム処理に対応していません。マイクから入力した音声をその場で文字にするには、faster-whisperやwhisper-liveなどサードパーティのライブラリを追加する必要があります。遅延は避けられないため、会議のリアルタイム字幕が目的の場合は専用SaaSツールを検討してください。
- WhisperはSRT(字幕ファイル)やVTT形式で出力できますか?
- できます。コマンドラインでは --output_format srt または --output_format vtt を指定します。PythonコードではWhisperに付属のget_writer()関数を使うと、任意のディレクトリにSRT・VTT・TXTなどを書き出せます。出力したSRTファイルはYouTubeやAdobe Premiere Proなど主要な動画ツールに直接読み込めます。


